「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ウクライナを巡る・アメリカの世界戦略とロシアの世界戦略<ウクライナ紛争2023年10月

2023-11-15 00:08:36 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

旧ソ連の崩壊からの近い過去の世界政治を振り返るとウクライナ紛争は、一つの帰結であると言えます。
アメリカの世界戦略とロシアの世界戦略の結果生じたものです。

旧ソ連崩壊は、アメリカにとっては大きなチャンスでした。アメリカ一極主義の世界を構築できます。これがアメリカのソ連崩壊後、変更になった世界戦略です。それまでは、東西冷戦ですから二極構造です。

最初は、アメリカはロシアを西側に取り込もうとします。
G8の時代です。ロシアも一回経済破綻していますからそれに迎合するしかありませんでした。
だからこの時期はウクライナは問題になりません。独立に際して中立を宣言しました。

ロシアの世界戦略は旧ソ連崩壊後、もう一度再構築するしか方法がありませんでした。しかし最初は世界戦略どころではなかったと思います。国家としての秩序や安定が失われ経済が完全に崩壊したところから、ロシアを作り直しました。この間、ロシアは民主主義と自由主義を表面的に取り入れて西側の仲間の振りをします。ロシアにとっては、屈辱的ですがそうするしか国力と軍事力が弱体化した以上、それしか安全を守る方法がなかったからです。

そうして西側と良好な関係を作り、社会の安定と秩序を作りながら西側の資本を導入し企業を誘致して、その間現在のロシアの富の源泉である石油・ガス・石炭・資源などの開発を進めます。

この辺りからロシアの世界戦略の再構築が始まります。それを主導するのがプーチン氏です。もう東西冷戦の時代に戻れないことはプーチン氏も理解していたと思います。

プーチン氏の世界戦略は、まず国内にありロシア社会を安定させ秩序を取り戻し外国勢力の浸透を防ぐことであったと思います。西側の仲間の振りをしてもロシアであることは、止めないしロシアを思想的に文化的に守ると言うことです。

ロシアの音楽や舞踊は、沢山の動画がアップされています。その中でイメージされているのは、「母なるロシア」です。そこに加わるのが「偉大なる旧ソ連軍のイメージ」と「大祖国戦争のイメージ」です。

これがプーチン氏が作り上げた内政上の思想統一です。
「母なるロシア」、偉大なる旧ソ連軍、大祖国戦争。
ここに「ロシアの勝利」のイメージが追加されて完成します。
今のロシアは、このイメージが国民に刷り込まれています。これは、おそらくプーチン氏が大統領になったころから始めています。2000年に大統領に就任しています。その後、ずっとロシアの権力者ですからこれが20年以上継続しています。

外交と言う意味でのプーチン氏の世界戦略は、ロシアの安全保障体制の再構築です。それほど大それたことは考えていないと思います。プーチン氏が選んだ相手は中国です。中国とロシアは親和性があります。それが現在、中国でロシアの好感度が抜群である事につながっています。
近隣では、旧ソ連から独立した国との関係の再構築です。
中央アジア諸国、ベラルーシ、ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンです。

バルト3国が入らないのは、バルト3国は元々ロシアの領土ではありません。(スターリンが第2次世界大戦のとき併合しました)だからプーチン氏の目から見ると対象外です。
あくまでプーチン氏の考える国は、旧ソ連圏でロシアの領土と言える国です。ここで安全保障体制を築くのが一つの外交目的です。

だからプーチン氏は、この領域以外では軍事行動をしていません。シリアへのロシア軍の派遣は、随分後のことです。

そこで問題になるのが、ウクライナとモルドバです。モルドバは小国ですからそれほど気にしていません。ウクライナは勢力の境界線にありロシアにとっては、安全保障上の要の土地です。

ここでアメリカの世界戦略と「ロシアの世界戦略=ロシアの安全保障」が衝突します。

アメリカのこの地域での世界戦略は、NATOの東への拡大です。だからウクライナに様々な工作をして西側に引き入れようとします。一方ロシアは、そうさせまいとします。

もみ合っているうちは、まだそれほど問題は起きなかったのですがアメリカが強引にウクライナの取り込みを図ります。過激右翼や過激民族主義者を利用して2014年革命(=クーデター)を起こさせて、当時の親ロシア派の大統領ヤヌコーヴィチを追放させました。そして親NATO派が政権を握ります。
尊厳の革命
2014年2月18日 – 2014年2月23日
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8A%E5%8E%B3%E3%81%AE%E9%9D%A9%E5%91%BD

これがプーチン氏に武力行使を決意させます。黙っていればNATOとの国境線は、ロシアとウクライナの国境線になるからです。プーチン氏の最低条件は、独立した時のウクライナの宣言の通りウクライナが中立を守ることであったと思います。最低条件です。

つまりアメリカはやり過ぎたのです。プーチン氏の考えるロシアの安全保障のラインを踏み越えてしまいました。だから即座にプーチン氏は、軍事力の行使を決断しました。
それが・・・
ロシアのクリミア侵攻
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%9F%E3%82%A2%E4%BE%B5%E6%94%BB
2014年3月1日~
ドンバス戦争
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%B9%E6%88%A6%E4%BA%89
2014年3月初めから

日にちを見れば明らかですがヤヌコーヴィチ追放後、即座に始まっています。
つまりプーチン氏は、ヤヌコーヴィチが追放された場合のカウンターをかなり早い段階から準備していたことになります。反体制派のヤヌコーヴィチ追放がプーチン氏の軍事作戦の引き金を引きました。

ウクライナ紛争は、この時点で始まっており2022年に起きたわけではありません。これもすごく誤解されていると思います。そのイメージが盛大に拡散されたからです。

2022年のロシアのウクライナ領への軍事侵攻にしても、いきなり始まった訳ではありません。2012年11月ごろから国境付近へのロシア軍の終結が始まり12月にはかなり集結しています。それを招いたのは、ゼレンスキー氏のドンバスへの軍事力行使の強化でありミンスク合意を破棄しようという動きです。
プーチン氏は、バイデン大統領と直談判して決裂ならウクライナ侵攻を決めていたと思います。ニュースなどによるとその時期は2021年の8月ごろのようです。

2023年10月29日 7:14
ロシアのウクライナ軍事侵略前のロシアとアメリカ&NATOの交渉についての記事<2023年10月
https://smcb.jp/diaries/9160217

プーチン氏はアメリカ側に12月に国境線からのロシア軍撤退の条件を提示しました。
2022年1月には、ロシアとアメリカおよびNATOとの交渉が持たれたようです。合意に至る可能性は十分あったようです。
しかし、それを中断させて自分で直接交渉しようとしたのがゼレンスキー氏です。結論、その無駄な動きがロシアのタイムリミットを招きました。

タイムリミットも冬季北京五輪の閉幕に合わせて予め決定していたと思います。

ロシアとアメリカの最後のロシア軍撤兵の交渉の時間を潰してしまったのはゼレンスキー氏のスタンドプレーです。

ロシアのウクライナ侵攻を回避する時間もありましたしチャンスもありました。しかし、その交渉相手はアメリカでなければなりません。
『2021年12月にロシアは「NATOを東に拡張しないと書面に残せば(国際条約とすれば)軍隊を撤退する」という条件を出した。』
プーチン氏の交渉の相手はアメリカであり、ウクライナではありません。

それは余談になりましたが、ウクライナ紛争は2014年に発生しており、それはアメリカの世界戦略とロシアの世界戦略(=ロシアの安全保障)が衝突した結果として起きたことです。

ウクライナが2022年2月のロシア軍のウクライナ領への軍事侵攻を回避したければ、その時間もありましたし方法もありました。何もせずゼレンスキー氏はロシアとの対立を大きくしました。
それでも国境に集結したロシア軍が撤退に応じる余地はありました。
これらを全部ダメにしたのは、ゼレンスキー氏です。

ウクライナ紛争は、2014年に発生しておりどこかでアメリカとウクライナは、妥協を図るべきでした。理由はアメリカが2014年クーデターで不法行為と言うべき謀略を仕掛けているからです。悪い方が妥協を持ちかけるのが、当然だと思います。(それ以前にロシアの裏庭のような場所に手を突っ込むのが間違いだと思います。)

こう考えてみると?
ロシアがいい悪いの話では無いことが分かると思います。
特段ロシアが極悪でも何でもないでしょう。ロシアの安全保障のために行動しているだけです。
プーチン氏の人格攻撃にも何の意味もないですね。
しかし事前に用意されたプロパガンダが、ロシアのウクライナ領への侵攻後、大量にバラまかれました。

アメリカの世界戦略の仕上げは、ロシアに先に手を出させて徹底的にロシアとプーチン氏のネガテイブ・キャンペーンを行って極悪の烙印を押して、ロシアを潰してしまうことでした。これは、秘密でも何でもないです。アメリア政府からもNATO各国からも「ロシアが二度と立ち上がれないようにする」のが戦争目的だとはっきりコメントが沢山ありました。

アメリカにアメリカの戦略があれば、ロシアにもロシアの戦略があると思います。

ロシアの戦略は❓
持久戦(長期戦)に持ち込んで、ウクライナを経済的に破壊することだと推測します。3年でも5年でも継続する予定だと思います。

私が、さっさとロシアと交渉して停戦から和平に持っていかないとダメだと言う理由です。ウクライナがロシアに勝利できるならいいです。出来なければ、ロシアの目的がウクライナの経済破壊である以上、長く続けるほどロシアの術中に嵌ると言う意味です。

ウクライナが財政破綻し実質的に政府が崩壊してからでは遅いと言うことです。そうなれば、無条件降伏しかないでしょう。



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