「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

中国とロシアのパレスチナ問題への対応<2023年10月

2023-10-18 18:25:24 | アフリカと中東

※ロシアは、早い段階から「民間人に対する暴力と全てのテロ行為を非難」と「人道的停戦」そして和平仲介と態度は一貫しています。国連安全保障理事会に決議案採決を求めました。ハマスに対する言及は、ありません。

『ロシア、安保理決議案16日に採決要請 イスラエルとハマスの衝突』
2023年10月15日午前 9:48 GMT+910時間前更新
https://jp.reuters.com/world/security/DB5QNERTC5PW3CXETMFJSUGLCU-2023-10-15/

※一方中国は、これまで明確な態度は示しませんでした。
『中国外相「イスラエルは自衛の域超えた」 サウジ外相と電話会談』
2023年10月15日 17:06 発信地:北京/中国 [ 中国 中国・台湾 サウジアラビア イスラエル パレスチナ自治区 中東・北アフリカ ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3486273?cx_part=top_topstory&cx_position=1

ロシアの行動と比べると随分遅いですが、状況を見極めていたのだろうと思います。中国は、サウジとイランの国交回復の仲介者です。両国との意見の擦り合わせをしたのだと思います。

その結果、遅かった分明確な見解になりました。
「ガザにおけるイスラエルの行動は自衛の域を超えている」とし「ガザ住民への集団懲罰をやめるべきだ」としています。「国際社会と国連事務総長の呼び掛けに真摯(しんし)に耳を傾け、ガザ市民に対する集団懲罰をやめるべきだ」とも述べました。はっきりとイランとサウジに配慮した内容です。

「全当事者は状況をエスカレートさせるような行動を控え、できる限り早急に交渉を再開すべきだ」ともしています。イランに静観を求めました。アメリカに対するけん制でもあります。

ほぼ大雑把に欧米以外の意見を代表していると言えます。
『中国、特使を中東派遣へ 王毅氏、イスラエル非難』
2023年10月15日21時47分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023101500240&g=int
この記事ではほぼ全面的にアラブ寄り、パレスチナ寄りの姿勢を鮮明にしました。イスラエルを名指しで非難しています。

※ブラジルと南アフリカは、大体ロシアと共同歩調です。

※1か国だけ態度が不明な国があります。インドです。

インドが態度不明なのは・・・
『2023年10月12日 8:06
インドの中東経由欧州との貿易路構想とハマスの襲撃事件<2023年10月』
https://smcb.jp/diaries/9149418

インドのこの構想に飛びついたアメリカのサウジとイスラエル国交樹立の後押しがハマス暴発の直接の引き金になっているからです。インド自身も構想の中にサウジとイスラエルを含めていますし、インドの財閥もイスラエルに投資を始めています。

もしこの構想に沿ってイスラエル擁護を打ち出せば、確実に欧米以外の国々から反発を招くか支持を失います。中国とのパワーゲームに完敗します。既に完敗しているとも言えますが。

しかし、態度が不明なインドを除くと今回のハマス問題に対する態度は、概ねはっきり二つに分かれました。

◎イスラエルを断固支持する、欧米+ウクライナ+韓国

◎それ以外の国連総会決議を支持する国々

※これまでの流れ・・・・・
『オスロ合意』 1993年 クリントン大統領が仲介
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%83%AD%E5%90%88%E6%84%8F

『国連におけるパレスチナの地位に関する総会決議の採択と我が国の対応(概要)』平成24年11月30日
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/plo/kokuren/2012_11_gaiyo.html

概ね、この総会決議(A/RES/67/19)が世界の共通認識であり合意と言えます。
賛成 138(日本も含む)
反対 9
棄権 41

『国連総会 パレスチナ占領で国際司法裁判所に意見要請決議採択』
2022年12月31日 13時36分

らちが明かないので国連総会で
『国際司法裁判所に対して国際法の原則に照らした意見を出すよう求める決議』が可決されました。(日本反対)

更には、このようなアメリカのほぼ公平とは言えない長年の立場と動きがあります。
BBC
国連安保理、イスラエル入植地非難決議を採択 米国棄権
2016年12月24日
https://www.bbc.com/japanese/38425927
賛成14棄権アメリカのみ(大統領オバマ)
アメリカは拒否権行使せず、安保理決議が採択されました。安保理決議には、従わなければならない拘束力があります。この安保理決議に違反し続けるイスラエルには、本来なら経済制裁などの何らかの対応が必要です。イランや北朝鮮の場合は、そうなっています。イスラエルの場合は放置されています。アメリカが反対するからです。

つまり大雑把にこのような和平案が当事者同士で合意され、国際的にもそれが合意事項です。

それをイスラエルが一方的に破り、更にはテロとの戦いと称してパレスチナ過激派を掃討するたびに一般市民の虐殺を重ねてきた歴史があります。近年は残忍ともいえるほどにイスラエルの振る舞いは悪化しました。そのイスラエルの振る舞いを容認してきたのが、クリントン後の歴代アメリカ大統領です。これがイスラエル・ハマス闘争の背景の構図です。
今回のハマスの残虐行為のみを切り取ってハマスだけを断罪することは、許されないことです。

パレスチナ問題に対する国際的な合意とは、このようなものです。

如何にアメリカ大統領や西側主要国の態度がイスラエルに偏っていて、色々な国連決議を無視するものであるか分かると思います。

自制を求めるなら双方に求めるべきであり、イスラエルのガザ市民の生命を脅かすような報復的行動は許されません。反対に国連安保理決議に違反し続けるイスラエルに何らかの懲罰が必要な話です。

欧米以外の大多数の国が、国連決議の順守を主張する理由が分るでしょうか?

国連決議を無視する国を強く支持する欧米の態度は、非常に偏っているというより国連決議を無視していると言えます。

本来、国連決議を守り国際法順守を訴える立場にある先進国が無視(破る)してどうなりますか?

21世紀に入り世界が戦争だらけになったのは、欧米の率先した国際法破りが大きな原因と言えると思います。その先頭に立つのがアメリカです。

21世紀に入り、それを続けた結果がロシアのウクライナ侵攻であり、ハマス暴発の原因です。

先進国が先頭を切って掟て破りを続ければ、他もそうなると言うことです。

国際法順守、国連決議順守。
これを守らなければ、守るべき基準がなくなり国際的な無法地帯が生じます。軍事力の強い国が好き勝手に行動して良いことになります。
それを出来るだけ防ぐために、国際法があり国連決議があります。世界各国が協力して長い年月をかけて作り上げてきました。21世紀に入り世界が戦争だらけになったのは、それを先進国(アメリカ)が先頭を切って無視しているからです。



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