黄色い拍子木

たまのをよたえなばたえねながらへば しのぶることのよわりもぞする

もみぢがり2

2004-11-28 01:50:10 | Weblog
興福寺の五重塔を拝しつつ、東大寺へ。
道の途中にも苔むした柿の木や遠くに見える若草山が
なんともおだやかで、止まるかもしれないほど緩やかな
気配を放っています。

1300年前、アジアのはずれに造営された巨大な都市。
そこに住まったであろう人と異国から来た人。そんな
人たちが織り成した日常と万葉の人間の体温が感じられる
素晴らしい歌。それをまだ保ったままであるかのようです。

細い道を通り、鹿が現れ始めて、東大寺。さすが観光に
ベストな時期と言うこともあり、なかなかの盛況ぶりです。
ですが、京都のこれでもかこれでもか!という観光地での
気配とは少し違います。これも万葉の空気のなせる業なのか、
それとも鹿の無表情さがそうさせているのでしょうか。

京都は恋人と行く所、奈良は不倫相手と偲んで行く所と
思いました、なんとなしに。

周りのお庭を散策し、鹿などと戯れたり写真に紅葉を修めたり。
もちろん東大寺にも参拝し、無病息災を願い、さらには柱の穴
まで通り満喫。

そして夕方、今日は木枯らし一号が吹いたそうで、たいそう
寒くなってきました。西の果てから射す夕日の茜色。その光は
紅葉の赤を透き通ったものにして、回りに濃くて暗い、冷たい
影を作り出します。その中で暗く輝く紅葉の赤、その素晴らしさに
息が止まりそうでした。清少納言が枕草子の中で「あきはゆふぐれ」
というくだりがありますが、私が見ているこの瞬間を凝縮したの
なら、その言葉以上のものはありません。

秋の侘しさを最大限引き立たせる、夕暮れ。この様な素晴らしい
瞬間を感じれることに、日本で生まれ育ったことの嬉しさを
感じました。
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