未完小説
全世界に向けて!マタマタはぐれて狂い咲く!
未完小説シーズン1 と シーズン2
の狭間に飛び出てジャジャジャジャ~ン!
はぐれ未完小説!第2弾だ!
“さよならだけが人生さ!
それなら、こんちは何なのさ!
運命の糸にあやつられ禁じられた再会が
一瞬の時間の涙の中にくずれ落ちてゆく!”
『おばあちゃん危機一発!』
又は、『ひとりぼっち(ある時間遡行者の人生)』
さら さら さら さら ・・・
わからなかった。
何もわからない。
僕?・・・そう、僕というんだ。
僕は突然、眠りから醒めると全く見た事のない世界にいたのだ。
僕は僕の手を見た。手?しかし、手という事はわかっていても、僕の手は、まるで見た事の無い手だった。
僕は、とてもとても、混乱していた。
いったい、ここは、どこだ?僕とはなんだ?
さっぱり、わからなかった。
しだいに、あたりが光に包まれていった。光の中にいろいろなものが見られたが、それが何なのか、僕には見当もつかなかった。
僕は動かずにいた。じっと、聞き耳をたてていた。
さら さら さら さら さら さら さら さら ・・・
何らかの音がしていた。サラサラと流れるような音だ。
僕は動いた。動くという事がそれでわかった。
そして、歩いた。歩くという事がそれでわかった。
白い部屋。白い部屋という言葉が突然、頭の中(頭という事も、その時わかった)に浮び、僕が今いるのが白い部屋だということもわかった。
とりあえず僕は、そのサラサラいう音を探して歩いた。そして窓を発見し、窓の外をも発見した。音は窓の外にあった。
僕は窓のはるか下で蠢くいろいろなものを、ひとつひとつ確かめてゆき、その中から、その音を探し出そうとした。
しばらく、そうしているうちに僕は時間というものに気づいた。様々なものが滅びてゆき、消滅してしまう過程を時間というのだ。
僕の中で、この世界がパッチパッチとジグゾーパズルのように嵌めこまれていった。
僕は、この世界が、どんなところか、だんだん理解できるようになったが、ジグゾーパズルは延々と嵌めこまれ続けるだけで、その完成した姿は混沌としていて全くわからず、また無数の嵌めこまれ方があるようだった。
おそらく僕の意識の中では、この世界は、たぶん、不可逆的で、可変長で、とらえようのないバラバラな構成で成り立っているのだろう。
さて、そのサラサラという音だが、どうも、その音は時間の音だったらしい。この世界がサラサラと静かに崩れている音だ。
しかし、僕が、この世界に次第に同調してゆくにしたがって、その音は小さくなって消えてしまった。
僕は窓から離れ、僕のいる白い部屋を見回した。
部屋は広く、ゆったりとした配置で様々な黒色の家具が、染みのように並んでいた。
小さな鉄の机と椅子。プラスティックのパイプで組み立てられた巨大な本棚・・・・・・・・・と続いてゆく・・・
そして、僕は、理解した。僕は、今、ここで生まれたのだ。突然、僕は自分の年齢が35才であることが分かった。
なるほど、あらかじめ35才の知識を持って、僕は、生まれたのだ。
だから、このような思考が可能で、次第に様々知識があらかじめ備わっているわけだ。その35才分の僕の知識を引き出すのにジグゾーパズルを嵌めこんでいくような作業がなされたのだろう。
それが、35才で、この世界に生まれるという事なんだと、僕は、はっきりと理解した。
・・・・・・・・・・・・中略・・・・・・・・・・・・・・・・
(概略的解説
この物語は35才で生まれ、11才で死んだ男の遠い遠い昔、あるいは、遠い遠い未来、あるいは遠い遠い現在におこった人生という出来事です。主人公は時間を逆行してゆきます。彼の未来は彼を除く全ての人々の過去なのです。彼は彼を除く人々の未来の社会の姿を知っており、他の人々は彼が最後を迎える彼にとっては未来の社会の姿を知っているのです。彼は単に三十五歳で生を受け、十一歳にして寿命をまっとうするのです。彼は同じこの世界の誰ともストレートにコミュニケーションをとる事はできません。たった一人で生きていくのです。だって彼は時間を逆行して生きているのですから。彼は全ての人々にすでに起ってしまった過去に向って生きているのですから。愛も希望も無く。
彼はどうしてそんな事になったのでしょうか?彼は実在しているのでしょうか?彼にとって、この世界や彼を除く全ての人々は逆さまに動いて見えます。人々は後ろ向きに歩いて食事を吐き出して生きているように見えます。建物も人々も動物も全て滅びて消滅してゆきます。時間です。人々は、どんどん若くなり赤ん坊になって消滅します。立派な建物も建築途中になり消滅し、更地になり、違う建物が現われたりのっ原になったりします。
彼にとって、この世界は私達と同じようにリアルです。生きている実感たっぷりです。しかし、彼はおそらく精神体のようなもので、食事も排出もありません。でも、精神病者が見る妄想に時としてリアルな物理的な実感があるように、彼も自分の身体や世界の全てに対してリアルな物理的な実感を持って過去へ向って生きているのです。彼も、他の人々と同じように、どんどん若返ってゆきます。鏡には実際に彼の姿が映るんです。
しかし、いくら実感があっても彼は自分の身体以外は、物理的に触れる事ができません。全てを素通りしてしまいます。そして、ここが大事なところです。彼からは、世界の全てが見えるのです。全ての人々を逆さまの時間で見る事ができるのです。我々と同じくらいの感覚で歩いたり走ったりできます。素通りしますが。しかし、彼以外の時間を普通に生きてる人々には彼の姿が見えません。前にも述べましたが、ですから、彼は誰ともコミュニケーションを取れません。
でも、唯一の方法を彼は見つけます!それは夢の中です!夢の中でだけ、彼は他者に逆向きのメッセージを送る事ができたのです!
さぁて!彼はいったい逆さまの時間の人生の中で何を見るのでしょうか!?さぁ!彼の運命は!何故、そんな事になったのでしょうか!?
・・・未完ですので、お教えする事ができないのが作者は残念で仕方ありません。。。)
・・・・・・・・・・・・中略・・・・・・・・・・・・・・・・
ああ!何て事だ!この寒いクリスマスの雪の夜。路上の真ん中で老婆が一人凍え死んでいるじゃないか!
どうして逆さまに歩いてる人々は楽しく笑い語らいながらも誰一人、彼女を助けようともしないのか!いや、しなかったのか!
僕はボロ布のように世界の全てに見捨てられて死んでいる、そのホームレスのおばあさんを見て涙をボロボロこぼした。
僕の時間の世界は、僕だけ!僕たったひとりなのに!おばあさんのいる時間の世界は、あんなにいっぱい人がいるじゃないか!何故だ!何故、皆!助けようとしなかったんだ!
僕は物理的には、その死んでいるおばあさんの身体を触れられずに貫通しながらも、必死に抱きしめ愛おしんだ。
何故だか僕は涙が止まらなくなって、悔しくて悔しくて、このお婆さんを何とか助けなきゃいけない、そんな気になった。
何時間たったか、お婆さんは薄っすらと目を開けて生き返った。ボロボロの毛布の中で微かな息をしはじめた。空気の中に白く滲んだ息が、お婆さんの口の中に吸い込まれていく。
助けたい。。。助けたい。。。
世界中にいっぱい同じ時間を生きる人間がいながら、ひとり淋しくクリスマスの夜に路上で凍え死ぬ、このホームレスの老女はいったい、どんな人生を送ってきたのだろうか?
どうして、こんな事になってしまったのか。
・・・・・・・・・・・・中略・・・・・・・・・・・・・・・・
僕は通信を試みた。
僕と逆向きの時間の世界で後々、一人淋しく路上で凍え死ぬホームレスの老女に向けて。
僕は何度も何度も、必死に、彼女の夢の中に映像を送った。逆向きの映像だが、お婆さんは僕と逆の時間の世界において、「生きろ!精一杯、生きるんだ!」というメッセージを受け取ったはずだ。
しかしだ・・・そう、そうして彼女は生きて凍え死んだのだ。
僕は彼女が彼女の世界の時間の中で先にどうなるかを、もう見てしまったのだ。しかし、何とか、お婆さんの未来を、僕にとっての過去を変える事はできないだろうか・・・。
彼女は公園で生活していた。
凍え死んだ時には、高熱で肺炎で飢餓状態で身体中傷だらけで、相当の高齢に見えたのだが、彼女はまだ、50代の女性だった。
僕は彼女の人生を逆に見てゆくのがとても楽しみになった。
僕の姿は誰にも見えやしない。たとえ見えたとしても、逆向きに歩く男の姿なんて誰も気にしない。
だって有り得ないけど、一瞬だけ見えたとしても、次の瞬間に僕は他の人々の過去になり、僕にとっては他の人々が僕の時間の過去になるわけだから。
それは見てはいけないものなのだ・・・ところが、ある
未完
未完小説。それは最初から未完として!未完を目指して書く小説!
必ず未完で終わらせる事・・・・・・決して完成しては・・・イ・・ケ・・・ナ・・・イ
This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)