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元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

あっしは、kippleってぇケチな野郎っす! 基本、自作小説と、Twitterまとめ投稿っす!

机上花火 四

2021-07-21 17:16:31 | 夢洪水(散文・詩・等)

机上花火


-四-


 俺は色の淀んだ退廃しきった金に全ての善なる魂を売り払った糞人間ばかりの街に出た。貴様らのせいで、見ろ、空は色が淀んでるんだぁぁぁっ。金を無くし働かなければ綺麗な青空が戻ってくるのに。こうして歩いていると俺は、かかかかかか感じる。金を貰うために働いている奴らがすぐに分かるんだ!ありとあらゆる残虐なやり方で、こいつもあいつも全部、ぶっ殺してやりてぇぇぇぇえぇぇぇ!うぉぉぉおおおおおおおお!俺は拳銃を手に入れて駅のロッカーに隠してある。殺してやる、皆殺しにしてやる。そのために俺は先日、警ら中のオマワリを道を尋ねるフリをして油断したところを100円ショップで盗んだでかい金槌で脳天を凄まじいスピードで何十回も殴りつけて完全に脳味噌が頭蓋から流出したのを確かめてから拳銃を奪ったのだ。俺はアパートに戻り、拳銃を握り締め銃弾を確認し、窓を開け、世界に向けて撃つ真似をした。興奮して歓喜にみちみち、俺は絶頂に達し白目を剥いてどくどくと射精した。全部、ぶっ殺してやるぅっぅうぅぅううううううう!絶叫したもんだ。

 この腐れ豚どもで溢れかえった街を歩き続けるうちに、こんな社会は滅びりゃいいんだぁああああ!と言う思いが、どんどん増幅してくるのを感じる。うおぉぉぉぉっ!滅ぼしてやりてぇぇぇぇぇっ!全部、ぶっ壊して全員ぶっ殺してやりてぇぇぇぇぇっ!できるかぁぁあああっ!俺にできるかぁぁああああっ!できるんだ!できようともっ!容赦ねぇんだ!できるなら今すぐ金を貰って働いている糞どもを皮剥いで太陽にさらして、さらに蜜塗って蟻に食わせてチンコを剥いてマンコを千切って苦痛の絶頂にうちにぶっ殺してぇぇー!できるなぁらぁぁぁぁーーーぁぁっ!

 ぐあっ!片手で携帯を耳につけて「はい承知いたしました。よろしくお願いいたします」と馬鹿でかい声で俺に何の関係もない事を喋ってる背広着た糞馬鹿ゲス外道な、ひとめでわかる一生懸命働いて金を得ている家畜の悪徳腐れ脳の豚会社員が俺にぶち当たりそうになっても、まるで俺の姿が全く目に入らないように通りすぎていきやがった!実際、入ってねぇ!いきやがった!お前の糞目は、どこ向いてんだ!俺が貴様のような金キチガイの為に道をよけて何故、通してやらにゃぁいけねぇんだ!くそ!くそ!許せネェ!金に魂を売った腐れ家畜め!貴様は、こう思ってるに違いねぇんだ!“俺だけは正しい。俺の仕事は大事だから現実に周りにいる人間よりも携帯の向こう側の取引相手の方が重要だ”とな!ふざけるな!奢り高ぶるのもいい加減にしやがれ!貴様は仕事して金儲けと言う人類最低最悪の極悪犯罪に手を染めてるんだ!そんな最低のモラルさえ分からずに、ふんぞり返って回りの人間が重要ではねぇと思っているんだ!間違いねぇ!携帯の向こうの貴様と同類の鬼畜よりもな、現実に貴様の周りにいる人間の方が重要だって事を思い知らせてやるぜぇぇぇえええ!ブスっと刺し殺すのは貴様の回りにいる人間なんだぜぇ!貴様がそうして携帯の向こう側の糞人間とうつろな目で喋り続けている間に、俺は鋭利なメスで痛みを感じないように貴様の突き出た腹に穴を開けて腸を引きずり出してやる。それでも貴様は「どうも御世話になっております」などと携帯の向こうの鬼畜に愛想を売りながら気づかずに歩いていくんだ。貴様の腸は臓器を引き連れてズルズルとはみ出していってしまいにゃ俺が縛り付けておいたガードレールからピンと張った時につんのめって、貴様はやっと気づくんだ。貴様の腸は貴様の腹の穴から全部出ちまっていて延々と俺のいるガードレールのとこまで太いミミズのようにうねうねと糞長く汚なく続いているのにやっと気づいて青ざめるんだ。大腸も小腸も十二指腸も胃も胆のうも臓器全部ぞろぞろ出ちまってよぉぉぉおおおっ!臓器なんて全部繋がってるんだぜぇえええ!ばーか!俺は貴様の臓器をグシャッグシャッと踏み潰して道路を血塗れにして歓喜の声を上げるぜぇぇぇっぇっ!ぎゃっほぉぉーーうっ!いや貴様のようなキチガイは、その状況さえ理解できずに延々と携帯の向こう側と喋り続けて、死んでゆくのかもよぉ!ぎゃははははっは!

 うぉっと!俺の前でパンティーと尻の割れ目を丸出しにした破廉恥なジーンズをはいてケツ振ってる、ザーメンまみれの淫売豚女にもやってやるぅぅぅううううう!このメス豚め!メス豚め!ヘッドホンして延々と携帯で喋ってるザーメン豚女。脳味噌がザーメンで真っ白になってるのがミエミエだぜ。しかし男と同じようにはできねぇな!こいつら精液まみれのメス豚という生き物は底無しの絶望だ。メス豚は男にすがりやがる!ミッシェル・フーコーは「全ての女はキチガイである」と言ったが、そんな上等なもんじゃねぇぇえっ!全てのメス豚は最低最悪のキチガイで底無しの変態だ!男の場合、ごくまれに少しはマシなキチガイがいる事があるが、こいつらメス豚には絶対にいない!全部、糞糞糞!メス豚どもは国家に自ら隷属しガンジガラメの結婚という制度に組み込まれるのを当然のように思っている変態ばかりだ!しかも結婚すると男を自ら「うちの主人が・・」などと平気な面でシャーシャーと言いやがる!恥をしれぇぇぇえ!結婚して専業売春婦になり、さらに御主人様と男を呼ぶ!信じられねぇっ!自ら奴隷になりたがり男に飼われたがる!この異常極まる変態生物の核は、まんこだ!まんこはあらゆる悪徳を無限に排出しあらゆる正義、善意や純粋さを吸いとって破滅させてゆく!まんこは、いつも発情していて男から物、金を巻き上げ、消費し、この世を悪の金金じゃぶじゃぶ世界に堕落させ続け全ての人間を鬼畜外道へと変えてゆくんだぁああああっ!憎むべきは、まんこ!まんこは究極の悪であり全ての悪の根源である!ゆえに俺は、メス豚を殺る時は、まんこから殺らねばならなぁぁぁぁぁぁぁっぃっ!考えてみれば全ての人間は、まんこから出てきやがったんだ!人類を絶滅させるには、まんこを先に絶滅させるのが、効率的だ!俺はぁぁああああっ!頭が、いいぃぃぃぃいぃぃっ!一匹の、まんこも残しちゃいけねぇー!残したら、また、まんこから何が出てくるかわかりゃしねぇぇぇっ!全ての、まんこを滅ぼしてやるぅぅぅぅぅぅぅぅ!うぉおぉおおおおおおおおっ!

 



KIPPLE


机上花火 参

2021-07-21 06:37:30 | 夢洪水(散文・詩・等)

机上花火


-参-


 オウム真理教が霞ヶ関の地下鉄にサリンぶち撒いた時は、嬉しくて嬉しくて飛びあがって喜んじまったぁあああ!あんなとこに朝っぱらからいる人間どもにまともな人間がいるわけがねぇー!絶対に元気に働いて金貰ってやがる不届きな奴らに違いネェんだ!元気じゃないにしろ仕事してるってだけで地獄行きだって事さえわからねぇ鬼畜どもだ!いくら殺したって殺したらねぇ!だがよ!気に食わねぇ!サリン撒いて、あのザマだ。少なくとも数千人は殺せぇぇぇぇぇええええ!あの時間帯ならできたはずだぁっぁあぁ!ちゃんと、やる気あんのかよ!何やってんだぁああああ!10数人程度殺したって駄目だ!5000人くらい被害者が出たって駄目だ!殺せ!殺さなきゃなんの意味もねぇぇええ!
 それにくらべてビンラディンやアルカイダの連中は、ずっと偉い!胸のすく思いだぁあ!あの善なる同時多発テロが起きた時、あのツインタワー、世界貿易センタービルに旅客機が突っ込み、爆発し粉々に崩れ落ち、糞野郎どもがヒューヒュー落っこちて死んでゆき、完全に倒壊し、糞人間どもが狂ったように喚き泣き大騒ぎする様を何度も何度も見て、俺はあまりの嬉しさに笑いが止まらず、勃起しまくっちまって何度も何度もオナニーを繰り返し、恍惚としちまって嬉し泣きが約一ヶ月ほど止まらなかったぜぇ。やったぜ!ビンラディン!ブラボー!アルカイダ!暗く沈んでいた俺の心は実に晴れ晴れとし明るい笑顔を取り戻し、優しい純粋で清い気分に満たされたぜ。道ゆく人、全ての引き篭もりや、ぷーたろうや浮浪者の人々にキスをして祝福したいきぶんだったぜ。明かに社会人でスーツ着て金と欲望のために鬼畜なゲス労働をしてると分かる奴らは別だがな!
 実にこの腐りきった世界に天使の様に舞い降りた同時多発テロ。ビンラディン、あんた最高だぜ。アルカイダ、あんたら本当によくやってくれたよ!俺はビンラディンとアルカイダの奴らにノーベル平和賞をやればいいのにと思ったが、所詮ノーベル賞なぞ、腐れ外道の貴族の悪徳の極みの道楽だ。貰わなくて結構だ!け!5000人規模で金に心を売り渡した腐れ外道どもが極上の恐怖の中で殺されてったんだぜ!こんなに素晴らしいことなんて滅多にありゃしねぇ!ブラボー!ブラボー!ああそれに比べてオウムは情けネェなぁ。けっ!へっ!あの世界貿易センタービルが、どんなとこだか俺はよく知ってるぜ。あそこにいた奴らは断言してもいいが、一生懸命真面目に働いて金を大量に稼ごうとしている自然法の絶対悪、絶対犯罪者たちに決まってる。これで少しは悪徳は減ったわけだ!市場経済の奴隷になった卑しい強欲な豚どもめ!人類史上最悪のグローバリズムの拠点と言ってもいい!ざまぁぁぁみろぉぉっぉぉぉおお!けーーーけっけっけっけぇぇぇ!地獄で己の罪業を悔やむが良い!決して許されはしねぇ!ルシファー様がさらなる凄まじい永久の拷問で罰してくださる事だろうぜぇぇえ!守銭奴め!煉獄で永遠に苦しむがよい!かーっかっかっか!
 しかし、これだけ善なる聖なる裁きを与え良心を取り戻す機会をビンラディンたちが与えてやったにも関わらず、所詮、心底腐りきった仕事至上主義の市場経済原理主義者どもは全く反省もせず、心を入れ替えることもせず、これだけ自明の善なる鉄槌をも理解せずに腐りきった経済原理主義の腐れ外道どもは、こともあろうに「テロを撲滅する」などと全く己どもの卑しい金儲け努力信仰を妄信し続け、反撃に出たのだ!なんということだ!話にならない!完全に狂っていやがる!殺されて当然だということが、まだ分からない!俺は完全に絶望した。もう期待はしない。ビンラディンたちの子供でも分かる善良な正義のイカズチも全く、心底腐りきった市場経済至上主義の外道どもには理解できないのだ。こんなに親切に良心的に効果的に清き魂を取り戻しなさい競争欲を捨てなさいと殺してやったのにも関わらず、心が腐りきった先進国の奴らには全く反省の色もねぇ。バベルの塔が何故、神の怒りに触れてぶち壊されたのか、そんなことも思い出しもせず、キリスト教徒だと、笑わせるな!心底経済労働鬼畜になっちまった先進国の人間どもには神の契約が社会契約だと勝手な悪の思想にすり替えて漫然としているんだから絶望的だ。さらにブッシュという頭の非常に悪い馬鹿大統領は自分がプロテスタントの原理主義者のくせにアフガニスタンを機械化されたスーパー殺戮集団で明かに正しい行いをしているタリバンや他のイスラム原理主義者たちと一般市民に対して大虐殺を行ない、善なるアフガニスタンを侵略し、破壊し、カルザイなる利権にまみれた悪徳の権化の金亡者を元首にしたてあげた!なんという悪辣な鬼畜どもだ!そして、さらに外道ブッシュは狂気に駆り立てられ主権国家イラクを独断で攻撃し、大虐殺を始めた!外道以外の何物でもない!金のためだ。全て金のためだ。アメリカン・グローバリズムで全てを支配し世界中を金まみれにするためだ!日本にも卑しい心の腐りきった小泉と言う総理大臣がいて景気だ雇用だ金金金だ。民営化で金もうけだ。構造改革で金儲け推進だと狂った鬼畜外道め。しかも最悪な事に自由競争をあおり努力すれば報われるなんぞと最悪の詭弁をろうしてやがる。努力は他人を蹴落とす最低の悪徳だということさえ理解できねぇ糞野郎だ!金ゴンだ。金ギドラだ。何という腐れ鬼畜だろうか、鬼畜ブッシュに真っ先に賛同するその腐れ外道ぶりには自分が金のために善なるテロリストを卑劣にも金で殺しまくっているという自覚すらない。奴こそ、チンポをズタズタに切り裂かれて八つ裂きにでもされなければ、この世は暗黒のままだ!金のために生きない競争を望まない平和で心優しい清き人々は永久に恵まれやしねぇぇええええっ!





KIPPLE


机上花火 弐

2021-07-20 06:32:13 | 夢洪水(散文・詩・等)

机上花火


-弐-


 我慢がならねぇ!ああ!我慢できねぇ!糞め!豚どもめ!ドタマに来る!なんだ、この社会は!死ね!死ね!死ねぇぇぇ!ああああああああああああ、都会の落陽だらだらだらぁ!夕陽がオレの住んでる汚ねぇゲス野郎ばっかのアパートの糞狭いテラスに差し込んでやがらぁ!仕事なんかしやがって!キチガイどもめ!社会人だと!腐れチンポが!腐れマンコが!皆、犯してやる!犯してぶっ殺してやる!メッタざしにしてザマーミロだ!けっけーーーー!
 一番、気に入らねぇのが、仕事して結婚して40才も過ぎてガキでも産んで小金をためて、良い気になってる鬼畜どもだ!なんだぁあああってんだぁぁぁああああ!ぶっ殺してやるぅぅううううう!おめぇらは仕事ができるって事がどんなに運が良くて恵まれてるって事が分かってんのかぁああああああ!えらぶるんじゃねぇぇぇええ!この世には、どう転んでも働けない人間がごまんといるってぇことさえわかりゃしねぇええええっ!貴様らがどんなに搾取してるか認識してるのかぁっぁあっぁぁぁっ!お前らは、大量虐殺を毎日続けて、おびただしい死体の上に、かもまともな人間ですってすました顔して生きてやがることも全く自覚がねぇぇーーー!殺すしかねぇ!殺すしかねぇ!問答無用だ!ぶっ殺す!働くことが良い事だと勘違いしてる糞ども!結婚して自ら国家の装置に組み込まれる変態マゾ豚どもめ!その自覚さえ全くねぇ!そんな奴らはいくら殺したって一向にかまやしねぇんだ!
 俺は毎日毎日、妄想してるぜ!目の前でガキを犯して性器を切り刻んで食ってやる食わせてやる!女房は目の前で強姦してマンコを焼き鏝で潰してでかいハサミでザックザックに切り刻んで突き刺して切りとってガキに食わせお前に食わせ俺のチンポをしゃぶらせてしゃぶってる間に首を切り落として、お前のチンポをハサミで剥いて尿道に五寸釘を打ち込んで、縦に一回二回三回とジョキジョキ切って血しぶきを飲ませて、ケツの穴にもザックザックとサバイバルナイフをぶち込んで、チンポを切りとってくわえさせて「食え!食え!」だ!ざまーみやがれ!俺には、そうする権利がある!ガキの生首と女房の生首を並べて踏み潰してやるんだぁあああ!おめぇらは散々社会に保護され、働くことができて楽に生きてきやがった!俺がどんなに苦しい思いをして生きてきたかお前らには絶対にわからネェんだ!!貴様らが世界中にどんなに害悪を撒き散らしてるか考えたこともねぇえんだ!見下しやがって!馬鹿にしやがって!死ね!死ね!死ねぇぇぇぇええええ!俺は今まで働いてる家庭を持ってる社会に溶け込んでいる何とか適応しているすましてる笑ってるテメェらを惨殺する妄想を途絶える事無く続けることによって何とかカタルシスを得てきたが、もう我慢の限界だ!もう許せねぇ!真面目に働く人間が優遇される世の中なんて絶対に許せネェ!!冗談じゃネェ!究極の差別だ!真面目に働けない人間がどんどん追い詰められ虐殺されてゆく!俺は俺の正義にしたがって断罪する!ぶっ殺す!絶対にもう許せネェ!この世界は貴様ら働ける人間だけの特権世界じゃねぇんだ!こんな不公平は勘弁ならねぇっ!働く人間は絶対悪だ!一匹でも、この世に働ける人間を残しちゃいけねぇ!皆殺しにしてやるっうう!1人も働かなくなれば、この世から最も卑しい全てを堕落させる金という幻想も消え失せることだろう!そうでなければ人間は永久に真の幸福を掴むことはできない!
 俺は大魔王ルシファーに帰依する!唯一神が諸悪の根源だ!神との契約によって働くことを善としたユダヤ・キリスト教が全ての悪だ!この世を仕事で埋め尽そうとしてやがる!この世の人間を皆、働かせようとしてやがる!冗談じゃねぇ!世界中を元来もっとも忌まわしい下賎な卑しいビジネスとやらを推奨しやがって金で埋め尽そうとしてやがる!我がルシファー様は創造主であり全能の唯一神に「それは違う!働かず金を稼がずに生きる事が自由に考え本当に生きるということだ!」と実に正当でどんな馬鹿でも分かる心優しき人間サイドにたった正義感に燃えて逆らって正直に己の全くまっとうな意見を述べただけで、残虐で狂った神はルシファー様を地獄に落としやがった!何て非道なんだ!何て手前勝手な正義なんだ!唯一神なんぞ!ぶっ殺してしまえ!社会契約してる人間なぞ全部、唯一神の奴隷だ!糞人間どもめ!ぶっ殺してぶっ殺してぶっ殺しても俺の怒りはおさまらねぇ!働いて金を稼いぐ全くモラルの欠片も人間性もない奴らは全滅させなければならねぇ!もう、時間はねぇ!1分1秒でも早く殺してしまわねば心優しい6月の光のような暖かい世界は永久に訪れる事無く労働を美徳と考える狂った鬼畜どもに、この世は血みどろの餓鬼地獄にされちまう!立ちあがれ!無職テロリスト!働いてる金を得ている人間の生首を全て切り落とせ!もう戦争は始まってるんだぁあああ!殺るか殺られるかだ!ルシファー様!我ら、迫害されし善良なゆえに働けず、弾圧され不遇の扱いを受けつづけた平和主義者たちに御力を貸したまえ!金カネかねと、自由競争だと狂った妄想に取り付かれて止まる事ない殺し合いをやってる市場経済原理主義者ども!競争とは殺し合いだという自明の真実さえ無限のオブラードで包み隠して貴様らの悪逆非道な行為を正当化してる真の鬼畜労働亡者どもめ!堕天使こそが善であることを思い知れ!今こそ虐げられた全ての働かざる心美しき者よ!立ちあがり正義の鉄槌をくだすのだ!すなわち社会参加している人間を1人残らず惨殺してやるのだぁあっぁぁぁあぁぁっ!善は勝つ!正義は勝つ!大魔王ルシファーの名において働かない清き魂は必ず報われるのだ!
 競争という働くという名の蹴落とし合い、殺し合いを望まず、金が欲しいなどと言う腐りきった欲望を持たず、社会で他人を見下し地位や権力や既得権益に安座しようなぞとはつゆとも思わず、家庭の幸福を自慢したいなぞとは全く思わず、自分を誉めてやりたいなどと言う傲慢な腐れた何の内省心もない糞社会人とはまったく相反する、平和を望み、力無きものに力を貸す、力ある者も決して奢らず、そこに何の欲も見返り希求も無く、仲良く楽しく心すこやかに共存していこうとする心の優しい清く珠玉のような人間たちが何故、こんなに迫害されねばならぬのか!間違っている!この世は完全に間違っている!怠け者だ、働かないものは屑だ、駄目人間だ、負け犬だ、努力が足りないだ、反社会的パーソナリティだ、精神異常だ、とありとあらゆる悪罵を浴びせ掛ける一生懸命がんばって真面目に働き続ける極悪人の糞ゲス悪徳の権化で強欲に魂を売り渡した腐れ外道どもめ!間違っている!屑は、どっちだ!そんなに他人を蹴落としたいか!死ね!死ね!貴様らが生きている限り、無辜なる純な魂を持った清く心優しい働いて競争して金を得ようなどと決して思わない本当に心清き善良な人間たちが全く報われること無く殺されていく。許せねっぇえぇぇえぇええ!絶対に!絶対に!もう容赦はしねぇぇぇっ!これは聖戦だ!聖なる魔王の名において戦う!




KIPPLE


机上花火 壱

2021-07-19 06:53:00 | 夢洪水(散文・詩・等)

机上花火


-壱-


 ワタシは冬眠人間なのでございます。ですからワタシは脳内の小説を上書きしながら楽しんで、一生、生きてゆけるのです。

 夏は起きあがって、少々外出もできるのでございます。暑く蒸し暑く、すべての風景や音や気配さえも、強烈に輝く太陽の光によってハレーションを起こしたように輪郭が真っ白に溶け込んでいるならなおの事でございます。

 ワタシも曖昧になるからです。ワタシと全てがトロトロと蒸し暑さと輝きの中で輪郭をなくして溶け混じり合うので楽なのでございます。
 

 そうしてワタシは、その日、とろとろになって炎天下をゆっくり歩いておりますと、ゆらゆらとデタラメにゆれる視界の隅で、なにやら黒いものが、黄色くとろけた道路の隅を横切ったようでした。

 ワタシは、たぶん、猫じゃないかなと思いました。猫が溶けちゃったぁ。そう思いました。
 

「脳病院は、そこの垣根のプレートの四丁目と書かれた角を曲がったところの大きな柊坂道のとこですよ。」
 

「柊坂道?」
 

     ----世界の境界?
 

「道の両端には、ぎっしりと柊がはえていてね。それがあんまり、ぎっしりと生えているものだから柊の上の方が寄り添って、トンネルみたいな道になっちゃってね」
 

 何やら猫じゃないかと思ったのは間違いで、溶けて混じって不明確な黒い影になった老婆のようでございました。原形をかろうじて残しながら小さな影になった親切な老婆が、そう言いますので、ワタシはトンネルに入りました。振り向いてみると、小さな影の老婆は、ゆらゆらと溶けて消えてゆきました。
 

 トンネルを抜けると、高層マンションに出ました。やはり周囲は真っ白にハレーションを起こしておりまして輪郭は溶けて曖昧でございました。物凄く、暑うございます。何もかもが陽炎の中でゆらゆらと揺れております。しかしながらワタシは、高層マンションの一室に躊躇無く入りまして、すっきりといたしました。

 何故なら、その部屋は冷房装置によって、強烈に冷やされていて何もかもハッキリとしていたからでございます。風景も音も気配も、くっきりと際立ってワタシに迫ってくるのでございます。楽では、ございません。苦でございます。何もかもゴチャゴチャに溶け込んで輪郭を無くした方が正しい世界なのでございますから曖昧の方がよいのです。
 

 しかたがないのでワタシは冬眠人間でございますので、大きな窓にピッタリと貼り付けた様に置いてある柊の古い机の前に、近くに置いてある味気のない折り畳み椅子を置いて、座りました。そして、大きな窓から真っ白に輝いて全てがゴチャマゼになった出鱈目な外の世界を、ぼぉっと眺めながら机の上で頬杖をついて、「ああ、ここから隅田川が、よく見えるなぁ」と思ったのでございます。





KIPPLE


探偵キック 陸

2021-06-16 07:30:40 | 夢洪水(散文・詩・等)
探偵キック

 キックの自我は、すでに崩壊を始めていた。ふと、自分のふるえる両手が、2人のロミの発言を交互に入力し、いつの間にか、 青年Z=ロミ と、キック=ロミ の両方を自分一人で演じているのに気づいた。

 気が遠くなって行くようだった。いったい私は、いつから、もう一人の私を作り出していたんだろうか?レク夫妻の娘の失踪時の半年程前に、このチャットに出入りして彼女と知り合ったのは、私自身だったのだろうか?

 私は彼女とメール交換をしていた?いや、私は沖縄に住んでいた事もないし、年だってもう40を過ぎている。私は、いつの間にか、架空の私自身の情報を私自身の頭で、この手で・・・若い極端な強弱を併せ持つ人格を、現実存在として作り上げていたのか?・・・・・・・・・・・ 
 
 と、キックが思考の迷宮の中を、ぼんやりと漂っている時、急に背後で大きな声がした。さらに、かなり強い力で“パシッ”と背中を叩かれた。

 キックが、ぼんやりと虚ろな顔で後ろを振り向くと、快活で大柄で世話焼きの部長が、いつものように元気良く笑いながら立っていた。

いよぅ!どうした、キック!相変わらず熱心だな!ねっしん!ねっしん!はっはっはぁ~!いいねぇ~、頼りにしてるよ!ほら、例の中途採用の新入社員を連れてきたぞ!この2人だ!今日から君の部下という訳だ!よろしくたのんまっせぇ~!ファイトだ、キック!じゃ!あとは任せたぜ!有能なお前さんの事だ!安心して任せられるってもんだ!今日のところは、うまく2人に仕事の内容を教えてやってくれ!3人でうまくやってくれよな!そうそう、そういえば、さっきレク夫妻から娘の捜索を中止して欲しいって連絡があったよ!もう、あの娘はあきらめました、そうだ!世の中冷たいねぇ~!でも、今までの調査料はバッチリいただいたよ! 請求料金にかなりお手当を上乗せして払ってくれたよ!おいしい仕事だったな!それじゃぁな!よろしく!ぐわっはっはっはぁ~!

 と、部長は豪快に笑い、どんよりとした半開きの目で虚空を見つめているキックの肩をパンッと叩いて、去っていった。・・・中止・・・捜索は中止・・・・?

 部長が去ったあと、そこにはニヤニヤと薄笑いを浮かべた2人のスキンヘッド男が、じっとキックを見つめたまま突っ立っていた。これが新しい私の部下?・・・キックは何もかも分からなくなっていた。ぼんやりと、その中途採用で今日から彼の部下になったスキンヘッドの2人の男を見ていた。口からは、よだれが垂れていた。

 キックは、このスキンヘッドの2人の男を、以前どこかで見たことがあるような気がしたが、もう虚脱状態で、すっかり腑抜けてしまい、何もする気も考える気もしなかった。
 
「ひひひひひぃ、いひひ、ほら、ほら、俺たちゃやって来たぜ。そう簡単には死なせやしねぇって言ったろう?お前の地獄は永久に続くんだぜ!!」

 スキンヘッド2人組はニヤニヤしながら、かすれたイヤ~な声をそろえて一緒に言った。

「おろろろろぉ?ははぁ、もうバカになっちまってんのか?しょうがねぇなぁ!!それじゃぁ、俺達がお前を、ちゃ~んと動かして、ちゃ~んと元気にしてやるからなぁ!!ほら、これだよ、これ!!使いな!!」

 スキンヘッド2人組は、顔面を不規則に歪めて、嫌らしく笑いながら再び一緒に声を出すと、ラベルに「W・スキンヘッド」と書かれたCD-ROMをキックの手に握らせた。そして彼らは完全に自我崩壊を起こして植物人間同様になってしまっているキックの手を、2人で“ぎゅっ”と強くつかんで、CD-ROMをドライブの中に突っ込んだ。

 すぐにインストーラーが自動的に立ち上がり、全画面はピンク色に変わり、「セットアップしますか?」という文字が現れた。スキンヘッド2人組は、力の抜けきったキックの右手を操って、次々と「OK」をクリックしてゆき、「W・スキンヘッド」のセットアップを終えた。そして再起動をかけてから、再び、キックの手を介して「W・スキンヘッド」の螺旋状のアイコンをダブルクリックした。

「ほら!出たろ!これだぜ!例のメールソフトはよう!ひひひぃ、誰も持っていやしねぇ!俺たちだけが持ってんだ!!!ほら!ほらっ!こうして、グィッとマウスを動かしてなっ!こうしてカーソールを画面から自分の身体の方に持っていって、自分をクリック!!そして、そ~のまま、このメールソフトの送信メール作成で開いたメールのところに、ゆ~くっり、ゆ~くっりっ、ドラッグして持ってって、貼り付けちゃうんだよぉおおおおおお。ほら!!!

 2人のスキンヘッドは、足を蛇の様にくねらせて踊りながら、ゲラゲラ笑って、声をそろえて喚きながら、キックを完璧に思い通りに操作していた。

 マウスを握ったキックの手を、2人で器用に動かし、カーソールを画面の外まで持ってきて、キックの体をクリックし、そのまま、スゥーッとドラッグして画面の中のメールに貼り付けてしまった。
 
 社内は何故だか薄ボンヤリと現実感を失い、さっきまでザワザワ大勢いた社員達の姿も、すでに何処にもなかった。ただスキンヘッド2人組の下品な大声が、巨大な鐘の中で反響するように響いていた。風景が殆ど形を留めなくなり、ピンク色に包まれていった。

「あとは、俺たちが、な、ちゃぁ~んと、送信してやるぜ!!ゲヒヒヒヒヒヒ!!」

 2人のスキンヘッドの男は、弾けた様に飛び跳ね、激しく頭をシャッフルしながらゲラゲラ笑い、2人で一緒にマウスを握り、右手の人差し指でキックが“染み”のように貼り付いているメールの送信ボタンを押した
 
 キックの意識は完全にフェイドアウトした。送信・完了
 
 スキンヘッド2人組が振り返ると、社内は、いつも通りにザワザワと大勢の人間達が動いていた。特に、いつもと変わったところは無かった。ただ、キックの存在を知る人間は誰もいなかった。もともとキックなんて人間はいなかったのだ。部長が大声で誰かの名前を呼んでいた。誰かの捜索依頼が来たらしい。
 
 

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H H  
H  


珍品屋で真っ赤な大きいゴミ箱を買った。

 珍品屋の店員はピンク色のスカートをはいていた。

 珍品屋の店員はピンク色のストッキングをはいていた。

 珍品屋の店員はピンク色のスニーカーをはいていた。

 珍品屋の店員はピンク色のノースリーブを着ていた。

 珍品屋の店員はピンク色に髪を染めていた。

 珍品屋の店員はピンク色のピアスをしていた。

 珍品屋の店員はピンク色の口紅を塗っていた。

 珍品屋の店員はピンク色のコンタクトをつけていた。

 珍品屋の店員はピンク色のマニキュアをしていた。

 珍品屋の店員はピンク色のニーソックスをはいていた。

 珍品屋の店員は透き通るような肌をした美しい女性だった。
 
 ロミ君は、圧倒された。
 
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 ・・・・・・・・

 ・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

      H「これ」



あこがれのピンク色の女


kipple


探偵キック 伍

2021-06-15 07:46:55 | 夢洪水(散文・詩・等)
探偵キック

 キックは、かたっぱしからサーチエンジンに「珍品屋」と入力し検索した。ごくマイナーなサーチエンジンのデータベースに一軒の検索結果が出てきた。そして、その該当リンクデータ「珍品屋」(コメント:チャットでこの世のものとも思えない楽しい会話が出来ます!)をクリックした。

 画面には、巨大なクリッカブルマップで、古ぼけた懐かしい感じのするレトロ調で描かれた骨董店みたいなGIF画像が張り付けられたホームページが現れた。ようこそ「珍品屋」へと看板らしき絵に描かれた文字だけが、極彩色にピカピカ点滅を繰り返しながら激しく動いていた。キックは情報屋からの資料の中から6人が集っていたチャットのURLを探し、今、彼がアクセスしているチャットに間違いない事を確認した。ふと何故、最初から、このURLでアクセスせずにわざわざサーチエンジンの検索機能を使ったのだろうかと思った。彼は、自分は導かれてるんじゃないか?そんな気がした。

 次にキックは画像の中に「チャットのお部屋・逆さま珍品チャット」と真っ赤な文字で書いてある箇所をクリックした。すると、すぐに画面は切り替わり、チャットのページが現れた。キックの額から妙に脂っこくて冷たい感触の汗が流れた。そして彼は、しばらくROMしていた。チャットに参加せずに中で交わされている会話をじっと見ていた。
 
 キックの頬が唇が、ひくひくと痙攣した。手が震え始めた。皆、いるのだ。「カルト」に「音楽室」に「キル」に「明るい家族計画」に「ロミ」に、そして「赤いゴミ箱」まで・・・。そして皆、何の問題もないように楽しく和気あいあいと会話しているのだ。

 キックは背筋をゾッとさせながらも、彼らの入力しているメールアドレスやIPアドレス・ドメインなどを調べた。そして今このチャットでリアルタイムに会話しているのは、ここ何ヶ月間、ちゃくちゃくと調査してきたレク夫妻の娘と、その恋人5人である事が間違いないという驚愕すべき事実を突き止めた。

 会話から読みとれる内容や性格も、まるで調査結果と同じに見えた。しかしチャットの中では極端に違う、その性格も緩和され何だか皆、仲が良さそうだった。お互いにそれなりに許容しあっているようだった。しかし一人は失踪中で、一人は自殺し、一人は精神病院に入院中のはずだ。入院しているキーホーはパソコン等の機械類の操作などできる状態ではないはずだ。こんな妙な事があるわけが無かった。
 
 そんなバカな事が、あってはいけないのだ!
 
 キックは思い切りタバコの煙を画面に吹きつけると、

「こいつが生きてるわけはない、生きてるわけない」

 と、つぶやきながら、殆ど無意識に自分のハンドルネームを「ロミ」と入力して入室ボタンを押した。何だか頭が、ぼんやりしていた。自分が何をしようとしているのか、よく分からなかった。ただ確かめたい、それだけが、その言葉だけが頭の中でグルグル回っていた。

 そして、キックは「珍品屋」のチャット部屋に入った。 


■お知らせ:ロミさんが入室されました。
カルト:こんにちゃぁ~>ロミ

音楽室:ちわぁ~っす!>ロミ

キル:こんにちわ、はじめまして!>ロミ
明るい家族計画:こんちわ、よろしく!>ロミ
ロミ:・・・同じだね・・・君は・・僕と・・・>ロミ
赤いゴミ箱:あら、こんにちわ。お初!>ロミ
ロミ:みんな何の話を、してるんだ?>ALL
カルト:不思議なメールの話だよ!>ロミ
音楽室:不思議なメールの話だよ!>ロミ
キル:不思議なメールの話だよ!>ロミ
明るい家族計画:不思議なメールの話だよ!>ロミ
ロミ:・・・同じだね・・・君は・・・僕と・・・>ロミ
赤いゴミ箱:不思議なメールの話だよ!>ロミ
ロミ:どんなメールなんだ?君たちは何ものなのだ?どういう事だ?>ALL
カルト:僕はね、キックさん。そのメールに彼女を添付して違う世界に送っちゃったんだよ~(^_-)>ロミ
音楽室:そのメールはね、自分でも他人でもいいから、どんな世界へでも飛ばしてくれるんですよ!キックさん(^_^)>ロミ
キル:キックさん。そのメールソフトの名前はね、W・スキンヘッドって言うんだ。(^O^)>ロミ
明るい家族生活:オレが飛ばしたんだよ、キックさん。そのメール・ソフトでオート添付プログラムを送ってな!(^^;>ロミ
ロミ:キック、僕は君なんだよ。探偵だよ。高校出てから、この興信所に勤めたじゃないか!僕は自分を添付して送ったよ!どう?ほら僕である君も違う世界へ、うまくいけば僕と同じこっちの世界へ来ないかい?自分で自分を添付して送っちゃえ!σ(^_^) >ロミ
赤いゴミ箱:キックぅ~!あたしは誰かに飛ばされちゃったわぁ(-_-;)♪>ロミ

 キックは身体中を、ぶるぶる震わせていた。胸の奥の方から得体の知れない恐怖感が、こみ上げてきて気持ちが悪くなってきた。マウスを握る手も汗だくになり、震えていた。ひたすら薄気味悪かった。いったい、このチャットは何なのだ?これは現実かのか?それとも私は正気を失いつつあるのか?

 ここにいる奴らは、本当に私がじかに出会い、身辺調査をしたあの人間達なのか?そんなバカな、何故、死人も参加しているんだ?私?オレ?僕?は、ロミ?ロミは私?どういう事なのだ?ロミ=青年Zは自殺しているじゃぁないか。

 キックはガタガタふるえる手で、もう一度文字を入力し発言ボタンを押した。顔面がひきつり、顎がガクガク鳴っていた。


ロミ:君は何を言ってるんだ!君は自殺したんだろ!誰か他の奴が悪質な悪戯をしてるのか!私が君とは、どういう意味だ!説明しろ!>ロミ
ロミ:バカだなぁ、キック。忘れてるのかい?僕は君自身なんだってば!青年Zはキックなんだよ。いいかい?君は今、ブラウザをもう一つ立ち上げて、一人二役をやっているんだぜ。もう一人のキックだよ。そして、もう一人のロミだよ。忘れたかい?電車に飛び込む寸前に、僕たちは、あの2人のスキンヘッドに飛ばされたじゃないか!いいかい?僕たちの自殺の目撃証言や警察の調書なんかは全部でっちあげなんだぜ。無数の肉片に飛び散った死骸なんてありゃしない。あの2人のスキンヘッドが集団暗示を仕掛けたんだ。全て妄想なんだよ。何もありゃしない。わかるだろう?いいかい?僕たちの目的を忘れちゃいけないよ。僕たちは、他の4人の極端にはっきりとした心身の持ち主たちとは違って、極端に分かれた強い人格と弱い人格を交互に出しながらバランスを取っている優秀な人間なんだぜ。いいかい?わかっただろう?彼女。何もない彼女。平坦でカラッポで、自己の存在を確認できない彼女。そう、君が探している女「レク夫妻の娘=赤いゴミ箱」の心を埋めてあげなきゃいけないんだよ。カラッポの入れ物、カラッポのゴミ箱の彼女の中を僕たちの超アンヴィバレンツな人格と身体で、たっぷり満たしてあげなきゃ!わかったろ!青年Z!キック!>ロミ  


kipple


探偵キック 肆

2021-06-14 08:09:14 | 夢洪水(散文・詩・等)
探偵キック

 キックは、すっかり目が覚めて、すっきりとした頭で、もう一度、5人から得たレク夫妻の娘に関する情報を整理してみた。全員に共通しているのは、インターネット上の「珍品屋」というホームページに置かれたチャットルームで知り合っているという事。自殺した青年Z以外の最後のメールには皆“飛ばす、送信する、添付する”等の(ネットワーカーたちの間のスラングだろうか?)言葉が書かれていた。悪意を感じるものもあった。
 
 キックは立ち上がり、窓を開け、昼下がりのいつもの都市の風景を見て外の風を浴び、近くを通りかかったアルバイトの女の子にコーヒーを入れて貰い、再び机に覆い被さる様に座って考え込んだ。

 コーヒーが胃にしみ込み、頭の芯が何となく鮮明になった気がしてきた。そうしてコーヒーを、ちびちび飲んでいるうちに何となく、何故彼女が失踪したのか、その理由が、ぼんやりと分かってきた様な気分になった。
 
 自殺した一人を除いて、彼女の恋人達は、両極端なんだ。はっきり言って簡単に強者と弱者に大別できてしまう。

 知的で頭脳明晰で強靱な身体を持ち合わせたカルチュアとミックは強者。あきらかにぼんやりした感じで頭の回転の鈍そうな、病的で虚弱そうな、惨いイジメにあった過去を持つキーホーとキップルは弱者。

 彼女は、この両極端な人間達を自ら選ぶ様に、チャットやEメールで内面の強弱も確認してから、交際していた。彼女はチャット以外の現実の中で知り合った人間とは、どうしても友人にも恋人にもなれない様だった。彼女こそ極端に外見から入ることのできない、現実の他人の輪郭を恐れる事からのヴァーチャルなものへの希求と、アナログな多人数との濃厚で過激なSEXによるコミュニケーションを同時に希求する極端に矛盾する人格の持ち主だったのではないだろうか。
 
 アンヴィバレンツ。
 
 キックはコーヒーを半分くらい飲み終えると、ここ何週間か吸っていなかったタバコに火をつけた。少し頭が、くらっとした。キックは考えた。

 問題は自殺した青年Zだった。彼の人間像は、あまりにもバラバラだった。他の4人は身辺からの情報でも本人自身からの情報でも、強・弱と両極端にはっきり分けられるのだが、青年Zの場合は周囲のイメージがバラバラで、すでに本人から情報を得るのは不可能だった。

 周囲の聞き込みから得た彼に対する見方は、見事に分裂していた。明るい・暗い。凄く健康的・凄く不健康。外向的・内向的。まるで青年Zは極度にアンヴィバレンツな2重人格者のような存在としか思えなかった。
 
 アンヴィバレンツ。両極端な4人と、一人で両極端な人格を持った青年Z。そしてアンヴィバレンツを好むレク夫妻の娘。彼女自身は男好きはするものの、どうみても何の特徴もない存在感の薄い人格。さらに自分自身のその人格に悩んでいたふしがある。自分自身が空洞みたいな人格だから、そこに極端に強弱の偏った人間たちと交際する事によって自分を埋めてちょうどいいバランスを作ろうと考えていたのかも知れない。

 この6人が彼女の失踪時から半年程前にインターネット上の「珍品屋」というホームページに置かれたチャットルームで知り合った。キックは、ここに彼女の失踪の謎を解く鍵があるのではないかと思った。 
 
 
 キックは交換メールとチャットの過去ログから割り出した6人のハンドルネームをメモ用紙に並べて書き出してみた。

 

 
カルチュア  のハンドルネームは 「カルト」

キーホー   のハンドルネームは 「音楽室」

キップル    のハンドルネームは 「キル」

ミック     のハンドルネームは 「明るい家族計画」

青年Z    のハンドルネームは 「ロミ」

レク夫妻の娘のハンドルネームは 「赤いゴミ箱」
 


 そしてキックは、このハンドルネームの中に何かが、何かが、隠されているような気がした。パズル?暗号?言葉遊び?何かの意味があるような気がした。彼は腕組みをして暫く考え込んでいた。そして、決心した。手掛かりは全て、そのチャットにある。行ってみよう。そこに何があるのか、この目で確かめよう、そう思った。

 キックは、ぐいっと一気に残りのコーヒーを飲み干すと、目の前のパソコンに向かってタバコの煙を吹きつけながら、マウスを握りディスプレイの中のブラウザのアイコンをダブルクイックして立ち上げ、インターネットにログインした。



kipple


探偵キック 参

2021-06-13 07:28:35 | 夢洪水(散文・詩・等)
探偵キック

 キックは必要資料の収集と聞き込み作業は、もうこれで充分だと思った。これ以上やってもそれは無駄だろうと思った。何となくそんな気がした。後はじっくりと集めた情報の中からポイントをピックアップしてゆけば何かが浮かんでくるだろう、そして彼女の失踪理由と失踪先が判明してくるだろう、と思った。

 キックは興信所の自分の机で今まで集めた全ての資料を丹念に読み返し、それぞれの証言テープや関連資料から類似点や相違点や矛盾点を整理しまとめ上げてゆき、個人別に失踪したレク夫妻の娘との関係性に置いて重要と思われる箇所を調査報告書としてワープロに入力していった。作業は徹夜に及んだ。

 翌日の昼頃、キックは目覚め、近くのコンビニでサンドウィッチとコーヒーを買って来て、他の社員のざわめきの中で朝までかけて入力したワープロ文書を印刷し、読み返し始めた。寝起きのぼんやりした気分の中で彼は心の奥底の方で何かが、これ以上この依頼に関わるべきではないと忠告している様な気がした。


 
「レク夫妻の娘の失踪に関する中間報告書」
 
 
●証言者:カルチュア

 東京在住の理工系大学生。年齢20才。血液型A型。極めて傲慢で支配欲の強い性格。頭脳明晰で非常に知力に優れている。体力的にも剛健で幾つかの武道において初段以上を極めている。全てに置いて優越感を持ち、全ての他者を愚人と呼び蔑視している。

 レク夫妻の娘との出会いは失踪時から約半年前で場所はインターネット上の「珍品屋」というホームページにおかれたチャット。数十回のメール交換の後にオフで彼女と出会い、すぐにホテルへ行き肉体関係を持つ。メールの内容は最初の頃は執拗な彼女へのラヴコールだったが次第に嫉妬心が露わになり攻撃的なものに変わっていき狂気じみて来る。
 最後のメールには一言“あれを使っちまえ!お前を飛ばしてくれるぜ!淫乱地獄へ行っちまえ!”と書かれていた。 

 
●証言者:キーホー

 九州の精神病院に入院している重度の強迫神経症患者。レク夫妻の娘の失踪当日に自主入院している。高卒。元コンピュータープログラマ。年齢24才。血液型B型。極めて繊細で受動的な性格。あまり知的な人間ではなく物事を表面的にしかとらえられない愚鈍なタイプ。

 レク夫妻の娘との出会いは同じく失踪時から約半年前の「珍品屋」というHPに置かれたチャット。数十回のメール交換の後に東京にやって来て同じくオフで彼女と会う。しかし緊張して話すことも出来ず、結局、十数回静かなデートを繰り返し強引に彼女側からホテルに誘い込まれる形で性交渉を持つが、初めての性体験のショックにより強度の妄想と強迫観念を抱くようになり数回の自殺未遂を経て自主入院する。
 最後のメールには“僕は、ここの世界の人間じゃないんだ!メールに添付されて、本当の僕の世界から飛ばされちゃったんだ!”等、意味不明の内容が延々と綴られていた。 

 
●証言者:キップル

 北海道在住の文化系大学生。年齢19才。血液型A型。見るからに腺病質で気の小さそうな青年。幼い時から病気がちで外出はあまりせず、今も試験日以外ほとんど大学にはいかず、自宅でビデオを観たり音楽を聴いたりしている。劣等感の固まりのような人間で自分は世界で最低最悪だと思っている。自閉的なタイプ。

 レク夫妻の娘との出会いは同じく失踪時から半年程前の「珍品屋」というHPに置かれたチャット。彼も数十回のメール交換の後で夏休みに東京の実家に帰って来た際にオフで彼女と会う。その後、ビデオの交換やCDの貸し借りなどをするために数回会ったのちに、どちらからともなくホテルに入り肉体関係を持つ。
 交換メールの内容は性交渉を持ってから次第に彼女を罵倒するものが多くなり、最後のメールには一言“そんなに、この世界がイヤなら僕が君をメールに添付して違う世界に送ってあげるよ”と、やはり奇妙な文章が書かれていた。 

 
●証言者:ミック

 四国在住の某有名総合商社専属のフットボール選手。年齢25才。血液型O型。非常に社交的で明るい性格。妻帯者で仕事も試合も順調で幸福の真っ最中。精神的にも肉体的にも強靱で完全にアウトドアなタイプ。豪快で知的でもあり他者からの評判も良く、がっしりした身体に輝くような笑顔をたやさず、聞き込みに対しても一番快く応じてくれた。

 レク夫妻の娘との出会いは、やはり失踪時から約半年前の「珍品屋」というHPに置かれたチャット。彼は数回のメール交換の後、仕事で上京した際に彼女と何度か会い、2度目に彼女を自分の宿泊しているホテルに呼びだして性交渉を持った。
 交換メールの内容は彼の外見とはうらはらにサディスティックで被害妄想的な文章が多くなり、最後のメールには“これ以上、無言電話を繰り返すようなら、お前を逆さ吊りにして添付するメールソフトを送ってやるぞ!消えちまえ!お前は邪魔なんだよ!これ以上オレの家庭にちょっかい出しやがると遠隔操作で張り付けてやるぞ!”と、これも奇妙な内容が記載されていた。 

 
●証言者:青年Z

 沖縄在住の無職の青年。高卒。卒業以来一度も働いた事はない。レク夫妻の娘の失踪当日に自殺した。自殺時の年齢24才。血液型AB型。身辺調査による情報から浮かび上がってきた彼の人物像は、あまりにも両極端なものだった。ある者は彼を、とても気さくで陽気で社交的で健康健全そのもののようで、はちきれんばかりに元気なアウトドアーなタイプの人間だったと言った。又、ある者は陰湿で挨拶も一度もした事無く、何を考えているのか全く分からない不気味で内向的で不健康で、めったに家から出てこない病的な感じの人間だったと言った。彼の両親は、すでに他界しており、その遺産で一人暮らしをしていた。
 高校卒業後、何をしていたのか分からない一番謎の多い人物。自殺の原因は不明。方法は電車への飛び込みだった。死体は無数の肉片になって散乱し、身元の確認が困難だったためにDNA鑑定のデータをもとに住民データベースに登録されていたDNAデータとの照合により確定された。多数の自殺目撃者がおり、彼は楽しそうに赤いゴミ箱のようなものを抱えて飛び込んだらしい。その赤いゴミ箱らしきものは破片も何も発見されなかった。

 レク夫妻の娘との出会いは、彼も皆と同じ様に失踪時から半年程前の「珍品屋」というHPに置かれたチャット。彼も又、十数回のメール交換の後、レク夫妻の娘が沖縄に遊びに行った時に会い、数回、性交渉を持った。それ以後もメール交換を続け東京でも何度か会って肉体関係を継続させていた。
 メール交換の内容には彼の分裂した、アンヴィバレンツな人格がよく現れていた。時には罵詈雑言を百行以上に渡って綴ったメールを送ったり、時には優しく悩み事の相談に乗ってあげている様な内容だった。最後のメールは“人生って何だと思う?この世界って何だと思う?僕のハンドル名は、ほら、君、君だよ”と書かれていた。 


 報告書を、読み終えるとキックは伸びをして、ゆっくりと社内を見渡した。ザワザワしていた。そういえば、今日はキックの部に何人か中途採用の新入社員が配属されると聞いていた事を思いだした。しかし、もう昼も、とっくに過ぎているのに来ている気配は無いようだった。

kipple