元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

あっしは、kippleってぇケチな野郎っす! 基本、自作小説と、Twitterまとめ投稿っす!

さすらい少女2004夏 3

2021-07-30 07:00:23 | 夢洪水(散文・詩・等)
さすらい少女 2004

-3-


 ゴトゴト発車してから思ったよ。人間どうしのさり気無い触れ合いってのは、なぁーんて気持ちが良いのだろ~♪って、えへへ。人間どうし、見ず知らずの他人どうし、見ず知らずだからこそ、一瞬にして相手どうし気分良く気持ちを通わせることができるのかいな?でも、それが少しでも人間関係、長くなり、相手の性格やら知るよーになっちゃうと、壊れるんだよ。相手の嫌なとことか知っちゃったりして、つい心の中で難癖つけちゃったりして素直になれないっていうか、どうしてかなぁ、人は、人を批判せずには生きられないのかなぁ。影で悪く言うの楽しいもんね。関係、濃くなると、すぐにそーなるね。だからメール来てるかとか掲示板で評判落ちて無いかとか気になるんだね。そう思うと、一瞬の見ず知らずの他人との触れ合いってすんごく大切なことだったりして。仲良くなったり付き合いが長くなると、どうしても相手に対して疑いの心が首、もたげるんだよね。だから不安なの?じゃ、疑いの心が首をもたげる前に別れちゃえばいっかぁ~、なぁんて訳にもいかないし、あー人間関係かぁ。

 などと私は普段、考えたことも無い事を考えながら、そういう自分を何だか健気だなんて、ちらっと思いながら、各駅停車の奈良ゆきでゴトゴト揺れて、ビックリするほど綺麗な夕暮れの山々を窓から見つめつつ、実は、とーっても、い~い気持ちなんだよ、これがねぇ。電車は、ずっと川沿いに走ってるのよ、なんちゅー素晴らしい景色だろぅ、こんなの海外旅行でも行かなきゃ味わえないと思い込んでいた自分がショック!思えば日本を旅するほうが、ずっと自由かもしんないね。外国だと、やれパスポートだ、どこが危険だ、言葉通じないし、文化違うし、思えば不自由だ。げ、何で気づかないかね、そんな簡単なこと。

 お?川で泳いでる人たちが見えるよ。つい私は窓から頭と両腕を突き出して、清々しい空気を思いっきり吸い込んだ。ふぁー涼しいーいい気持ちー!ちらっと柳生の里って書いてある看板が見えたよ、忍者の里だったの!驚くべきさすらい一人旅、へーん、キャプテン、君は結局、1人じゃ旅に出られなかったんじゃないのー?本当は淋しがり屋さん?うふふ。

 とかなんとかやってるうちに、あっと言う間に奈良に着いたよ。駅を出ると、ふぁ~暑い暑いまだ暑い、でもまだまだ、さっきの川の空気の清涼感が私の身体にたんまし詰まってるもんねー。なんのなんの。それより、駅から、ずっとそうだったけどさ、なんちゅー人の多さよ!まだ明るいし、さすがに夏休みだ、夜はこれからってかな?

 でもねー、私も繊細で心清らかな乙女じゃん?さっきまでの人っ子1人いないピカピカ田んぼ世界から、電車降りるといきなりこれだもんなー。ちょっとね、気分が暗くなって落ち込んでるのを感じるんだよ、実際。何でだろう?やっぱメールで連絡したりできないし孤立無援のさすらい旅のせいかな。ここには味方になってくれるダチも親もケータイも無いんだ。でも、その代わり自由だから全部、自分で判断して決めて何とか気合で乗り切ればいいのだー!できるわよ!私なら、絶対!え?変に自信がついてきたのは何故?うふふ、独りぼっちのさすらいの旅が自分に、そこらの下々の雑踏のつるんでる皆様より、どーんと優越感を与えてくれてるんだよ、私は偉い!自分で決めて生きてるんだぞってね!しかし、さすがにさすらいの一人旅とはいえ1日目だわな。私って、かなり単純?っつーか、軽いんじゃ?うぅ、ちょいと考えるの置いておこうっと!

 さて、どうしよう。よし決めたわ。そこに案内所って書いてあるから窓口のお姉さんに今宵の宿を探してもらおう、そうしましょうそうしましょう。でも、こういうのも初めてなんだなぁ。案内所ってそういう事してくれるのかなぁって考えてると不安になってきて、ちょっとへっぴり腰してしまいそうなので頭カラッポにして顔をニカッとさっきの駅員さんモードで「今晩泊まれるトコありますかー!」って元気印で聞いてみたら、チョー事務的に値段も手頃の「えんらく旅館」というトコを紹介してくれたよ。プロだね、この人。微笑が、欲しいトコだねぇ~なぁんて贅沢言ってらんないっつぅーの。お姉さん、あんがと、と明るく礼を言って、さっそく教えてくれた通り、まず、さっきの三条通りに戻ったよ。

 うげぇ、やっぱ人がスゲー多いし、この車どもが強引に人ごみに割り込んで来る厚かましさは何?東京と違うね。それと、良く見ると何だかガラの悪い人が多いような気がするよー。嫌だ嫌だ。こんなとこで襲われたら絶体絶命だ。そーろそろと目立たぬように旅館を目指した私なのでした。でも何故か、夜の渋谷なんかとは全然違うスリルがあってちょっとワクワクしちゃう自分が笑えるわ。あはは。

 てな訳で無事に紹介された旅館に着きまして、ガラッと大きなガラス戸を開けると、今にも倒れそうな感じのお爺さんが“いらっしゃい、お待ちしてました”とロビーで待ち構えていてビックリ。完璧じゃん。案内所が凄いのか、この旅館が凄いのか、とにかく偉い!連絡がバシっと行き届いて、バシッと旅館がプロフェッショナルなのだー!お爺さんは私に丁寧にお辞儀をすると先払いですと言うので、げ?ぼったくりじゃ?って思ったけど、まさかね、で、記帳して、部屋に案内してくれたよ。色々、お風呂のこととか説明してくれて最後にニカッて笑って去って行ったんだけど、その時のお爺さんのニカッの笑顔が、スンゲー可愛いの!今日は例の駅員さんといい、ここのお爺さんといい、ニカッの一瞬のふれあいでハッピー2個ゲットしたよ。こりゃ幸先よさそーだわ。うふふふふ。胸が何だか、ジンときちゃった。あら、涙が少し流れてんの。変な私、やっぱさすらいの一人旅は小さな事にも感動をもたらすもんなのかねぇ。倍増されんのかな?ひょっとして私、淋しいのかなぁ、だから人の優しさにすぐに胸ジンジンしてまうのかな?

 まいっか。取り合えず、部屋でゆっくりだ。ふぅ~、お、冷たい麦茶ね。ゴクゴク。おいしー!って急に宿が確保できて安心したせいか、まったり眠くなってきたけど、おっと、夕食まだじゃん。そーいえば、さっきお爺さんがもう夕食は終わったから外で食べてくださいってなこと言ってたわ。うーん、すっかり尻が畳にくっついちゃって引き剥がすのに気合がいるけど、えいっ!と私はガッツで立ちあがり、もう1度麦茶をゴクゴク飲んで、勢いつけて外出したよ。

 で、さー、外に出るとき、向かいの部屋から赤いシャツ着たチョーイケテル感じの男の子がばったり出てきて私を見て、ハッとしたように白い歯出して笑ったようで、それも又、ニカッと凄く感じの良い笑いなもんで、ポッ、何だか私、ドキドキしちゃって、結局、近所のマックでビッグマック食べて、又、帰った時に会えるかなぁ~なんて乙女心を弾ませてたんだけど、いなかったよ。旅のアバンチュールってんだっけ?恋の予感?えへへ、ちょっとおいおい私は、かなり軽薄になっていやしませんか!と。だめだめ私はさすらいの一人旅、そんな男探してうろついてるわけじゃないんだ。キャプテンに怒られるぞ。私はキャプテンが時計を捨てたように、ケータイと掲示板やらをポ~ンって捨てて自己解放してスッキリするために旅してるんじゃなかったっけ?プチだけどね、プチ。

 去れ!気になってしょうがないストレスよ!ってなとこか。生命力充填、いつもメールを気にして書き込みを気にしてウイルス気にして若い身空で神経精神ボロボロで、イライライライラ不安でしょうがなくて、そのうちすぐキレる凶暴な少女になっちゃう前に、それらを捨ててみて、そんなものいらなくても大丈夫だよって不安から解放されるための再生の旅!なーんちゃってカッコいーン!とにかく、さすらいの旅して年がら年中の繋がり普通状態から溜まったドロドロを溜まる前の状態にリセットしてリフレッシュね。そんなとこだ。

 考えてるうちに自分でも混乱してきて良くわかんなくなってきて説明できないけど、そーいう時はお風呂に入って寝てしまおう!明日は旅の2日目だ、もっともっとメールや掲示板の呪縛に負けないようなたくましい私にきっとなっていくんだ!ほら、もう、けっこうメールも掲示板も気にして無いじゃん、げ!けっこう今、気づいて驚いた。こりゃ、いけるかもねぇ。ああ、しかし、さっきのイケテル男の子、また思い出しちゃって、何だかもぞもぞ、やだ性欲を少しおぼえてるわ。きっとテンション上がって、こっちの方が解放されてきちゃったのね。やれやれ、あぶねーや、こんなとこで、注意注意赤信号だぞ。頭に気合入れて気を引き締めよう。

 ふあーさすがに今日は色々ドキドキしたせいか身体が眠りを猛烈に欲してるみたいだぁ、さてお風呂入って寝ようっと!
 





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さすらい少女2004夏 2

2021-07-29 06:38:33 | 夢洪水(散文・詩・等)
さすらい少女 2004

-2-


 そして、とうとう、こんな根性無しの私も、2004年のばっかみたいに暑い夏に、ついに!ついに!颯爽と!親も親戚も社会も捨てて格好良くバイクにまたがり、子分のキモイだちこうを連れて荒野に旅だったの!なんて、わけないじゃん。でもね、ついにやったんだよ。夜に、こそこそお父さんとお母さんが寝たのを見計らい、小学生の弟がTVゲームやってんのを尻目に、抜け出して、とにかく東京駅に行っちゃおうと思ってケータイで情報検索しようとして、あっとしまった!ケータイ持ってきてるよ。

 というわけで、そうとうお間抜けな感じで、すごすごと家に戻ってそっと部屋に戻ってベッドにケータイ置いて、再び、そっと家を出て、今度こそはと思うと急に不安になり、何故だか足が戻ろうとするので、もう何も考えずに何だか無我夢中になってまるで夢の中のようで、気づいたら夜明けの名古屋駅で独りぼっち。うぇっ、ひょっとして、あったし、ピンチ?バカだったかなぁ?心臓バコバコで、あちゃーTシャツにジーンズにスニーカーのまんまだし、ハートマークの肩かけバックにタオル地ハンカチと100円ショップの財布一個、が~ん!メイクはどーしよー!生理は、あ、終わったばっかだ、ラッキー神様、って感じで、まあ私も、とわ言っても抜け目無く何万円か持ってるし、カードもいっぱいあるし、ま、大丈夫でしょ。

 って思ったものの、一人なのよ。一人なのね。ケータイも無いし、今頃誰か書き込んでるか?あー止め。メールや掲示板の事考えて独りぼっちな自分にゾーっとしてきた。どこへ行こうか?ええい!こうなれば!さあ殺せ!さあ殺せ!腹が減っては戦はできぬ、ので、まず食事ね。私は思ったよ。けっこう、私、開き直り、得意かも。と、いかにも変な娘まるだしで駅周辺をうろつくが、お洒落なのがない。ダセー駅だ。イイカゲン頭がくらくらしてきたので、もーうまだ朝なのにって思ってたら、もう11時で相当暑くて、お手頃なトコで手をうちますかと、けっこう歩いたトコにデパートがあったんで入って5Fでカツ丼食べたよ。カツ丼だよ、うら若き乙女の喰いものかね。食べながら、帰ろうかと思ったけど、これで一人旅終りじゃキャプテンに申し訳がたたないやと思い、根性だと自分に言い聞かせ腹に力を入れ思いっきり、

「よっっしゃーーーーーーー!」って叫んでみた、もちろん心の中でだよ。

 デパートの横にコンビニがあったので時刻表を買って喫茶店に入った。しかし、この名古屋というところは、やたらと喫茶店が多いねー。ダッセー。1人で喫茶店に入るのも初めてだったもんでバコバコしたけど、まあゆっくり涼んで次に奈良に行って、あとは野となれ山となれって感じで3日位したら帰ろうって思うと、帰った時の親の顔なんかが浮かんできて、あーうざったいなーって気分が沈んできたので、出発だ。ってアイスコーヒー一杯で1800円だってー?ダッセー!ダッセー!と思って駅に戻っていくと、げっ、マックもスタバもあるじゃん!がーん。ショックのあまり名古屋駅から飛び乗った電車は鈍行で、アナウンスが「松坂は後方の3両だけであとは切り離します」だのなんとか言ってんの!で、これ奈良行かないの?って思って聞いてみようかと、隣を見ると私と同じ位の年の女の子がひたすらケータイ打ってるんで額に縦線入ったよ。思ったわよ。適当に座ったまま運にまかせようってね。さすらいの一人旅なんだし、別に奈良にこだわる必要無いじゃん、ねぇキャプテン。

 そう思うと俄然、何だか隣の娘より自分の方がものすごーカッコイイみたいな気持ちになってきて夏の輝く窓の外を眺めているうちにウッキウッキと楽しくなって来たから不思議なもんね。そしたらさ、急に何だか畑とか見えるんで身体が興奮っていうか感動って言うかムズムズしてたまらなくなって、次に止まった全然知らない駅で降りちゃった!

 降りた駅は小奇麗な小さい「柘植(つげ)」という駅で、看板に“切符の切れる駅”って書いてあんだけど、なんのこっちゃ?小さな構内にハンコ台があって駅のスタンプが押せるようになってるの、さ・さすが田舎だわ。それで、そのハンコ台の上を見ると時刻表が電光掲示されてて、げっ!次の電車は4時だってぇー!今、まだ2時だよ。客らしき人はいなくて夏の光がピカピカに飛び込んできてて、暇だし、窓口に行くと感じの良い駅員さんがいて、ニカッと笑って私を見たので何だか恥ずかしくなって駅を飛び出ちゃった。何してんだろう、私。ひやひや。

 しゃーないなぁーって、今夜はここで1泊するか、なぁんて考えて駅前のカンバンやらを見まわして今宵の宿を探したんだけど、全然。ここ何も無いんじゃない?ただの田舎の町。だーれも見かけないしぃ。参ったなぁ。駅の中に一応“切符の切れる駅”なんて観光客寄せみたいな事書いてあったのにぃ、全然だ。客なんて来ないよ、こんなとこフツー。だって何もないわよぅ。

 カンカン照り、カンカン照り。どっちにしろ4時まで電車は来ないわけだし、駅で待つのも、さっき駅員さん見て飛び出してしまった手前恥ずかしいし、よし!ま、せっかくの、さすらいの1人旅さ、ぶらついてみるのもいいさ。

 ってな訳で、ま、暇なわけで、田んぼの畦道を歩いた。暑い暑い、ぶーらぶら、ぶーらぶら、暑い暑い。げ!自分の影が見えないって思ったら小さくあったよ。それほどカンカン照りなわけで、いつのまにか汗びっしょり。臭いかなぁ。くんくん、そうでもないや、えへへ、まだ1日目じゃーん。そんな小さな事で何だかすぐに元気が出てきて、お?っと見ると田んぼの中にミステリアスな掘建て小屋があるじゃないの!何だか頭パーになってきたかなぁ、こんな事が楽しいんだ。覗くぞ!覗くのよ、私。そろそろとジリジリ焼けつく日差しの中を畦道づたいに小屋に近づいていって覗いたのです。・・・薪と藁。マキとワラ。蜘蛛の巣。うぅ、ロクなものは無い。でもワクワクするのは何故?

 それから、どこもかしこも田んぼだらけで、なるべく駅を見失わないようにウロウロ歩いて行くと国道に出たよ。あたた、急に足が痛いのに気が付いて、しゃがみこんだ私です。しかし、影がないねー!世界が全部、光ってるよ。こんな事を感じたことってあったっけ?よしよしと、って遠くから聞こえてくる綺麗な風鈴の音を聞きながら無風状態の灼熱道路でしゃがみながら、私は計画をねったのさ。

 よし!今日は、やっぱり奈良に行こう!と、簡単な計画だけど、気づいたよ。私は、一人で決めてるんだよ。考えてみれば、いつも回りには誰かがいて何もかも決めてくれて自分もそれが当然のように思っていたし、メールで相談してもいいし、結局、みんなと同じ方向に行けばいいんだと当たり前のように思ってた。でも、今、誰にも相談してないし、みんななんて見本はないし、あっそうか!これが1人さすらいの旅ってやつだな。全て、自分が決めて行動するのよね!ずぅーん!ちょっとしんどい感じもするけど、何、この開放感!自由じゃん!何もしなければ、ここで野たれて死ぬ事も自由だし、決めれば、どこだって行けるんだ、なんだ当たり前のことじゃん!ふぁー世界は、あったしの自由って感じぃ~♪

 そりから炎天下にいたせいか立ち上がるのがちょっと億劫だったけど、結局、駅に戻ってジュース飲んで汗乾かして、奈良行きの切符を買おうと販売機の前で、もぞもぞしてると、さっきの駅員さんが来て、

「奈良までですね、ちょっと待っててね」

 と言って窓口の方に行って切符を持ってきてくれて、ニカッと笑ったんだよ。つられて私もニカッと笑っちゃった。

「気をつけていってらっしゃい」

 ってさらにニカッと追撃を食らった私は、ゴキゲンな気分になって、私もニカッて笑って「有難うー!」って手を振ってホームに入るとラッキーっていうか、もう4時ギリギリだったか、電車がきたよ、すぐ乗った。
 





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さすらい少女2004夏 1

2021-07-28 06:43:39 | 夢洪水(散文・詩・等)
さすらい少女 2004

-1-


 私は中学2年の夏休みに、たまたまケーブルTVでやっていた1970年代アメリカ・ニューシネマ特集というやつで、「イージーライダー」という映画を見た。最初は古臭い映画だなって、それに長いし、イケメン風の主人公のキャプテンも何かダサイし、キャプテンと一緒の片方の男の顔は、はっきり言ってキモイ。そう思って途中なんか眠くて最後に2人とも撃ち殺されるまで何だかストーリーもあるんだか無いんだかワカンナイ、変なの見ちゃったって感じだった。

 知らない人の為にちょっとストーリーを言うと、って言っても私も半分眠ってた感じで見てたから自信ないんだけど、昔々、アメリカにヒッピーという人たち(主に若者なんだと思う)がいて、そのヒッピーの2人組が自由を求めて、ありきたりの人生をすてちゃうんだよ。捨てちゃうって言っても難しいと思うんだけど、親とか親戚とか社会とか、そういうのに関わった一般的な常識的生き方っていうか、会社員になるとか、結婚するとか、まあ、そういうのを止めちゃって、大きなバイクに乗って広い荒野に旅にでるの。昔の西部劇に出てくるような荒野のハイウェーをバイクで突っ走るわけさ。金はどうすんだよ、とか将来無いじゃん、ばかじゃない?ってそう思ったよ、当然。しまいに本当にゴミみたいに殺されちゃうし、実は相当、バカな話なのかもしれない。

 でもね、それから、ふっと一人になった時とか、最初に時計を捨てるシーンが頭をよぎるの。夜、寝るときとかね。そんで、何で時計を捨てたんだろうって考えるようになっちゃってさ。ああ、そうか時間に追われて生きるっていう、何て言うか時間に束縛されるのが嫌だったって事か、いやいや時計はアリキタリの生き方の象徴なのかなって、そんな風に考えているうちに、ある時、「なんだ、時計だけ捨てればいいなんて、楽な時代だわ」って呟いてる自分にビックリ。

 思えば私たちの世代って、毎日毎日どころか、毎分毎分ケータイのメールが入って無いか気になってチェックチェック、また、自分のホームページのアクセス数が今日は何件あったか、掲示板にカキコがあったか、ないと不安になったり、また、自分が書いたカキコミにレスがついて無いか、やきもきやきもき、しょっちゅう確認して神経をすり減らす毎日だ。私は今、高1女子だけど、中学に入った頃からずっとこんな感じで生きている。起きればメールチェック、御飯食べてる間にも返事を打ち込み入ってくるメールを確認してる。そんで、暇さえあれば掲示板をチェック。誰も書いてくれてないと不安になるし、書いてあればあったでレスを相手に好感を与えるように最大限気遣って考えて書き込んだり、またその自分の書き込みへの反応が気になってイライラしたり。私たちって、まだ15才なのに、なんでこんなに神経をすり減らして気を使って年がら年中、メールと掲示板でストレスまみれにならなければならないんだろ?まだまだ、若い身空なのに。思えば神経ボロボロだよ。

 そう思うようになっても結局、フツーの生活してたら、この状態は延々と引っ付いてくるし、だから、ああ昔は時計捨てれば良かったんだ、楽じゃんって思ったわけさ。自己分析。そういう事、言うとクラスの連中はすぐに、「簡単だよー、援交やれば精神的に解放されるじゃん!」ってニコニコ言うけど、だけどそんな事してたら、ますますドツボにはまる気がするんだわ。永久にケータイ・パソコン、メール・掲示板地獄から抜け出せないって。学校出て、社会で働き始めたら、もっと凄くなる気がするし。

 そんで、思ったわけよ。他の手があるじゃんって。「プチ・イージーライダー作戦」だ。親も兄弟も社会も捨てて荒野にバイクで旅出って挙句の果てに殺されちゃたまんないから、プチ一人旅に出ればいいんじゃないかなぁって、思ったのが中2の夏休みも終わる頃かな?時計は別にいいけどさ、とにかくケータイとNETよ、おさらばさ!って感じで、ちょこっと家出の一人旅でキメ。また戻ってくるわけだけど、かなりスッキリするんじゃないかなって。思いました。

 そして時は無情に過ぎて、はや2年、実は私は小心者らしくて、今まで一人旅なんてしたことないし、いったいどこへどうやって行ったらよいのか、と言うよりも、やっぱケータイ離すの不安だし、掲示板気になるしホームページだって結構人気があったりするから、ずるずると高1女子になっちゃった、ウチは付属高だからね自動的に。なんて言い訳、良い訳。わかってるんだ。勇気がないんだ、あったしはさぁ~。やっぱ1人きりでケータイ無くて掲示板にも書き込め無い、ホームページも見れないなんて怖すぎ。そう思うと、あの映画「イージーライダー」の時代は時代でケータイもメールもホームページも掲示板も無かったような時代に、そのようなストレスを恐らく与えていたに違いない時計を捨てるには相当、根性がいるなと改めて、なかなかやるじゃんと例の2人はけっこう勇気があって、ただのバカじゃないんじゃないかと思い始めたりするんだ、これが。
 





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机上花火 拾

2021-07-27 07:03:50 | 夢洪水(散文・詩・等)

机上花火


-拾-


 隅田川の近くのアパートで男が小説を書いていた。書けども書けども彼の書いた小説は誰にも見向きもされなかった。
 彼は一緒に暮らしていた女にやつあたりして、首を絞めて殺してしまった。
 しかし彼は女のことを心の底から愛していたので、冷凍庫に入れて保存した。

 とても長い歳月が流れた。

 彼は、朽ちかけた同じアパートで、まだ小説を書き続けていた。おそろしく古い冷凍庫には、まだ女の死体があった。

 彼が朦朧とした状態で書き続けていた小説を中断し、老いた皺だらけの醜い顔を上げると、窓から、夜空が見えた。

どぉ~ん!どぉ~ん!と大きな音があちこちから反響して聞こえた。いっせいに夜空に光の花が咲いた。

 彼は、華やかな花火たちを、いつまでも、じっと見つめていた。その姿は、まるで時間が停止しているようだった。
 そして、自分の顔が流れ落ちる涙でくしゃくしゃになっているのにも気づかず、そのまま寝てしまった。

 彼は、すっかり古びてガタガタになった冷凍庫のドアが花火の炸裂音による微かな空気振動で自然に開き、女の凍った死体が転げ出て、真夏の熱気の中で溶け出して腐敗していくのに気づいていなかった。


花火大会が終わった夜空に、ぽっかりと巨大な黄色い月が輝いていた。真っ二つに割れた半月だった。






世界の半分の月










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机上花火 九

2021-07-26 07:09:26 | 夢洪水(散文・詩・等)

机上花火


-九-


 とワタシは、ここまで脳内の小説を何度か上書きしますと、机に頬杖をついたまま一息ついて、窓の外を眺めました。
 何時の間にか、あれほど夏の太陽の輝きの中で歪んで白色に輪郭を溶け込ませ、境目をなくしていた外の世界も、薄暗くなり、こんどは闇の侵入によって何もかもが曖昧に影たちの世界に溶け込んでおりました。

 部屋の中は冷房装置のおかげで適度に冷され、冬眠人間のワタシの脳を活性化させ何重にも脳内で小説を上書きして楽しませてくれるのでございます。苦だからこそ、で、ございます。
 何もかも、とろとろに溶けて輪郭を失った曖昧な暑い蒸し暑い夏の世界の方が楽なのですが、ワタシは冬眠人間であるが故に、それでは脳内で小説を書き続ける事ができないのでございます。

 ワタシが小説を書いて上書きをし続けなければ世界は生まれることは無いのです。全ての世界は冬眠人間のワタシが作り続けているのでございます。

 ワタシは一生のあいだ、虚弱な身体を輪郭を失った曖昧な夏で支えながら、はっきりとした冬に眠り脳内で世界を夢見続けなければならないのでございます。それがワタシの役目でございます。御察しくださいませ。

 ワタシが死ねば、全ての世界は消え失せるのでございます。全てはワタシの夢でございます。夢とは脳内で小説を上書きして楽しんで生涯を送ることでございます。ワタシが死ねば宇宙は終わるのです。

 ワタシこそ、絶対者なのでございます。

 

 おや、花火が上がりましたね。美しい。ワタシは頬杖をついたまま隅田川上空に打ち上げられ、ど~んっと花開く巨大な色彩の戯れを見つめております。ずいぶん暗くなり、何時の間にか巨大な月が花火たちの背後に、のっそりと出現しております。
 

 ぱぁ~ん!ぱぱぁぁ~~ん!
 

 どうした事でしょう。ワタシは涙を流しているのでございます。ああ、へんです。涙が止まらないのです。
 ワタシは冬眠人間で、ずぅっと冬は閉じ篭もり脳内で小説を上書きして生きてきました。夏には少しだけ、今のように外出し太陽の輝きから生命力を僅かながら得て生きてまいりました。他には何も無いはずなのです。

 どうしてでしょうか?窓の向こうの隅田川の花火大会がワタシのココロを震わせます。

 ワタシは、ワタシは、ずいぶん、ずいぶん、昔、ある男性と一緒に暮らしておりました。
 そ・そんなはずは無いのですが。その男性はキップルと言い作家を目指しておりました。ワタシも彼も、ずいぶんと若かった頃で、ございます。いったい、どのくらい昔のことなのか、思い出せないほど昔のことで御座います。

 でも、そんなはずは無いのです。鮮やかな光を振りまく花火たちの背後の巨大な吸い込まれそうな月がワタシのココロを震わせます。そんなはずは、無いのです。
 そのキップルという男性はワタシに酷い事を言いました。彼は、一生懸命に書いた小説が、いくら応募しても、いくら出版社に持ち込んでも全く相手にされず、イラだっていたのだと思います。彼は何十作も熱心に書き続けたのでございます。誰も相手にしてくれませんでした。
 ある日、彼は死ぬと言い出したのでございます。ワタシは止めました。すると彼は言いました。鬼のような顔をしておりました。

「オイラは知ってんだ!お前は俺を馬鹿にして俺のいない間に片っ端から、そこらじゅうの男とヤリまくってんだろ!この淫乱!淫売!オイラが認められないのもお前のせいだ!この死神め!オイラを殺したのはお前だからな!ひとごろし!全部、お前が悪いんだ!死ね!お前こそ死ねぇぇぇええええええ!」

 ワタシは泣き出して、アパートを飛び出して一晩中、街を彷徨いました。
 次の朝、アパートに帰ると彼は電球のコードで首を吊って死んでおりました。

 ワタシは、ワタシは、あの隅田川の花火の夜、彼と手を繋いで吸い込まれそうな大きな月をにこにこ笑いあって眺めていた時が一番、幸福だったので・・・いや、そんなはずは、ないのです。
 ワタシは冬眠人間でございます。ココロは、ございません。

 ああ、あの時、ワタシが彼についていてあげれば。ワタシが、ワタシが、彼を殺したようなもので、ございます。今頃気づくなんて、余りにも悲し過ぎます。ワタシは本当に彼の事を愛していたのでございます。

 ワタシが悪うございました。花火が綺麗です、月が綺麗です。この大きな窓から映し出される世界は、ずっと過去の世界です。
 ワタシの大切な大切な世界でございます。ワタシが悪いのです。ワタシが彼を殺したのです。あの晩、戻って励ましてあげれば、それだけでよかったのです。ただ、ついていてあげれば良かったのです。

 

 ワタシは死にたい。死んで彼のもとに行きお詫びをしたい。ごめんなさい。ワタシは逃げたのです。ワタシは死にたい。死にマス。
 

 ワタシは、頬杖をついていた両手を自分の首に持ってゆきました。窓から美しい花火が、たくさんたくさん夜空に輝いてます。どぉ~ん!どぉ~ん!あの月に吸い込まれてしまおう。ワタシは、そう思いました。
 そしてワタシの首を、思いきり絞めました。両方の手のひらを裏返して両手の親指を喉もとにあてて、ぐいぐい絞めました。

 ごめんね。ワタシも死にます。気が遠くなってまいりました。
 彼と手を繋いで見た花火たちと輝く巨大な月の世界だけにワタシは意識を集中させました。涙が、とめどなく流れ落ちてゆく中で、何だか幸福な気持ちを、ワタシは取り戻してゆくようでございます。
 さようなら。死んでゆくのが分かります。

 ・・・誰?へんね。そ・そんな。だ・誰かがワタシを書いている。
 だ・誰なの?ワタシを書いているのは。ワタシは、ワタシは、絶対者ではないの?脳病院?ワタシは気が狂っていたの?誰もワタシを書いているわけじゃないのね。死ぬのね。これで、いいんだわ、きっと。

 いまわの際に、ワタシの頭の中に大声が響いた。 
 
 

「俺!俺だよ!俺、俺!ぶっ殺す!ぶっ殺してやるぅぅうう!ああ!我慢ならねぇ!何だ、この社会は!糞豚どもめぇ!死ね!死ね!死ねぇぇっ!金満鬼畜腐れ外道どもめぇぇぇ!ぶっ殺してやるぅぅうぅ!皆殺しだぁぁああ!ざぁまぁみさらせぇぇえぇぇえぇぇぇぇえぇっ!」

 



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机上花火 八

2021-07-25 06:43:25 | 夢洪水(散文・詩・等)

机上花火


-八-


 と、ここまで気楽にワードパッドに入力していた作者キップルは、
「月?何だそりゃ、オイラは書いて無いよ。妄想してないよ。ふん、たわけ者め、最後の一発が外れて地球を一周してお前に戻ってきて自分に撃ち殺されて終わりなんだよー」
 と暗い微笑を浮かべた。

 その瞬間、ワードパッドの文章の狭間から巨大な銃弾が物凄い速度で出現し作者キップルの眉間を、ぶち抜いた。
 作者キップルの首から上は一瞬にして吹っ飛び血のシャワーが部屋中を真っ赤に染めた。頭蓋も脳味噌も無数の細かい断片になって飛び散った。

 最後の瞬間、脳味噌を銃弾が通過する、その一瞬に、作者キップルは、脳味噌の中で遠い昔、若い頃、一緒に仲良く暮らしていた女の子と夏のある夜に見に行った隅田川の綺麗な綺麗な、花火の光景を見た。

 ど~んと鳴って、夜空に巨大な美しい花火が上がった。遠い思い出。女の子は金魚の浴衣を着て髪をピンクのカンザシでとめていた。
 花火が夜空に打ち上げられる度に彼女の顔は様々な光に照らされた。夢のように美しかった。次々と打ち上げられる花火を2人は手を繋いで、ずっとずっと見ていた。

 あんなに幸福な時間は作者キップルには2度と訪れる事はなかった。作者キップルの人生で一番、幸福な時間だった。

 帰り道に、でっかい月が出ていた。2人は手を繋いだまま月に吸い込まれそうな気分だった。

「こんなバカな・・・」
 と、バラバラに千切れ飛んだ作者キップルの脳味噌が最後の思考をした。

「・・・オイラが今まで生きてきて最後に浮かんでくる記憶はこれなのか?オイラは彼女に酷い事を言って別れてしまった。オイラが本当に好きだったのは彼女だったのか?そう、彼女とオイラは双子のようだった。いつもいつも一緒だった。本当に大好きだったんだ。絶対に失いたくなかったんだ。彼女は、あれからどうしたのだろう?・・・おかしい。オ・オイラも誰かに書かれている・・・」

 

 そして、作者キップルの思考は血の海の中で完全に停止した。




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机上花火 七

2021-07-24 06:43:06 | 夢洪水(散文・詩・等)

机上花火


-七-


 おかしい、何故、俺が死ぬ事によって世界が再生され金金競争鬼畜ゲス糞人間のいないまともな世界が生まれるんだ?いったい、どこにそんな保証があるんだ!何故、俺は、そんな考えに陥るんだぁぁぁぁっ!だいたい、この話は辻褄があわねぇとこが多すぎるような気がするぜぇぇ。俺の妄想がこの世界を作ってるとは限らねぇんじゃねぇのか?他の誰かかもしれねぇし、世界中の人類全員が妄想してゴチャゴチャになって出来上がってるのかもしれねぇぇぇぇ!なんだ!この金金競争鬼畜ゲス糞腐れ世界の正体はっ!そもそも俺は何者で何をやってきたんだぁぁあ?だいたい何で俺は、東尋坊の岸壁から飛び降りて自殺しなきゃなんねぇんだぁ?拳銃を自分の口に突っ込んでズドンとぶちかましゃ簡単じゃねぇか!そーだ、いったい俺は、どうやって無け無しの金をはたいて、夜行でここまで辿り着いたんだ?記憶にねぇ。自殺をしよう!って思った次の瞬間、俺はここにいたぜぇ。だが、俺は無け無しの金をはたいて、夜行でここまで辿り着いたと思いこんでたぜ。夜の記憶がねぇ!変だぜ!おっかしいぜぇぇぇぇぇえぇえぇっぇえっ!俺が狂ってるからかあぁああああっ!?気の狂ったキチガイどもってぇのは糞金に魂を売り渡した俺以外の鬼畜腐れ外道どもだろぉぉぉおおがぁぁぁぁあっ!俺は狂っちゃいねぇ!この世で最もマトモな人間だ!

 誰だ!誰かが俺を!この腐れ外道に満ち満ちた邪悪な糞金金金金コング金ゴンクエスト金金ファンタジー悪徳ワールドを!妄想してるはずだぁぁあああああっ!それも実に稚拙だ!俺自体がメチャクチャじゃねぇえぇぇぇえかぁぁぁぁあぁぁっ!まともな奴じゃねぇぇぇえ!俺はビビビビビビッビビビィィィィィっと、きたぜぇぇっ!俺が妄想してるんじゃねぇっ!この糞チンコマンコの肥溜め世界の腐れゲス外道でもねぇぇぇっ!わかったっぁぁぁぁぁぁっぁぁーーーー!俺が俺を殺して、すなわち、この東尋坊の岸壁から飛び降りて死んだところで、この金糞傲慢淫売世界を救済することなんかできねぇんだぁぁぁっ!俺が正義の核ミサイルを一万個、世界中にぶっ放したところで、豚ゲス変態鬼畜守銭奴人間どもを全滅させることは、できねぇぇぇぇぇっ!はぁはぁ!何故なら!何故なら!お前!そこのお前!お前が、俺を主人公にして、この狂った小説を書いているからだぁっぁぁあぁっ!俺が死んでも、糞ゲス人間どもを全員ぶっ殺しても、作者たる、お前は又、俺を主人公にして、このキチガイ世界を再び書くことができるからだぁぁぁっぁっ!!イカレタお前は、どんな風にでも書き直すことができる!再び邪悪なキチガイ人間たちの糞世界を復活させて、俺を生き返らせて主人公にして苦しめる事だって朝飯まえだろぉぉおぉおがぁぁぁぁっ!お前は!何度も何度も鬼畜な妄想を繰り返し、生きている限り上書きして気分次第で勝手に俺を鬼畜糞外道どもの腐れ世界でグルグル踊らせることができるんだぁっぁぁぁっ!ゆ・許せねぇぇぇぇっ!俺はもうハッキリと分かった!確信した!この腐敗し堕落しきった狂った人間どもも正義の使者たる俺も、貴様が面白半分に妄想して原稿用紙だかワープロだかに書きなぐっていやがるに違いねぇぇええっ!夜行の描写を飛ばしたのは面倒だったからか?東尋坊は貴様の趣味か?地下鉄サリンも9・11同時多発テロも全部、貴様の願望かぁ?そりゃいい願望だなぁぁああああああああああああ!ちきしょー!つい賛同しちまったぜぇぇえぇっぇっ!けっ、もう騙されねぇぜぇ。いいかぁっ!俺は今、バリバリに頭が冴えてきたんだ!俺がいれば、俺の無意識が妄想した世界が俺に認識されて作り出されてしまう。え?それは世界中の全ゲス人類にも可能なんだ!63億人の無意識がバラバラに妄想して63億人に認識され63億人分の鬼畜糞世界が認識されちまう。その63億人に糞認識された63億の糞世界は63億分がごちゃごちゃに交じり合って超糞63億乗の狂った世界を作り出してるから俺が自殺したって何も変わらねぇんだ!俺が一万発の核爆弾をぶっ放して滅ぼしたって何も変わりゃしねぇんだぁぁぁぁっ!その63億人分の多重混合超不条理世界を書いているのは貴様だからだっ!二度と再び、俺も、この無限の不条理糞世界も、上書きして復元できねぇように、書いている貴様を!作者である貴様をぉぉぉぉっ!殺さなければなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!

 しかし貴様の気紛れもバカとしか言い様がねぇな!けっけけけけけーーーーだっ!何をトチ狂ったか、俺を拳銃射撃の天才に仕立てやがった!ばーーーーかっ!あーーーーーほぅ!おい、作者!銃弾はあと一発だぜ。貴様、もしかしたら俺とロシアンルーレットでも楽しみたいのかい?ぶぎゃははははははっーーー!カラカラカラ~って弾倉を回して、俺がまずドタマに一発、外れたら、俺が貴様に一発、そうなんだろ?この鬼畜野郎め!いや野郎じゃねぇかもな!まんこか?どっちでもいい。その手に乗るか!脳味噌に糞が詰まってんじゃねぇか?俺はビビッとわかっちまったんだよ!貴様は自由に書けるんだ!妄想できるんだ!だから絶対に俺が負ける、俺が正々堂々と貴様の挑発に乗ってロシアンルーレットやったら、貴様は絶対に俺が偶然にも運悪くドマタを吹っ飛ばして、はい終わり・・・・だろ?ぎゃははっははははは!そうは、いくかぁぁっぁぁ!俺は拳銃射撃の天才だぁぁああああああ!俺の撃った弾丸は、どこまでも獲物を追いかけて必ずぶち殺す!貴様が書いたんだ!恨むんなら貴様を恨みな!さあぁぁーーイクぜぇ!貴様が死ねば全てが消える。二度と復活しねぇ!貴様が死ねば二度と俺や、この糞世界を書けないからだぁあああ!さあ~引き金に指をかけてぇ~、俺の事を書いてる貴様に向かってぇぇぇぇぇ、、、、、、どこだ?そこだっ!太陽だぁ!って、ばぁ~っかめぇぇぇぇぇっ!そんな見え透いた罠にひっかかるかいぃぃぃぃいぃぃいぃぃぃぃっ!ピッカピッカに光って、ほぅれ撃ってくれとばかり、でけぇ面して輝いてやがるお天道様をグルっと回って水平線の上の方の実に中途半端な位置で、薄くボンヤリ隠れてる真昼のお月様よぉぉぉぉぉぉっ!みぃつけたぁぜぇぇぇぇぇぇぇっ!っ!あーばよぉぉおっ!てめぇだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!
 

 ぱぁ~ん!



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机上花火 六

2021-07-23 06:50:06 | 夢洪水(散文・詩・等)

机上花火


-六-


 世界を滅ぼそう!自殺をしよう!

 あー何て良い気分なんだぁぁぁっ!最高ぅぅぅぅっ!自然は、いいなぁぁっ!俺は今、東尋坊の岸壁にたっているんだぜぇぇぇっ!俺はヤル男だ!早速、俺は無け無しの金をはたいて、夜行でここまで辿り着いたんだ!しかーっし、あー金を使った事がぁ許せねぇー!俺は腐れ外道の仲間だぁあああっ!糞金じゃぶじゃぶ世界の悪にまた荷担しちまったぁぁ!しかし巨悪を滅ぼすためだ!しょうがねぇっ!俺を許してやるぜぇぇぇっ!悪に荷担しちまった自分を殺すことで、もう、すぐに世界は滅びるんだ!俺はキリストだ!俺が犠牲になることでゲス糞人間どもを全滅させ、世界を正義に導くんだ!救世主だぁ!俺は俺自身を十字架にかける事で世界を救済するぜ!見ろ!この美しい青空、気持ちの良い綺麗な風!金金じゃぶじゃぶ極悪鬼畜糞文明が世界の環境を完璧に破壊する前に俺は世界を救う!俺が死ねば俺の妄想によって作られ認識されたこの糞世界は消滅し、リセットされ人間のいない科学技術などという鬼畜の所業の存在しない美しい自然に満ち溢れた世界が誕生することだろう!

 さぁぁぁああああ、逝くぜぇぇぇぇえっぇぇええぇっ!俺は自殺して屠られた子羊になるんだぁー!みんな死んじまえぇぇえぇぇえっ!死ねっ!死ねっ!死ねぇぇぇぇっ!滅びろぉぉぉ、人間どもめぇぇぇえっぇえ!と今にも飛び込みの姿勢をとった時、横目になにか嫌なモンが見えた!ハッ!気になるぜっ!何だっ!っと俺が振り向くと「はやまるな子が泣く親が泣く妻が泣く」!!!自殺防止の看板じゃねぇかぁぁぁぁあっっ!ぶごぉぉぉぉぉっっ!このぉぉぉぉカンバンめぇぇぇぇっ!邪悪なる腐れチンコマンコを全滅させようと絶対善の絶対正義の自己犠牲を行なおうとしている救世主たるこの俺をこの後に及んで、まだ邪魔しようとするかぁっぁぁぁあぁっ!ぶっ殺してやるぅぅぅうぅぅ!このカンバンめぇぇぇぇぇぇえっ!ダァーーーーーンッ!うおっ?!見事にぶっ飛んだぜ、カンバンめ!ぬぅぇ?あのカンバン、ここからけっこう遠かったよな。よく当たったなぁ。しかも付け根から完全に吹っ飛ばしたぜ。まぐれか?ひょっとして、お・俺、射撃がかなり上手いんじゃねぇか?お・俺、射撃が上手いのか?生きていて何の取り柄もない無能者だとばかし思ってたが、お・おれ射撃が上手いのか?うげぇ!まぐれ!偶然!そんなわきゃねぇ!俺は他人とマトモに話せもしねぇし、目もあわせられねぇんだ!どーせ射撃が上手かろうと面接で全部落とされるに決まってんだぁぁっぁぁっ!くそぉぉぉぉぉおっ!バッキューーーーーーーンッ!!うおぇっ!!また当たったぁぁぁっぁっ!また見事にカンバンが吹っ飛んだぁぁぁぁぁっ!さっきより少し遠いいぜぇぇぇ!こ・これは、なんだぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっ!糞!糞!糞ぉぉぉおっぉおぉぉぉぉっ!ドギュゥゥゥゥゥウゥゥゥゥーーーーウゥゥン!!ぶわあぁぁっぁぁぁぁ、またぁ当たったぁぁぁぁっぁ!もっと遠いぞぉぉおお!見事に吹っ飛んだぁぁっぁぁぁっ!ズギャァァッァァァッァーーーーーーァン!!むほぉぉおぉぉーぅう!またまた当たったぁっぁぁぁあぁ!見事だぁぁぁっぁ!!ぶちこわしたぁぁぁっ!点に見えるくらい遠いぞぉぉぉおおおおおおお!お・俺は天才か?お・俺には物凄い才能があるのかぁぁぁっぁっ!ま、まてよ、俺が撃ち飛ばしたのは全部、動かない糞カンバンだもだ!ひょっとしたら、あの糞カンバンどもには超強力な磁石が仕込んであって、当然の如く鉄製の銃弾は引き寄せられて・・・イカサマだな!ここまで来て鬼畜ゲス糞腐れ外道チンコマンコどもは、まだ俺をおちょくろぉってぇのかっ!ぶぉぉぉぉおぉぉっ!ぶっ殺す!ぶっ殺すっぅうう!そうだ!騙されねぇ!俺は飛ぶんだっ!ここから飛ぶんだ!飛んで落ちて岩に激突してバラバラの肉片になって、俺の妄想で存在する、この世界の人間どもを皆殺しにしてやるんだぁぁあああああっ!かぁーーーー!ざまぁーーーーみろぉぉぉっぉおぉおぉおおっ!せぇ~~のっ!

 ピーヒョロロ~。うん?俺が岸壁から飛び降りようと両腕を真っ直ぐに伸ばして飛び込みの姿勢をとると、目の前を鳥が横切りやがった!お・おのれぇぇぇ!え?ま、待てよ、あの鳥は磁石じゃねぇよな。磁石でも仕込んであれば、あんなに軽やかに飛べるはずはないぜぇ!じっと低位置に立ってる磁石が仕込んでありそうな怪しいカンバン。大空を軽やかに実に爽快に素早いスピードで滑空する生き物、鳥。じ・磁石じゃねぇ!う・撃ってみるかぁ。た・試してみるかぁ。とっ、顔を上げると、鳥はもう遥か上空に舞い上がり、顕微鏡で覗く微生物くらいちっこくなって、くるぅっくるぅっと不規則な円を描いてやがるぜぇ。あ・あれを撃ち殺したら間違いなく、俺は拳銃の天才だぜぇ。ぐぅぅおぉぉおおおおお!ぶっ殺す!殺ってやるぅぅぅうっぅ!

 パァーーーーーーーーン!・・・あ・当たったのか?ひゅるるるるぅぅぅ~、お・落ちてくるぜぇ。ヒュゥルウルルルルルッゥゥゥウ、ベチャッ!!うおっ!うおぅっ!俺の足元に落ちやがったぜぇ!グチャグチャで原形をとどめてねぇが、鳥だ。お・俺の拳銃を持った右手が震え始めたぜ。ス・スゲェじゃねぇかっ!凄ぇぇぇぇえっ!俺は、間違いなく射撃の天才だぜぇ!間違いないっっっーー!!俺は拳銃と銃弾を自由自在に操れるんだぁぁぁぁぁあっ!物凄い才能じゃねぇぇかぁぁーーー!この、俺に、こ・こんな凄い才能が、あったのかぁぁっぁぁぁっっ!!俺は凄腕の殺し屋になれるぜ。狙った獲物は絶対に逃さねぇ!俺の放った弾丸は、どこまでもゲス糞人間どもを追いかけていって、頭蓋を粉々にし、脳味噌をぶちまける!うけけけけけけ!ぶっ殺す!この手で!この銃で!この弾丸で!実感あるぜぇぇぇぇえ!俺の銃弾は淫売女のまんこから脳味噌を吹っ飛ばし、腐れチンポ野郎のケツの穴から脳味噌を粉みじんにしてやるぅぅうんだぁぁぁあっ!ああっ!考えただけで勃起してきたぜぇ!ああ!ああ!あああ!どくんどくん、どばばばばばばーーーー!って、射精しちまったぁぁ~あーーズボンはビチョビチョーーーーー最高!気持ちEーーーーーーー!!ぶっ殺す!俺の弾丸でがんばって努力して金を稼いでる鬼畜外道殺戮者どもを皆殺しにしてやるぜぇぇえぇっぇっ!ぎゃおぇぇぇえええええっ!やめだ!やめだ!自殺なんかするものか!自らを十字架にかけ、即ち自殺し、屠られた救世主になるより、じかにぶっ殺してやった方が絶対に充実するぜぇ!げへげへげへへへへへーーーーーー!

 っと待てよ。人類は全部で何人いるんだ?そーいやぁ、このあいだNHKで63億だの言ってたな。・・・無理だぜ。いくらなんでも俺1人で63億もの腐れちんこまんこを皆殺しにするには途方も無い時間と・・・いや、そんだけの弾はどうする?拳銃はどのくらい必要だ?どうやって入手するんだ?いやそれ以前の問題だ。すぐに捕まっちまいそうだし俺の想像もつかないような場所に住んでる奴だっているだろう。やはり、俺は俺が死ぬ事によって、この邪悪な糞汚れた悪のじゃぶじゃぶ金世界を滅亡させ、清らかな金のない働かない努力しない穏かで争いの無い平和な善の世界を出現させるしかないようだ!さあ、飛び降りるかぁー!・・・でも、へんだ。この今になって突如、発露した俺の才能はなんだ?銃撃の天才に何の意味があるっっぅうぅぅうんだぁあああああああああっ!変だ。どうも変だ。何で、この人類滅亡の瀬戸際にきて隠れていた俺の才能が開花しやがるんだぁ?新しい世界、新しい美しい善なる世界・・・?どーしてそーなるってんだぁぁーーーーーっ!
 



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机上花火 伍

2021-07-22 06:39:35 | 夢洪水(散文・詩・等)

机上花火


-伍-


 俺はダッシュしたぁあ!もちろん駅のロッカーだ!俺は、ロッカーを開け隠しておいた拳銃を取り出し、あたりを見まわすと、携帯片手にどっかの援交相手か悪徳仲間と話し込んで、現実の周囲にはいっさい無頓着で、ジーンズをずり下げてパンティーと半尻を丸出しにしてる淫売メス豚は、そこらじゅうにいるじゃねぇかぁああああっ!無限にザーメンを飲み込んで脳味噌をザーメン化したド変態メス豚どもは想像を絶するくらい完全に気が狂っているから誰かがちょっと手を伸ばしてジーンズを引き下げれば、まんこが丸出しになるって事さえ想像できねぇんだっ!ぺっぺっぺっーだっ!!ほら、俺が、こうしてウンコ座りしてソロソロと近づいて大股開いてジーンズからはみ出た半尻に張りついてるパンティーに人差し指をかけて、くっと引き下げりゃ、ほら、ペロッと、俺の顔の真ん前に腐れまんこがコンニチワだ。すかさず、俺は銃口を、まんこに突っ込んで銃身が丸々埋まるまでグイっと突っ込んで、引き金をひけば、ズドンと一発で、このメス豚は、まんこから血をどばどば流して、正義の銃弾は、まんこから内臓を通りぬけ脳味噌をぶっ壊し、頭蓋を突きぬけるんだ!まんこ一匹始末!ぎゃははははははー!ざまーみさらせぇ!正義は必ず、勝つんだ!勝つんだ!モラルは勝利するんだっ!

 っと、さあ拳銃を右手で握り締め、聖なる銃弾をぶち込んでやろうと左手の人差し指を半けつに伸ばした時、俺は思った。弾は、何発ある?1、2、3、4、5、6。6発?ぐぼっ!これじゃぁうまくいっても、6まんこしか殺せねぇぇっ!6まんこしか、で、できねぇ!糞バカ鬼畜どもめ!貴様らを全滅させるには、どうしたらいいんだぁああ!俺は無力だっ!俺が殺せるのは、うまくいっても6まんこだ。トンカチや出刃包丁や素手でも殺せるが、俺は知ったぁぁぁあっ!オマワリ1人を殺すのにさえ物凄い体力が必要だって事をぉぉぉ!ああああああ、ここに核爆弾があったらぁああっ!ちきしょうー!ぶぶぶぶぇぇっ!

 お・俺は屈辱に満ちた、25年間だったぁぁああっ!心の中で殺し合って顔は笑って!何かで負けたとなると、心はブルブルふるえだし陰惨になるのに、外見の方は、いかにも心が広いように“いやぁーまいったぁ、まいったよぉ~ん”などと言いながら、身体中殺意で満ち満ちてるのに、ニコニコ、ハッハッハッー!だっ!あああああ?一体なんで、今、こんな考えが俺の頭の中をよぎるんだぁぁああああ!虚栄だ!奢りだ!エゴと言う名のプライドだ!って罪悪感に苛まれてる場合じゃねぇぇぇぇっー!自己を捨て世の為に正義の為に尽くすんだぁぁぁっ!くわっくわっ!ぶっ殺すんだーーー!皆、ぶっ殺すんだぁっぁあっぁ!ああああ、たとえ、ここに核爆弾があって爆発させたとしても、せいぜい渋谷が壊滅するぐれぇじゃねぇかー!人間を全部殺さなきゃ駄目だぁぁぁぁぁっ!もし俺が金正日だったら!俺が北の将軍様だったら、アメリカに査察を満足いくまでやらせてやって、何なら“はい、大量破壊兵器持ってました、差し出します”と何十発か大陸弾道ミサイルを提出してリビアみたいにアメリカに屈したように見せかけても良い。その間に絶対にバレない様に地下に大秘密基地を作って、ガンガン核開発してテポドン3・4・5・6・7号と全世界中を射程に完璧に収めるまで性能を高め、長崎の10000倍の威力のあるプルトニウム型核弾頭を装備したテポドン発射台を十万台配置し、準備が完全に整ったら、一斉に十万発、世界中にブチかましてやるぅぅうぅぅうっ!一匹も糞人間野郎&腐れまんこが生き残れないようになっ!けけっけけけけけーーーーー!

 しかしながらだ!ちきしょぉぉぉおぉぉぉおっ!俺は金正日じゃねぇし、体力もあんまりねぇし、銃弾も6発しかねぇ!どうすりゃぁぁいいんだぁあああああ!どうしたら、全人類を滅ぼせるんだぁああああああああ!ぎゃぁぁぁぁぁーーー!あ、そだ、死ねばいいんだ。死ねば、この腐りきった世界は、俺から滅びるんだ。この糞世界を認識してんのは俺だから、俺が死ねば消えちまうっぜっ。何て簡単なんだ!けっ熱くなって損したぜ!自殺だ、自殺!自殺ったら岸壁だ!岸壁から飛び降りればいいんだ!岸壁じゃなきゃ嫌だ嫌だ!俺は岸壁から飛び降りて自殺したいんだ!何故だ?えええぃいいい!分からん!岸壁から飛び降りるのが俺の美学だからだぁああああっ!岸壁だった東尋坊だぁああああ!土曜サスペンス劇場でよく出てくるからだぁぁぁっぁぁっ!自殺は東尋坊の岸壁から飛び降りるって決まってるんだ!決まってるんだ!

 

 自殺をしよう!世界を滅ぼそう!
 



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