2024.07.20
2日目の、朝が来ました。
起床時刻の訪れとともに、
子どもたちが寝床の片づけを始めます。
この場面でも
「自分たちでできることは、自分たちで行う。」
「一人でできないことは、協力してみる。」
を、ひとつひとつしてみます。
身支度を整えたら、
ラジオ体操の時間です。
外の空気を吸い、
体を動かします。
そのあとは、ちょっとしたお楽しみ。
パラシュート・ハント。
空でパラシュートが開き
ひらりひらりと舞い降ります。
だんだん目は覚めてきたかな?
大広間に戻り、
朝食の支度です。
お当番のクラスが
みんなのお世話をしてくれます。
このあと山に出かけます。
しっかり食べておこうね。
山はやっぱり涼しいけれど、
念のため、黒球式熱中症計で確認します。
このような器機が
手放せない時代になりました。
橋を渡り、山手へと進むと
森や水源を護る
竜王神社が現れます。
そこには清らかな滝があり
周辺は何℃違うのだろうかと思うほど
清涼な風が吹いています。
あ、今年も小さなサワガニたちに
会えたようですね。
山手を散策した後は
宿に併設されている公園に向かいます。
この公園の芝生は
いつもきれいに狩り揃えられていて
あまり大勢に踏み固められていないからなのか
いつきても本当にフカフカした感触が
靴底から伝わってきます。
ぐるりと緑に囲まれた公園で、
子どもたちは
のびのびと過ごします。
ひと時ですが
贅沢な時間でもあります。
この公園で、
ちょっとステキな出来事がありました。
いつもは涙とは無縁かのような男の子が、
声をあげて泣いています。
どうしたのだろうと近寄ってみると
虫かごを手に抱えています。
ついさっき捕まえたニホントカゲを
家に連れて帰りたいんだそうです。
「幼稚園で、また捕まえよう。」
と、声をかけてもらいますが
「ニホントカゲはようちえんにはおらんのよ」
と、涙がとまらないのです。
「そのトカゲのおうちはこのやまだから、
つれてかえったら
そのトカゲもトカゲのかぞくもかなしむよ。」
と、誰かが話しかけても
虫かごのフタを開けられません。
そうこうしているうちにみんなで集まり
クラスで
話し合ってみることにしたようです。
いろいろと話をしているうちに
少し気持ちが落ち着いてきたのか
「じゃ、つかまえたことがわかるように
しゃしんをとってかえったらええやん。」
という意見が出てきて
なんとか、うなずけました。
「自分が連れて帰ってお世話をしたい」
という自分の気持ちではなく、
「トカゲを山に帰そう」
という優しさが、
ほんの少し上回ってくれた瞬間です。
トボトボと公園の端に歩いていき
虫かごのフタを開けられたのでした。
優しかったね。
橋を渡り、宿に戻ります。
お腹が空いてきました。
山宿での、
最後の食事です。
午後は社会体験があります。
しっかり食べておこうね。
いよいよ宿とのお別れの時間です。
中島さんとのご挨拶を済ませ、
子どもたちがバスに乗り込みます。
食事の世話をして下さった
宿の方々が、
子どもたちを見送ってくれました。
大変お世話になりました。
山を下り、大洲市外へ入ります。
高校生が運営する水族館として
全国にその名を知られる長浜高校。
高校の敷地の道路を挟んだ向かいに
独立した水族館棟が在ります。
受け付け、魚のえさの募金活動、
館内のご案内や海の生き物の説明など
「水族館部」の高校生を中心に
目に見える範囲の全てを
高校生だけで運営しています。
そして、海の生き物の生態や特徴、
それらの成長過程など、
いろいろなことを各水槽の前で
教えてくれます。
屋外スペースでは
見るだけでなく体験型の水槽もあります。
サメに触れられる場所や
魚の特性を利用して
フラフープを水中に入れると
その中を魚が通過する様子も見られます。
いろいろな工夫がされていて、
子どもたちの目がキラキラしています。
長浜高校を出発して1時間ほど
大冒険も いよいよ終わりを迎えます。
子どもたちが
いつもの幼稚園に帰ってきました。
終わりの集いと共に
旅が終わります。
いろいろなお約束を守れましたね。
だから、元気に帰って来られたんです。
その小さな体で、
よく頑張りました。
どんなことが
心に残ってくれたのでしょうか。
お泊り保育 完
(PostScript:2日目編集後記)
みんなが使ったものを片付けてくれた人。
みんなが過ごした場所を掃除してくれた人。
みんなの食事を調理してくれた人。
みんなが道に迷わないように、
道に立ってくれていた人。
みんなが来た時にどんな話をしてあげようかと
準備をしてくれていた人。
人の「思い」は、
案外目に映りにくいものです。
旅に出る前に、
先生がみんなに話してくれたことの一つが、
「感謝」という言葉でした。
お泊り保育に送り出してくれた
みんなのお母さんやお父さんへの
「ありがとう」の気持ちです。
旅から戻り君が食べた夕食は、
君のお母さんやお父さんが
君の健康のことを考え、
冷蔵庫やお店の広告とニラメッコしたり、
スーパーの棚を見渡したり、
それから料理もして
盛り付けて
ようやく君の前に登場します。
目には映らないことの方が多いんだ。
人の「思い」は恥ずかしがり屋で
目に映りにくいものなんだよ。
いつか
そのことに気づけたとき、
お母さんやお父さんの顔を
思い浮かべられる人に
成長してくれていると嬉しいです。
みんなの見ていないところで
いつもみんなのことを
大切にしてくれている人のことを。
迎えに来てくれた家族の顔を見た時かな、
お家に帰った時かな、
「ありがとう」が言えていたら、
嬉しいです。
まだまだ難しいんだけどね(笑)。
ゆっくり成長していこう。