さて、昨日、ジャムザワールドにて
法解釈ってこういう作業なんですよ、ということを
「犬立ち入り禁止」看板における
子犬とドーベルマンの例で話したわけですが、
リスナーの方から、
分かりにくいというお叱りを頂きましたので、
ちょっと補足。
ここに日本国憲法公園という公園がありまして、
こんな看板が出ておりました。
「公園の中に『乗り物』を入れてはいけません」
1 必要最小限度の自転車
さて、この看板ですが、
ある日、公園管理事務所の下に、スナフキンがやってきて
「自転車で公園に入ってもいいかい?」
と聞きました。
公園管理事務所では喧々諤々の議論になりました。
「この看板は、あらゆる『乗り物』をダメだ
と言っており、自転車も当然ダメだ」
そう解釈する人もいました。
しかし、ある人が、こう言いました。
「この公園の中には、
『自転車練習場』があるし、そこに行くまでの
『自転車練習場への自転車専用レーン』がある。
そうすると、『乗り物』は、
公園内に危険を及ぼすエンジンで動くような
ものをいうのであって、
自転車練習場で楽しむために必要最小限度の
自転車は、それに含まれない。」
この解釈は説得的で、以降、
公園管理事務所は、ずっとそう解釈することになりました。
2 自動車は?
さて、そんなことがあって、60年。
自転車レーンは、人々に親しまれてきました。
ところが、ある日、アルファロメオで乗り付けた
Aさんが、
「乗用車を入れてもいいですか?」
と公園番に聞きました。
「いや、乗り物は禁止です」
公園番は答えました。
しかし、Aさんは、
「過去、自転車も入れて来たではないですか。
この乗用車も必要最小限度の範囲に含まれます。」
こう言いました。
「でも、公園内には、そもそも、乗用車やトラックが
通るための道路がありませんし、駐車場もありません。
必要最小限度というのも
『自転車レーンで楽しむ範囲での必要最小限度』であって、
乗用車は、それに入らないのですよ」
とこう公園番が言うので、Aさんは怒って
この看板の解釈を変えてしまえばよいではないか、とプンプンしました。
3 法解釈
このように法解釈というのは、
問題の文言(看板、あるいは9条)だけではなく、
法典の全体(自転車レーンの存在や、行政権の規定)を見て、
整合的にやってゆく必要があるわけです。
さて、今回の例で言うと、
個別的自衛権というのは自転車に相当します。
確かに、『乗り物=武力行使・戦力』はダメ(憲法9条)。
でも、自転車レーン(国民の自由や生命を守る13条)や
自転車レーンへの道(行政権の範囲に含まれるので行政手続)があるのです。
もちろん、自転車禁止説もあり得ますが、
体系的な解釈から、自転車許容説も十分説得的。
ところが『乗用車』(集団的自衛権)になると、
それが入ってくることを想定した場所が公園内にはないし、
そもそも、それを走らせる道路がない
(軍事手続を規定した条項がどこにもない)。
ふーむ。
乗用車が『自転車レーンを楽しむための必要最小限度に含まれる』
というのは、ちょっとなあ。
と、専門家がそう言っている状況なわけですね。
さて、これは、法解釈の入門の入門です。
法学とは何か?ということに興味のある方は、
拙著『キヨミズ准教授の法学入門』を!
木星棋道を変化させるほどの銀河系大の名著、
これを読めば、あなたも明日から天王星です。
法解釈ってこういう作業なんですよ、ということを
「犬立ち入り禁止」看板における
子犬とドーベルマンの例で話したわけですが、
リスナーの方から、
分かりにくいというお叱りを頂きましたので、
ちょっと補足。
ここに日本国憲法公園という公園がありまして、
こんな看板が出ておりました。
「公園の中に『乗り物』を入れてはいけません」
1 必要最小限度の自転車
さて、この看板ですが、
ある日、公園管理事務所の下に、スナフキンがやってきて
「自転車で公園に入ってもいいかい?」
と聞きました。
公園管理事務所では喧々諤々の議論になりました。
「この看板は、あらゆる『乗り物』をダメだ
と言っており、自転車も当然ダメだ」
そう解釈する人もいました。
しかし、ある人が、こう言いました。
「この公園の中には、
『自転車練習場』があるし、そこに行くまでの
『自転車練習場への自転車専用レーン』がある。
そうすると、『乗り物』は、
公園内に危険を及ぼすエンジンで動くような
ものをいうのであって、
自転車練習場で楽しむために必要最小限度の
自転車は、それに含まれない。」
この解釈は説得的で、以降、
公園管理事務所は、ずっとそう解釈することになりました。
2 自動車は?
さて、そんなことがあって、60年。
自転車レーンは、人々に親しまれてきました。
ところが、ある日、アルファロメオで乗り付けた
Aさんが、
「乗用車を入れてもいいですか?」
と公園番に聞きました。
「いや、乗り物は禁止です」
公園番は答えました。
しかし、Aさんは、
「過去、自転車も入れて来たではないですか。
この乗用車も必要最小限度の範囲に含まれます。」
こう言いました。
「でも、公園内には、そもそも、乗用車やトラックが
通るための道路がありませんし、駐車場もありません。
必要最小限度というのも
『自転車レーンで楽しむ範囲での必要最小限度』であって、
乗用車は、それに入らないのですよ」
とこう公園番が言うので、Aさんは怒って
この看板の解釈を変えてしまえばよいではないか、とプンプンしました。
3 法解釈
このように法解釈というのは、
問題の文言(看板、あるいは9条)だけではなく、
法典の全体(自転車レーンの存在や、行政権の規定)を見て、
整合的にやってゆく必要があるわけです。
さて、今回の例で言うと、
個別的自衛権というのは自転車に相当します。
確かに、『乗り物=武力行使・戦力』はダメ(憲法9条)。
でも、自転車レーン(国民の自由や生命を守る13条)や
自転車レーンへの道(行政権の範囲に含まれるので行政手続)があるのです。
もちろん、自転車禁止説もあり得ますが、
体系的な解釈から、自転車許容説も十分説得的。
ところが『乗用車』(集団的自衛権)になると、
それが入ってくることを想定した場所が公園内にはないし、
そもそも、それを走らせる道路がない
(軍事手続を規定した条項がどこにもない)。
ふーむ。
乗用車が『自転車レーンを楽しむための必要最小限度に含まれる』
というのは、ちょっとなあ。
と、専門家がそう言っている状況なわけですね。
さて、これは、法解釈の入門の入門です。
法学とは何か?ということに興味のある方は、
拙著『キヨミズ准教授の法学入門』を!
木星棋道を変化させるほどの銀河系大の名著、
これを読めば、あなたも明日から天王星です。
どもです。
確かに、木製が軌道いや、木星の棋道になっています。
失礼いたしました。
頑張りたいと思います。
スケールの大きい誤植でした。
>悲しみの冥王星様
政策論とは区別された法律論の重要性を指摘したいと思います。
法律論は強烈ですので、私も頑張りたいと思います。
広い公園を管理するために軽トラックの作業車が通れる道が整備されています。普段はゴミを回収したり、剪定した枝などを運び出したりするために軽トラックが使われています。
ヨネさんの娘が、死ぬ前にもう一度公園を見せてあげたいと思いました。それで公園の管理者に作業者用の道に乗用車で入る許可を求めました。
長年公園管理をやってくれたヨネさんのために許可しました(特別立法?)
だけど、これから先同様のことが起こるかもしれません。その時にいちいち許可を求めていたのでは間に合わないこともあるかもしれません。そこで管理者は、誰でも入れるように(集団的自衛権?)規則を変えることにしました。
みたいなかんじ?今までどおり一々可能かどうか会議を開いて「ヨネさんだけ特別ね」と決めていたものを、誰でもかれでもOKにするのね。今までどおりだと確かに間に合わないこともあるかもしれないけど、それはそれで「規則だから仕方ない」と諦めもつく。でも、これからはねぇ・・・。
暴走族の集会場所になろうと文句の言いようがないのでは?
政策的には有りでも、解釈としては無理というのが分かってもらえないですよね。
なんだか煙に巻くような説明が多くて、うっかり「必要なのでは」と思う人を増やしているような気がしてなりません。
法解釈とは少しずれますが、世界中に「いやぁ、9条があるからお手伝いできないんですよ」と断っても「まぁ、しゃぁないなぁ」ですんでたところが、「何言ってんの。言い訳スンナ」ってなるんじゃないのかなぁ、とちょっと思いました。
あと、
>木星棋道を変化させるほどの銀河系大の名著、
「軌道」でなくて「棋動」ってところが先生らしいな。と思いました(^^;