気ままな旅

マイカーでの気ままな旅で、束縛された予定や時間にとらわれない、自由奔放な行動をとる旅の紹介です。

恋人の聖地・伝説の尼御前岬など・・・北陸道を行く

2009-07-14 11:01:48 | 気ままな旅
 6月19日(金) かつてから、高さ500m、日本一高い滝と言われている富山県の滝を見たいと思い、行ける時期を模索していた。
 この滝は通年に流れている滝ではなく、4月から6月の雪解け時期に姿を現す滝である。
 6月20日に出発するのが、滝見に行ける最後のチャンスだと考えていた。
 来週や7月に入ると、雪解けシーズンが終わり、滝が見えなくなる可能性が高かった。
 昨日、富山県立山町役場に問い合わせると、水量は少し細くなっているが流れているとのことであった。
 早速、カメラなど気ままな旅仕度をしていると、朝刊に「剱岳(点の記)」のロードショウが20日(土)に封切られとの新聞広告が目に入った。
 この映画は山岳小説で有名な、新田次郎の原作をもとに製作された映画で、原作を読んだ時点から、上映されることを楽しみにしていた。
 妻も興味があり、映画鑑賞を終えてから出発することにした。
 映画は午前10時30分から近くの映画館で上映され、1時前には終わる予定である。
 早速、10時半には妻と二人で泉南市にある映画館に到着する。
 やはり大スクリーンに繰り広がる、迫力満点の映画シーンは違うと思った。
 音響効果も十分で、剱岳の自然の美しさと厳しさ、明治の時代背景が良く表現されて映しだされている。
 ただ、少し残念だったのは、日本最後の未踏峰といわれながら、頂上に登攀する最後のシーンが、原作からイメージして少し迫力不足のように感じた。
 
 映画鑑賞を終えた後、買い物をして、日頃から何かとお世話になっている大阪の先生宅へ立ち寄り、富山方面へ愛車エステイマを走らせて行った。
 今日は土曜日、休日の高速料金がどこまで行っても1000円はありがたい。
 阪神高速道路から名神高速道路に入り、米原JCTから北陸道を金沢方面に向かって行く。
 時間も21時近くになっている。疲れもあることからこの先の賤ケ岳SAで車中泊をして、明朝に再出発することにした。

 6月21日(日)朝早く目覚める。今日も晴れている。この分だと500mの滝も見えそうである。
 賤ケ岳SAで妻と二人、車中泊をして疲れも癒し、朝食をすまし後の8時前には出発する。
 我が家では毎朝、湯を沸かしブラジルコーヒーをドリップして、マホービンに入れて、好きな時間に飲めるようにしている。
 北陸道をゆっくり走りながら飲む朝のコーヒーの味は格別で、今日一日の前向きな気持ちと希望を与えてくれそうに感じる。
 愛車は福井県敦賀ICを過ぎ、風光明媚な杉津PAに到着する。
 杉津PA(すいづパーキングエリア)、日本海と敦賀湾を見下ろす景勝地にあり、福井県の敦賀IC - 今庄IC間にあるPAである。
 天気の良い日には、日本海や敦賀半島を望むことができる。
 昼間は日本海の太陽に照らされた海面がきらきらと輝き、夜はイカ釣り船などのの漁火や、船舶の灯す灯りが美しく見えるPAでもある。
 また、日本海らしい迫力にあふれた強風による波などの荒々しい風景も格別で、高速道の景観大賞にも輝いている。
 車から下りて目の前の緑の垣根を見ると下の写真のような蝶が留まっている。

          
          車を降りた時に目に付いた垣根に留まっていた羽の欠けた蝶

 さらにPAの横にある通路を進むと敦賀湾の絶景が楽しめる展望台があり、数人の方たちが、此処からの絶景を楽しんでいる。
 手前にも奥の細道で各地を旅して句を詠み上げ、残していった松尾芭蕉の句碑も立てられている。 

          
               杉津PAに立てられていた芭蕉の句碑 

   ふるき名の 角鹿や恋し 秋の月
  
 往時敦賀は角鹿(つぬか)と呼ばれ大陸伝来の門口であった。
 ちなみに「角鹿」の名は気比神宮(福井県敦賀市)の祭神 都怒我阿羅斯等(つぬかあらしど)に由来する。
 元禄2年8月 芭蕉は中秋の湊の月と愛でながら 古代の敦賀を偲びこの句を吟じた。
 北陸道には松尾芭蕉にちなんだ句碑が下記の通り建てられている。

     名月や 北国日和 定めなき        (杉津PA上り) 

     月に名を 包みかねてや いもの神     (南条SA上り)

      あすの月 雨占なはん ひなが嶽      (南条SA下り)

     むざんやな 兜の下の きりぎりす     (尼御前SA下り)

     庭掃いて 出でばや寺に 散る柳      (尼御前SA上り)

 松尾芭蕉は元禄2年の春、弟子の曽良を伴って江戸深川を発って「奥の細道」で有名な奥州の旅に出る。
 奥州路を北上し、平泉を経て陸奥まで行き、帰路は北陸路をまわって秋に大垣にたどり着くまで約五ヶ月間600里(2400km)に及ぶ道のりを走破する。(芭蕉46歳)
 この芭蕉の奥州・北陸紀行から300年を記念して、芭蕉ゆかりの地に近いSAやPAに句碑が道路公団によって立てられている。
   
          
              杉津PA展望台に訪れた人たちと敦賀湾

 日本海と敦賀湾を見下ろす景勝地にあるので、見晴らしは抜群。大正天皇が行幸の折りに、その美しさにしばらく汽車を止めて、ご覧になったという景色を、のんびりと眺めるのもいい。

           
                 杉津PAからの敦賀湾の景観

          
                  杉津PAから敦賀湾の景観

 句碑を過ぎ展望台に出ると、金色に輝く「恋人の聖地」の看板や、「愛のハートロック」などと書かれたものや、広範囲にわたる金網全面に色々な鍵が掛けられている。
 「恋人の聖地」や「愛のハートロック」 って何だろう! と思って調べてみると次のことが判明した。

 恋人の聖地とは 地域活性化・少子化対策の一環として事務局を設置、委員を選定して全国的に行われている。

「恋人の聖地」は各地域を代表する観光施設・地域を中心に、恋人の聖地プロジェクトのシンボルとして、恋人の聖地選定プロセスにより全国に100ヶ所を選定されている。(2006年4月19日に選定)
 自然に囲まれた場所、夜景の綺麗な場所、記念品が作られる場所などを選定している。
 
 各種イベントその他企画を通して、プロジェクトのコンセプトの幅広い情報発信と展開にご協力いただきます。
 また、それ以外の各地域を代表する都市部を中心としたホテル・各種レジャー施設等につきましては「恋人の聖地/サテライト」として恋人の聖地運営事務局が選定している。
 プロジェクトの中核として、また各種イベント等の開催拠点として、少子化対策のより具体的なアプローチによる地域への提案にご協力いただきます。

 恋人の聖地の選定委員
 ・桂 由美 氏 (ファッションデザイナー)
 ・假屋崎 省吾 氏 (華道家)
 ・島田 晴雄 氏 (千葉商科大学学長/富士通総研 経済研究所理事長)
 ・菊川 怜 氏 (女優)

 恋人の聖地事務局
      静岡県静岡市葵区  TEL.054-252-3481
  
          
             展望台に立てられた「恋人の聖地」のモニュメント

 ここ杉津展望台は夕日の美しい所としても知られている。
 金網に掛けられ膨大な数の愛の鍵、若い二人がここを訪れ、愛のハーロックに願いをかけながら、展望台から見る敦賀湾の景観はどう観えるのだろうか!
 この展望台は 「ゆうひのアトリエ」と呼ばれているようである。
 夕陽が水平線に沈む頃は、カップルたちにも人気のデートスポットになっている。
 夕暮れ時の幻想的な雰囲気の中、夕日の敦賀湾をバックに若い人たちが、ふたりで願掛けをする姿が目に浮かんでくる。

           
展望台にある金網全面に掛けられている「愛のハートロック」メッセージを添えた鍵が掛けられている。

 愛のハートロックの鍵は売店で購入(300円)、鍵にメッセージを添えて、展望台に設置されている「愛のハートロック 鍵入れ箱」に鍵のみを投入するシステムである。
 鍵をかける瞬間は、ちょっと神妙な面持ちになって・・・・どうか私たちの願いが叶いますように・・・。

            
            愛のハートロック鍵入箱     ゆうひのアトリエのパネル

 一度ロックしたら離れない鍵に多くのカップルの思いが託されている。 
 二度と開けることができないから、ふたりの思いもしっかりとロックされるはずである。

          
              杉津PA展望台近くに咲いた紫陽花の花 

 暫く杉津PAで若い人たちの情熱、恋人の聖地などの旅情を楽しんだ後、私たちは再び、北陸道を金沢方面に向かって行った。
 北陸道で最も雪が多いといわれる今庄までの山間部を通り抜けると、福井平野の入り口にあたり、暫く進むと広々とした福井平野の中心部に出てくる。
 福井平野の日本海側には、先ほどの杉津PAのある敦賀湾から越前岬を得て、三国町にある東尋坊までの越前海岸が広がっている。
 北陸道も福井平野の最高速度100km区間から、山間部でカーブの多い80km区間へ入って行く。 程なくして加賀の入り口であり、その昔「安宅の関」でも有名な、尼御前SAに到着する。

            
               尼御前岬公園の出入口 

 尼御前SAには、日本海の景観のすばらしい尼御前岬公園が併設して造られ、高速道路のSAの駐車場から気軽に行くことが出来る。
 私達も早速カメラを持って施設の横にある出入り口から公園へ入っていく。
 この尼御前岬公園は越前加賀海岸国定公園に指定されている。
 入り口から少し入ると芝生の広場があり、広場の北よりに女性の像が立てられている。 尼御前という女性の像である。

          
           その昔、源義経を追慕した悲劇のヒロイン「尼御前」の像 

 この女性には次のような伝説がある。
 
「その昔、都から逃れて奥州へ向かう義経一行が、途中この地まで来ました。
 従者の中にいた女の一人が、この先の安宅関の取締りが厳しいことを聞き、主君の手足纏いになることを憂い、この断崖から身を投じたという伝説があり、その名が尼御前であったので、この一帯を尼御前岬と呼ぶようになりました。」

 このような伝説が伝えられている。像の後ろ側には松林があり、その後ろには加賀の海岸が、弓形に反りながら続いている。
 伝説に出てくる安宅の関もこの海岸沿いの近くにある。

          
                公園の最先端部にあたる尼御前岬 

 像の前を通り少し進むと日本海が一望できる尼御前岬に到着する。
 青々とした日本海が広がり、白い漁船が港の方に行き交っている。西には周りをテトラポットに守られた防波堤があり、日本海の荒波から船を守る漁港が造られ、その遠方には白い灯台が見えて、美しい海岸風景をかもし出している。
 眼下には複雑な形状をした奇岩の海岸が続き、海面にはワカメなどの海草が見え、白い静かな波が打ち寄せている。
 私も海岸に降りて奇岩でできた岬を見上げていると、先ほどの上からの景観と全く違った景観に見えてくるから不思議である。
 
          
              尼御前岬から安宅の関方向の景観  

          
                尼御前岬から西方向(福井)の景観 

          
              尼御前岬で海食でできた奇岩や美しい海岸風景

          
        海食による奇岩が見事な海岸風景をかもし出している尼御前岬海岸 

          
        奇岩の岩間から  日本海では珍しい静かな尼御前岬と漁港の防波堤

 尼御前岬公園の散策を終えた後、再び、北陸自動車道を通り、金沢・富山方面に向かって行く。
 出発してすぐの車窓からは、青い日本海の美しい景観が見えているが、海岸と高速道の間にある松ノ木の枝が、全て陸地方面に向き、日本海の冬の厳しさを語っている。
 
          
                快晴の北陸自動車道を北に向かって走って行く

  金沢や高岡を過ぎて高速道を走っていると、突然、車窓前面に剱岳が雲上に現れてくる。
 天気は快晴であるが立山連峰は厚い雲で覆われて見えていない、前方の剱岳頂上部が雲の上に浮かんで見えている。
 少し走っていると呉羽PAに到着し、下記の写真のように雲上の剱岳を撮影することができた。

          
              呉羽PAからの雲上の剱岳

 北陸道を立山ICでおり、立山道路と呼ばれる一般道を立山方面に進んで行く。
 富山市街や立山市街などと立山を結ぶ、富山地方鉄道と路線も平行して走っている。山裾や田園風景の中で2両編成の電車と行き交う様子は、旅情を一層高めてくれる。
 愛車は幅広い常願寺川を右手に、聳え立つ山陵の麓に造られた曲りくねった道路を走って行く。
 常願寺川の何段にも重なって作られている砂防堰の景観には驚く。
 これほど短い距離に砂防用の堰が、いくつも作られた光景を目にするのは初めてである。
 程なくして、立山アルペンルートの入り口と称名滝(しょうみょうのたき)方面の分岐点に差し掛かる。
 立山アルペンルートは交通規制がしかれ、マイカーの乗り入れは規制されている。
 私たちは高さ500mのハンノキ滝と350mの称名滝を目指して進んで行く。


 
               


最新の画像もっと見る

コメントを投稿