2013年8月8日(木) 四国の主峰石鎚山(標高1982m)の東側にある、瓶ヶ森(かめがもり=標高1896m)に登るため、午後6時30分頃に、南大阪の自宅を妻と二人で愛車エステイマで出発する。
阪神高速湾岸線から神戸線を走行し、第二神明道路に入って行く。
この道路は国道2号線の加古川バイパスと姫路バイパスに直結、バイパス終了地点からは、一般道を3km程走ると山陽道自動車道竜野ICがある。
私は四国へ行く時には、このルートをよく利用する。 通常の高速道路を走るよりも経済的で、時間もさほど変わらないからである。
山陽道竜野ICからは、岡山広島方面の倉敷JCTまで走行し、四国方面の瀬戸中央自動車道入って行く。
瀬戸中央道をしばらく走行すると、トンネルがあり、それを貫けると、瀬戸内海に架かった大きな架橋があり、そこからは瀬戸内海の美しい夜景を楽しむことができる。
瀬戸大橋に入って直ぐに、瀬戸内海の真ん中にある、与島(よしま)PAの案内板が見えてくる。 それに従って与島PA内に入って行く。
今夜は、この島にあるPA内で車中泊して、明朝に目的地の瓶ヶ森登山を計画している。 与島PAへの到着時間は、午後11時頃であった。
与島PAに到着すると、しばらく PA内の施設でのんびりと過ごした後、愛車に戻り、車中泊の準備に取り掛かる。
愛車には、出発前から二人用の特製ベットを用意している。
睡眠中は、周りの方へ騒音などの迷惑行為を考へて、エンジンはOFFにすることにしている。
そのために、エアコンを使用することはできず、持参しているポータブルバッテリーから電源をとり、扇風機を一晩中回しながら睡眠をとる。
猛暑の続く日本列島の中でも、瀬戸内海のど真ん中にある島の気温は涼しく、一台の扇風機でも十分に睡眠をとることが出来た。
車中泊をしていた瀬戸中央自動車道の与島PA
8月9日(金) 朝6時頃に目覚め、車外にでると、さわやかな風が頬を横切っていく。
瀬戸内海の小島にできたPAでの心地よい朝である。 今日も天気は良さそうで、雨の心配は全くなさそうであった。
早速、洗面を済まして、出発の準備を整えると、午前7時頃には与島PAを出発する。
愛車は、瀬戸中央道から高松道にはいり、途中から松山道を走行して行く。
早い時間帯にも関わらず、夏休みの影響か、高速道路を走行する車は、以前より多いように感じる。
1時間ほど走行すると伊予西条ICに到着する。
伊予西条ICから、一般道に入り、給油やコンビニで昼食の買い物などを済まして、国道194号を高知県の伊野方面に向かって行く。
20kmほど緩やかな坂道を走行して行くと寒風山トンネルが見えてくる。
このトンネルは、高知県と愛媛県の県境にある寒風山(1763m)の下を貫くトンネルであることから、寒風山トンネルと名付けられ、トンネルの延長も5432mと四国最長のトンネルである。
無料で通行できる一般道路トンネルでは、日本一の長さを誇っている。
国道194号の寒風山トンネル(5432m)をぬけると、Uターンをして瓶ヶ森(かめがもり)方面の林道に入って行く。
この瓶ヶ森林道は、吉野川源流域や、高知県と愛媛県の県境に造られた尾根沿い林道で、地元ではUFOライン、町道瓶ヶ森線とも呼ばれている。
寒風山トンネルから石鎚スカイラインの終点までの、延長27kmの舗装林道である。
この林道は、標高も1100m~1700m地点を走り、 石鎚山や伊予富士など四国山脈の雄大な眺望が楽しめる山岳道路でもある。
(冬季期間12月~4月上旬は閉鎖)
寒風山トンネル(5432m)を貫けて、すぐに林道に入り、瓶ヶ森方面に向かって行く。
舗装された林道沿いには、背の高い木立が林立し、太陽光線を遮っている。
高度を上げながらゆっくりと愛車を運転し走行して行くと、突然、四国山地の雄大な稜線をもつ山容が目に入ってくる。
瓶ヶ森林道からの寒風山(1763m)と笹ヶ峰(1860m)の光景。
写真左の寒風山登山には、旧寒風山トンネル出口付近の駐車場(1120m)に登山口があり、一般の方なら2時間ほどで寒風山に登れる。
健脚の方なら、さらに2時間ほどで笹ヶ峰に登れる。
両峯とも四国山地や瀬戸内海などの眺望が素晴らしい山である。
寒風山の名前も、強い瀬戸内海からの季節風が、旧寒風トンネルの上にある峠を通り、傍にある寒風山にあたる。
冬季には北西風をまともに受けることから、この名前がつけられたと伝えられている。
ダイナミックな山容の寒風山(1763m)、その奥にはなだらかな山容の笹ヶ峰(1860m)がある。
林道を走行しながら寒風山や笹ヶ峰のなど、眺望の美しい個所で愛車をとめ、撮影しながらゆっくりと走行して行く。
林道をさらに走行して行く。 四国山地の幾重にも重なる峰々の美しい光景が続いている。
すると、眼前に、この様な岩肌をそのままくり貫いたトンネルが見えてくる。
さらに、そそり立つ岩壁の中に出来た林道を走行して行くと、目の前に富士山のような形状をした山容が現れてくる。
伊予富士1756mである。
林道からの伊予富士(1756m)。
日本全国にある郷土富士の多くが独立峰で、富士山の山容に似ていることから名づけられているが、
伊予富士は、石鎚連峯の一峯に過ぎない山である。
さらに伊予富士の眺望を楽しみながら走行して行くと、今度は、こんもりとした丘のような稜線をもつ山容が現れてくる。
これが、東黒森(1735m)である。
車窓からは四国山地の尾根に出来た素晴らしい眺望が続いている。
全国各地に、この様な眺望の素晴らしい山岳道路が幾つもつくられている。
この四国山地に出来た林道からの眺望も、そういった道路に匹敵、味わい深い眺望が楽しめる山岳道路である。
瓶ヶ森林道は、石鎚スカイラインの終点まで続く延長17kmの道路であるが、 接続している石鎚スカイライン延長18kmを含むと、35km程のドライブコースである。
この林道は、車窓からは四国山地の峰々が、冬季をのぞく季節毎に、趣を変え、眺望を十分に楽しめる山岳道路である。
ただ、瓶ヶ森林道は全舗装されているが、道幅が狭く、対向車には十分な注意が必要である。
それにひかえ 石鎚スカイライは完全2車線で道幅も広く走行しやすいが、道路からの眺望は、瓶ヶ森林道の方が良さそうに感じる。
私たちは四国山地の美しい眺望を楽しみながら、曲がりくねった林道を、さらに走行して行く。
すると、今度は目の前に、信州のビーナスラインを思い出すような、素晴らしい光景が眼に映ってくる。
この山は、自念子ケ頭(じねんごのかしら=標高1702m)で、林道脇に登山口があり、標高差100mほどで登れる手軽な山である。
私たちは、自念子ケ頭登山口近辺にある駐車場に愛車をとめ、散策を楽しんだ後、再び、愛車を走らせて行く。
車窓からは移り変わる四国山地のダイナミックな風景が広がっている。
さらに走行すると 眼前に屋根の形をした山が見えてくる。
この山が、今回の登山予定の瓶ヶ森(かめがもり=1896m)である。
右側が瓶ヶ森山頂の女山(めやま)、左の険しい岩壁の山が男山(おやま)である。
林道をさらに走行して行くと、この様に 「全面通行止」 の看板が見えてくる。
これ以上愛車を進めることは出来ない。 引き返そうか! どうしょうか!
少し迷ったが、登山口までは500~600m位と、距離的にも近く、歩行だけならば通行することは可能ではないか!
と考え、登山準備をして出発することにした。
出発してすぐにがけ崩れによる通行止めの個所が見えてくる。
良く見ると何とか通れそうで、上部からの小石などの落石もなく、大きな落石も安定しているようである。
そう判断して、妻と二人で、通れそうな箇所を見つけ、掛け声をかけながら、そろりそろりと注意しながら進んで行く。
何んとか無事に通ることが出来た。
このがけ崩れ個所から、5分ほど林道を進むと 瓶ヶ森登山口に到着する。
瓶ヶ森登山口の前にある休憩施設、すぐ隣にはトイレなどの施設も整備されている。
林道沿いに咲いていた花
登山口にある瓶ヶ森登山と吉野川源流の案内板
林道からの男性的な山容を見せる瓶ヶ森男山(おやま)を望む、男山の左方向には、瓶ヶ森最高峰の女山1896mがある。
瓶ヶ森頂上への距離の案内図
瓶ヶ森(かめがもり)は、四国山地西部の石鎚山脈に属する山で、日本の三百名山および四国百名山の一つに数えられている。
また、瓶ヶ森を含む石鎚山脈一帯は、石鎚国定公園に指定され、石鎚山、笹ヶ峰と共に伊予の三名山とされている。
午前11時00分 周囲を笹に覆われた石畳の瓶ヶ森への登山道を登り始める。
瓶ヶ森への登山には二つのコースがあるが、我々は先に男山に登り、そこから瓶ヶ森頂上の女山を目指すことにした。
少し登ると上空には、瓶ヶ森男山の山頂が見え、左側には白骨林とクマザサに覆われた広々とした原野が広がっている。
その奥には幾重にも重なる山稜が独特の美しい山岳風景を醸し出し、私たちを楽しませてくれる。
さらに登って行くと、クマザサの原野に白骨林が所々にたち、その後方には西日本の主峰石鎚山(1982m)が聳え、威風を放っている。
登山口にあたる瓶ヶ森登山口駐車場と瓶ヶ森林道、その奥には、富士山のような美しい形状の二つの山が聳え立ち、独特の山岳風景を醸し出している。
広々としたクマザサの原野にぽつりと立つ白骨林、複雑の形状と、柔らかい笹の原野や周辺の風景と、うまく調和しているように感じる。
それに後方にある、堂々として威厳を放つ名峰石鎚山1982mが、山岳情緒をいっそう高めてくれている。
さらに登山道を登り、高度を上げて行くと、クマザサの原野が山頂付近一帯まで広がっている。
広々とした笹の原野に、大小の樹木が所々にたち、公園のような美しさを見せている。
後方には石鎚山が聳え立っている。
どこかの高原にできたゴルフ場を思い浮かべるような光景である。(氷見二千石原)
山一帯がクマザサに覆われ、威風を放つ石鎚山とのコントラストが、美しさを一層引き立て、山岳情緒を高めてくれる。
瓶ヶ森登山中腹にある心に残る光景である。
登山道からの眺望を楽しみながら、ゆっくりと登っていると、いつの間にか男山(おやま)頂上直下に到着していた。
屋根が少し見えているところが男山の山頂で、登山道脇には、白い花をつけた花木が、私たちを和ましてくれる。
登山開始後、40分ほどで男山山頂に到着する。 山頂には、ごらんような石土古権現を祀る祠が立てられている。
後方には石鎚山1982mが見えている。
男山(おやま)からは、なだらかな美しい稜線が、瓶ヶ森(女山=めやま)山頂1896mまで続く。
男山からの東側には西黒森(1861m)があり、その中腹を瓶ヶ森林道が走っている。
四国山地の幾重にも重なる山容の美しい光景が広がっている。
男山からクマザサと白い花にに覆われた登山道を、瓶ヶ森山頂である女山へ向かって登って行く。
男山から瓶ヶ森女山の頂上に向かう途中に出会った花
一面がクマザサに覆われた瓶ヶ森山頂の女山(1896m)の光景
男山から20分ほどで、瓶ヶ森山頂(女山=1896.2m)に到着する。 頂上には、蔵王権現を祀る祠があり、古くから石鎚信仰の対象とされている。
頂上周辺の眼下には、広々としたクマザサの原野が広がり、
その前方の山稜には、石鎚山や西黒森をはじめ、幾重にも重なる大パノラマの美しい山容を見せている。
少し霞んで見えているが、このダイナミックな眺望に見とれながら、しばらくの間、瓶が森山頂で、時を過ごしていた。
瓶ヶ森山頂(女山1896.2m)から石鎚山(1982m)方面の眺望を楽しむ。
一面をクマザサに覆われた瓶ヶ森山頂の女山から男山方面の山稜を望む。
頂上付近でしばらく休憩しながら眺望を楽しんだ後、下山ルートについて妻と相談する。
先ほどの瓶が森登山口に戻ると、どうしても林道の崖崩れ個所を通行しなくてはならず、足も疲れていることから危険である。
瓶が森頂上からは、西黒森方面の登山口へ下山するルートもある。
こちらの方は崖崩れの林道を通行する必要もなく、下山口から林道を1km程歩けば、愛車のある駐車場に行けるはずである。
妻と相談した結果、西黒森登山口方面へ下山するルートを選んだ。
西黒森方面へ下山する登山道から、一面にクマザサで覆われた瓶ヶ森(女山)山頂方面の光景
瓶が森山頂付近のクマザサに覆われた下山道からの光景、聳え立つ西黒森(1861m)の山容と林道が見えている。
頂上からの下山途中に登山道で見かけた山アジサイの花
この下山ルートは、結構急坂で、登山道のクマザサなどの草刈りも整備されておらず、クマザサに胸や腰の付近まで覆われている。
そのために、杖で笹をかき分けながら下山しなくてはならない。
足元も笹で覆われ全く見えず、一歩一歩確認し、妻にも登山道の状況の声をかけながらの下山であった。
しかし、思わず所で大事故になりかねない、大きな事件が起こってしまった。
妻と二人、一歩一歩確認しながら下山している途中に、妻のことが気になり、私が立ち止まって振り向いた瞬間の一瞬に事故が起こってしまった。
私が後ろの妻を見た瞬間、 妻が足を踏み外し、そのまま転倒、身体が横に回転しながら滑落していく。
私も、一瞬、凍りつくように顔面蒼白になった出来事だった。
幸いにして、滑落した所に、平たい岩場があって妻の滑落が2~3回転して止まった。
私もびっくりし、妻に 「大丈夫か!」 と声をかけるが、すぐには返事がない。
大丈夫なのか!
私も心配になって、直ぐに3mぐらいの滑落場所まで降りて行く。
そして、妻の手をとりながら 「大丈夫か!」 と再び声をかけると
少し痛そうにしていたが 「大丈夫」 との返事が返ってきた。
倒れたままの妻に、手を掛けて身体を起こすのを手伝いながら、
「ほんとに 大丈夫か!」 「どこか痛くないか!」 の質問に、
「大丈夫だよ」 との返答が返ってくる。
妻は立ち上がって、両手足を動かし、身体に異常のない動作をする。
大した怪我はしてないようであった。
私も、突然の出来事に、心配していた最悪の事態は避けられ、ほっとするが、
妻に 「山にはどこに危険が潜んでいるか分からない」 「注意して下山しょう!」 など、
注意事項を自分にも言い聞かせるように話をしながら下山して行った。
このような山での転倒事故は、私たちにとっては初めての経験であった。
今回は幸いにして大事に至らなかったが、もう少し危険な急峻の場所だったらなど考えると、身体に冷や汗を浴びるように、ぞっとしてくる出来事だった。
転倒後も、腰まで覆われた登山道を慎重に下山する妻、幸いにして大した怪我はしてないようで、歩き方も変わらなかった。
笹に腰まで覆われた登山道を西黒森登山口方面へ下山する。
クマザサに腰まで覆われた急峻な登山道を一歩一歩足元を確認しながら慎重に下山する。
登山道で転倒する事故が発生したが、何とか無事に林道横の西黒森登山口に下山することができてホットする。
30分ほどでの下山時間であった。
西黒森登山口からからは、舗装された林道を15分ほど歩くと、愛車を停めてある駐車場に午後2時00分頃に到着する。
私たちは、四国の主な山への登山は、これまでに、四国第2の高峰、剣山1955m、第一の高峰、石鎚山1982m、に次ぐ、今回の瓶が森登山であった。
瓶が森登山は、老若男女を問わず、誰でも登れる気軽な山でもあるが、
広々としたクマザサの原野と白骨林、名峰石鎚山などの四国山地の風景の美しさも抜群である。
ただ、瓶が森林道から見る、四国山地の山岳風景の美しさには驚かされる。
おそらく、季節を問わず何回訪れても飽きることのない風景を楽しませてくれるはずである。
特に秋の紅葉時には、どのような光景が出現しているのか楽しみである。
石鎚山周辺には、紅葉の名所がたくさんあり、機会があれば 是非、訪れてみたいものである。