気ままな旅

マイカーでの気ままな旅で、束縛された予定や時間にとらわれない、自由奔放な行動をとる旅の紹介です。

草津から奥日光へ日本ロマンチック街道を行く

2010-04-29 22:01:12 | 気ままな旅
 2009年6月27日(土)晴天に恵まれた草津温泉の観光や入浴で心身ともリフレッシュした後、私たちは愛車に戻り、通称草津道路と呼ばれている国道292号に入り南下して行った。
 途中からは国道145号に合流し東に向かって行く。
 車窓からは山陵に奇怪な形をした山や岩が見え、道路の下には吾妻川が流れ、所々で美しい光景を見せている。
 これらの道路は日本ロマンチック街道と呼ばれ、ドイツにあるロマンチック街道を見習って名づけられたもので、互いに世界遺産に登録されている地域を有している。          

           
日本ロマンチック街道案内図(栃木県宇都宮市・日光・群馬県片品村・沼田・草津・長野県軽井沢・小諸市を結ぶ総延長350kmの道路)

 愛車は渓谷の曲がりくねった道路にさしかかり、車窓からは眼下の渓谷や独特の形状をした岩山が見えている。ここは吾妻渓谷(あがつまけいこく)で、群馬県吾妻川を流れる渓谷である。
吾妻渓谷は、名勝に国から指定され八丁暗がり付近に美しい渓谷が見られる。
 吾妻渓谷の上流には、工事の是非をめぐって社会問題化されている八ツ場ダムがある。

           
            関東の耶馬溪の異名のある吾妻峡付近の国道245号を行く

           
岩石を寝食して造られた吾妻渓谷。全長4km、中心部には高さ50mの谷底で清流が渦巻いて流れているようである。渓谷に架かった橋からの撮影。

           
           「名勝吾妻峡の案内図」 若山牧水がこよなく愛したといわれる。

 道路沿いの遊歩道から吾妻峡を見学した後、国道145号を東方向に走行していたところ、どこでどう道を間違えたか分からないが、愛車は国道353号を群馬県渋川市方面に走っている。
 間違いに気づかずに走っていると、左側に寺院が見えてくる。
 道路から真っ直ぐに上っている石段や観音像が立ち、斜面に出来た庭園には赤いツツジが花をつけている。
 この寺院は群馬県中之条町にあり、戦国時代から続く由緒ある寺の清見寺(せいけんじ)で新上州観音札所に指定されている。

           
   車窓から見る国道145号沿いにある清見寺の庭園、観音像や花咲く庭園が美しく見えている。

           
            群馬県渋川市の国道353号沿いにある道の駅「おのこ」

 道の駅「おのこ」上空の青空にハングライダーが旋回しながら飛行している。
 そんな光景を楽しみながら地図で現在地を確認すると、予定ルートより一本南側にずれていることに気がつく。 引き返すよりこのまま走行して沼田方面に行った方が得策だと判断する。
 しばらく353号をそのまま走行して、ほどなくすると国道17号に入り、利根川沿いに北上して行く。
 少し走行していると右側に延々と続くすさましい断崖絶壁が見え、手前にはカラフルな屋根の集落が見えている。

           
              すさましい断崖絶壁が続く国道17号からの景観

 トンネルが続く国道17号を北上していると道路は利根川にせまり、美しい利根川の渓谷美が目に入ってくる。
 愛車を道路脇に止めてご覧のような撮影をする。
 ここは、利根川の美しい渓谷美を見せる「綾戸渓谷」で、そそり立った岩壁の上から緑の樹木が垂れ下がり、ゆっくりと流れる清流や、所々の川面に浮かぶ小さな岩と、手前で白い泡をたてながら流れている急流の光景が、渓谷独特のコントラストを見せ、私たちの目を楽しませてくれる。

           
           国道17号沿いで利根川の美しい渓谷を見せる綾戸渓谷

           
            国道17号沿いの利根川で満面と湖水を湛えたダム湖の景観

 国道17号からの綾戸渓谷の見学を終え、北上して行くと、車窓から満面と湖水を湛えたダム湖が見え、周辺の緑や山稜の景観と共に私たちの目を楽しませてくれる。
 やがて愛車は、群馬県沼田市に入り、国道17号から通称沼田街道といわれる国道120号に入って行く。この道路も日本ロマンチック街道に指定されている。
 国道120号をしばらく走行していると道の駅「白沢」が見えてくる。
 大規模な道の駅で温泉施設や子供の遊戯施設などが設置され、家族連れの人達には人気のありそうな道の駅である。

           
           家族連れでも一日楽しめそうな 道の駅「白沢」の景観

 道の駅「白沢」の地元で採れた野菜や果物などの販売コーナーに立寄った後、私達は国道120号を奥日光方面に向かって行く。
 20分ほど走行していると、大勢の人たちや幾つかの駐車場の前で旗を振って呼び込みをする人たちの光景が目に入ってくる。
 ここは吹割の滝(ふくわれのたき)である。
 この滝は群馬県沼田市内を流れる片品川にある滝で、高さ7m、幅30m、奇岩が1.5km続く片品渓谷(吹割渓谷)の中にある。
 河床を割くように流れ、そこから水しぶきが吹き上げる様子からこの名が付けられている。
 私達も早速車を止め、カメラを持って滝見学に出かける。
 滝には大勢の人たちが訪れ、河川にある遊歩道には列ができるほどである。
 
           
吹割渓谷遊歩道の案内図、赤い線が遊歩道、吹割の滝は中央に位置、右側には浮島を挟んで二つの吊橋が架けられている。

           
      展望台からの片品渓谷の全景、吹割の滝周辺は大勢の人たちで賑わっている。

           
     河床の岩肌を白い泡をたてながら優雅に流れ、吹割の滝に向かって注いでいる。

 吹割の滝には 竜宮の椀」の伝説が伝えられている。
「昔から吹割の滝の滝壺は龍宮に通じていると言われ、村で祝儀がある度に滝壺にお願いの手紙を投げ入れて龍宮からお椀やお膳を借りていた。ところがある時一組だけ返し忘れてしまい、それ以来二度と膳椀を貸してもらえなくなったという」
 これは、日本全国に伝わる『椀貸し伝説』の一つであると考えられている。

           
東洋のナイアガラといわれ、岩盤で出来た河床を白い泡をたてながら吸い込まれるように流下する吹割の滝、ソフトで、なんとなく親しみやすさを感じる。

           
 大勢の人たちが滝周辺に集まり、優雅に、気品のあるように流れる吹割の滝を楽しんでいる。

           
もう少し滝壺に近寄って撮影したかったが、これ以上は危険領域とのことで、ご覧のような撮影となった吹割の滝。

           
  吹割の滝の下にあるの片品渓谷(吹割渓谷)1.5kmにわたってこのような奇岩が続いている。

           
     上部写真の下流側にある渓谷、吹割の滝の他にもうひとつの小さな滝が見えている。

           
遊歩道の下流側から見る渓谷、今までとは異なった渓谷美を見せている。奇岩には緑の苔や植物が自生している。

 女性的な優雅さと親しみやすさを感じる吹き割の滝や渓谷を、見学した後、私達は日本ロマンチック街道(R120)を奥日光・金精(こんせい)峠方面に向かって行く。
 愛車はしばらく片品川沿いに造られた街道を走行していると、「尾瀬方面は左」の看板が目に入ってくる。
 尾瀬は一度は訪れたい所であるが、今回は立寄らず真っ直ぐに金精峠方面に向かって行く。
 愛車は高度を上げながら曲がりくねった道路を走行していると、左車窓から高い山と美しい湖が見えてくる。
 湖には数隻のペアーが乗ったボートが浮かび、思い思いの方向に漕ぎ、湖上でのひと時を楽しんでいるようである。
 愛車はさらに高度を上げながら走行していると前方にトンネルが見えてくる。

           
              湖水(丸沼)の側を通る日本ロマンチック街道

 このトンネルが金精トンネル(こんせいトンネル)で、群馬県利根郡片品村と栃木県日光市の間の金精峠下を貫いている。 標高1,840m付近を通り、トンネル延長は755m。日本ロマンチック街道の一部でもある。
 標高が高いため、例年12月末から4月末の間は、金精道路全体が閉鎖される。

           
                金精峠(1880m)を抜けている金精トンネル755m

 金精トンネルを抜け、周辺の山峰を見ると全く違った光景に驚く。こちらの山峰は地肌がむき出しなって荒々しく、反対側は緑豊かな山峰である。
 
           
               金精峠近辺の厳しい急斜面に造られた街道を行く

 曲がりくねった山岳道路を下っていくと急に視界が広げ、霞んではいるが美しい山と眼下に湖が見えてくる。急遽、車を止め、この景観を楽しむ。

           
                金精峠からの湯の湖と男体山(2484m)

 霞んで見える山は男体山(なんたいさん)で、奥日光を象徴する美しい山として知られ、山岳信仰の聖地として親しまれている。麓には中禅寺湖や戦場ヶ原が広がり、日本を代表する景観の一つに数えられている。

           
               金精峠からループ状にできた街道

 さらに急傾斜地に出来た急カーブの続く道路を走行していると、車窓からの眼下に、360度周遊しながら上り下りするように造られた道路の光景が目に入ってくる。

           
            街道沿いの則面でロープにぶら下がって工事をする人たち
 
 金精峠からの曲がりくねった山岳道路を下っていると、急傾斜地の則面に、ロープにぶら下って工事をしている人達が目に入ってくる。これは大変な工事で色々な面で頭が下がる思いがする。
 そうこうして、しばらく走行していると奥日光湯元温泉街にある美しい湖に到着する。
 早速、近くにある駐車場に車を止め、散策と情報入手に出かけて行く。

 この美しい湖が湯ノ湖(ゆのこ)で、標高1475mに位置、栃木県日光市の西部にある湖で、北東にある三岳火山の噴火によって出来た堰止湖である。
 湯元は奥日光の奥座敷といわれ、古くから開かれた温泉場であるが、歓楽的な雰囲気はまったく感じられず、湖と緑に囲まれた静かなリゾート地で、「国民保養温泉地」にも指定されている。
 
           
  湖には大勢の人たちが訪れ、ボートや釣り、散策などをして楽しんでいる湯の湖の光景

           
           奥日光の情報入手の為に訪れた日光湯元ビジターセンター

 奥日光湯の湖周辺は、1500m位の高地にある為か、ひんやりとした心地よい空気が漂っている。すばらしい避暑地で、派手さを全く感じらない静かなたたずまいで、私たちを心ゆくまで癒してくれる。

 私達はビジターセンターで教えていただいた、日帰り温泉施設のあるホテルに行くことにする。
 旅の楽しみは、なんといっても温泉で、温泉は今日の疲れと明日へのエネルギーをいたきリフレッシュしてくれる。
 夜空には星が輝き、明日も良い天気を約束してくれているようである。

          

歴史と魅力一杯の草津温泉

2010-04-25 15:11:51 | 気ままな旅
 2009年6月27日(土)今朝は朝早くからさんさん輝く太陽の明るさで目覚める。湿気の少ない高原特有のさわやかな空気が満ちあふれ、道の駅「草津運動茶屋公園」の周りにある緑の景観が一層さわやかな気分にひたしてくれる。
 昨日は白根山の湯釜を見学した後、志賀草津高原道路(R292)を下り、麓の草津温泉「西の河原(サイノカワラ)露天風呂温泉」(=入浴量=500円で年中無休)で入浴する。
 この温泉は、山沿いに出来た広さ500㎡の露天風呂で、まるで池かプールのような大きな温泉で、男女別々に造られている。 洗い場はないが大自然の緑や清流のせせらぎ、澄みきった青空を眺めながらゆっくりと浸れる温泉、それに草津温泉の豊富な湯量が、心身ともに疲れた体をリフレッシュしてくれる思い出深い温泉である。

 今日は、朝食を済ました後すぐに草津温泉中心部に出かけて、湯畑近くに愛車を止め散策に出かけて行った。
    
           
            車中泊していた道の駅「草津運動茶屋公園」の景観

 草津温泉の歴史はとても古く、人々から愛され、人々を癒してきた名湯として全国に知られ、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)や行基、源頼朝が開湯したという伝説も伝えられている。
 歴史的にも草津温泉は、日本最大の湯量と優れた治癒効能で全国に知られ、戦国時代には多くの武将が湯治に訪れている。
 また、江戸時代には、文人、歌人をはじめ、年間1万人を超える来浴者が往来し、「草津千軒江戸構え」 と詠われるほどの賑いをみせていた。
 徳川八代将軍吉宗も、草津の湯を江戸城まで運ばせて入浴したと伝えられている。
 明治時代には、ドイツ人医師のベルツ博士により、温泉の魅力や効能などが発見され世界に紹介された。

           
          草津温泉の中心部で観光のシンボルである湯畑周辺の景観

 草津温泉は日本三名泉(下呂温泉/有馬温泉/草津温泉)の1つに数えられている。
 温泉の自然湧出量は日本一を誇り、毎分32,300リットル以上、1日にドラム缶23万本分 もの温泉が湧き出している。
 草津の旅館や温泉施設では 「源泉かけ流し」 がされている。これは草津の豊富な湧出量のおかげで、 ”源泉の湯” を心ゆくまで堪能できる温泉であることを伝えている。
 また、草津温泉の特徴は、何と言っても、泉質にある。 その泉質は 日本有数の酸性度で、pH値はナント2.1(湯畑源泉)と驚くべき数値を示している。
 この強酸性の数値は、ほとんどの細菌や生物が生きていけないことを意味している。
 従って、体の外傷や雑菌などの消毒作用には、抜群の効能がある。
 草津温泉は、こういった効能が古くから全国に知れわたり、湯治や入浴に訪れた多くの人々の心と体を癒し続けてきた名湯として有名であった。

 また、国民の人気度も、草津温泉は「2009年温泉100選」で1位を獲得、なんと7年連続で1位をキープ、このことからも、草津温泉が、人々から本当に愛され、楽しませてくれる温泉である。

           
       湯量の豊富な草津温泉の大源泉で、草津観光のシンボルでもある湯畑
 
 草津温泉のシンボルは大源泉の湯畑で、温泉街の中央に位置し、周囲にはみやげもの店や飲食店が軒を連ね、いつも大勢の人たちで賑わっている。
 湯畑を中核とする草津は、標高1,156㍍の高地に位置する山あいにあり、人気のポイントは、湯畑で湧き出たお湯が何列も並んでいる木樋を通り、滝となって流れ落ちる『湯滝』の温泉情緒豊かな景観にある。
 湯滝から流れ落ちる滝壺には、硫黄の臭いと共に、淡いエメラルドグリーンのお湯が輝き、滝壁の色彩と共に、魅力的な温泉情緒を一層かもし出している。
 平成14年には『かおり風景100選』にも選ばれている。

           
          大源泉から数列に並んだ木桶を通じて流れ落ちる湯畑の光景

 草津の湯畑(ゆばたけ)とは、温泉の源泉を地表や木製の樋に掛け流し、温泉の成分である湯の花の採取や湯温を調節する施設である。

           
木桶から勢いよく流れる落ちる滝と独特の温泉色に染まった滝壁や湯滝・エメラルドグリーン色の滝壺にある。

           
              湯滝方面から望む湯畑と草津温泉街の光景

 私たちは、草津の温泉情緒をかもし出し、全国に紹介されている湯畑を見学した後、西の河原(さいのかわら)公園方面に向かって行く。 
 みやげ店の立ち並ぶ湯滝通りを5分ほど歩くと、樹木で囲まれた白根神社の石段が見えてくる。
 折角だからと思い、真っ直ぐに伸びた急勾配の石段を上って行く。石段の中央には鳥居があり、その上にも100段以上の石段が真っ直ぐに続いている。
 石段を上りきると、そこは平坦な境内で、石畳が白根神社拝殿に向かって一面に敷かれ、両側には石の燈篭が並んで立てられている。
 本殿拝殿までの中央には白い鳥居が建ち、鳥居の上部には「白根大明神」と彫られた額が掲げられている。
 私達も、手水舎で体を清め、石畳を拝殿に向かって進み、参拝を済ませた。
 
           
                 湯畑の近くにある白根神社

 白根神社は、草津温泉を発見したといわれる、日本武尊(やまとたけるのみこと)を御祭神として祀っている。
 毎年7月17・18日には、十数基の神輿が町を練り歩く白根神社祭礼が賑やかに行われている。
 
           
               大明神と書かれた拝殿前の鳥居

           
                 境内にある石楠花の群生地

 神社の周辺は、囲山公園(かこいやま)として整備され、広々とした境内には、石楠花(しゃくなげ)の群生地がある。 5月上旬には石楠花のピンク色の可憐な花が咲き、訪れた人達を楽しませてくれる。

 参拝を済ませ散策路を進んでいくと、下記のような松尾芭蕉の句碑が立てられている。

           
                白根神社境内にある松尾芭蕉の句碑

 松尾芭蕉の句碑には 「夏の夜や谺(こだま)にあくる下駄の音」と彫られている。
 この句碑は、どうやら芭蕉が草津滞在中に詠んだものではないらしい。
 芭蕉は、元禄4年(1691)に、京都嵯峨の門人去来を訪ね、その落柿舎で作ったもので、芭蕉の「嵯峨日記」に収められている。
 150年ほど後に、草津の俳人「一夏庵坂上(いっかあんさかうえ)」と「竹烟(ちくえん)」が、「この芭蕉の句は、地元である草津温泉街そのものを詠んだ」といって、ここに句碑が建てられた。

 白根神社のある囲井山公園の散策を終え、一般道路に出て下って行くと、途中に片岡鶴太郎美術館があった。私達は立寄らずにそのまま進んでいくと、温泉が湧き出し、川となって流れている西の河原(さいのかわはら)公園がある。

           
            白根神社のある囲井山公園の散策を終えた後一般道路に出る。

           
      西の河原(さいのはら)公園の入り口に当たる西の河原園地と書かれた案内板


 草津温泉の西側にある事から西の河原公園と呼ばれるようになった。
 付近一帯は上信越国立公園の特別指定地区に指定され、河原のあちこちから毎分14000リットルの温泉が湧き出し、湯の川となって流れ出している。
 この風光明媚な景観は、四季折々に変化し、源泉「湯畑」と共に、温泉情緒溢れる散策コースとして人気を集めている。
 西の河原公園内の遊歩道は、奥にある西の河原露天風呂まで通じ、その途中には、微笑ましい鬼の茶釜碑や句碑、湯滝やベルツ博士の像、草津の自然を紹介したビジターセンターなどがある。

           
       園内のいたる所から温泉が湧き出している湯けむり漂う散策エリアである。

 草津を世に広めたベルツ博士や、斎藤茂吉・水原秋桜子(みずはらしゅうおうし)など、偉人・文人の歌碑や記念碑も園内に立てられている。

 下記の両博士の胸像については、明治時代の東京帝国大学で 「内科にベルツ、外科にスクリバあり」といわれて日本近代医学の基礎を築いたのが両博士であると伝えられている。
 両博士とも無二の親友で、共に草津温泉を研究し、その医学的効能を世界に知らしめる。
 また、スクリバ博士は、町民に無料で診察を施し、町民から深く親しまれていた。
 この胸像は、元は東京大学構内の両博士の胸像であったが、戦時中に供出された時、コンクリートでコピー(草津ベルツ記念館に展示)されたものである。
 戦後、草津町に贈られたものを、平成4年5月に姉妹都市締結事業にて立て替えられたものである。

           
            日本近代医学の恩人ベルツ・スクリバ゛両博士の胸像

 日本の医学向上に多大な貢献をしたベルツ博士について少し触れてみる。
 本名は エルヴィン・フォン・ベルツ(Erwin von Bälz, 1849年 - 1913年)、ドイツ帝国の医師で、明治時代に日本に招かれ、27年の永きににわたって日本で医学を教え、医学界の発展に尽くした人である。
 ベルツ博士と草津温泉との関わりについてベルツ博士は、草津温泉を再発見し、世界に紹介した人物でもある。
 ベルツ博士は荒井花子と結婚、1878年(明治11年)頃より草津温泉を訪れるようになり、「草津には無比の温泉以外に、日本で最上の山の空気と、全く理想的な飲料水がある。 もしこんな土地がヨーロッパにあったとしたら、カルロヴィ・ヴァリ(チェコにある温泉)よりも賑わうことだろう」と評価し、草津温泉を世界に紹介する。
 また、ベルツ博士が冬季に滞在中に旅館の女中達がヒビ、アカギレなどで苦しんでいる姿を目撃して、凍傷治療薬を変方して「ベルツ水」を考案する。これはグリセリンとエタノールを主原料として誰もが簡単に作れるものにして日本国内の普及を図った。ベルツ水は現在でも薬局で販売されている。

                 
               斉藤茂吉の碑    水原秋桜子の碑

 斉藤茂吉の句碑には 「 いづこにも湯が噴きいでて流れるる 谷間を行けば身はあたたかし」

  ドイツで医学を学び、歌人でもある茂吉は、近代短歌に大きな影響を与えた作品を残している。


 水原秋桜子の句碑には 「胸像は永久に 日本の 秋日和 」 と彫られている。
  
  これは医学博士である秋桜子が、草津町の恩人であるベルツ博士の遺徳を偲んで詠んだものである。
 

           
            いたる所で温泉を噴出す池と湯川が流れる西の河原公園

 至るところから源泉が湧き出し湯川となって流れ、周囲には琥珀の池、瑠璃の池などと名付けられた湯溜まりが点在している。

            
        エメラルドグリーンの色をした琥珀の池 なぜか硬貨が投げられている!

            
               代表的な温泉の湧口であった鬼の茶釜

 西の河原公園は、その昔、鬼の泉水と呼ばれ、「湧き出る湯口はわれもおそろしや、鬼の茶釜の湯土産噺」と怖がられていたが、今は遊歩道のある公園になっている。

           
             荒涼とした景観にあり温泉が湧いている二つの池 

           
               河に造られた滝壷に置かれて祀られている不動明王  

           
            祀られている不動明王のある滝と、分かれて岩肌を流れる川

 西の河原公園の奥には、昨夜入浴した西の河原露天風呂の施設がある。私たちは不動明王の祀られている滝の見学を終えた後、中心部の湯畑方面に帰っていった。
 道中には、みやげ物や温泉饅頭などを製造直売している店が並び、蒸しあがったばかりの饅頭をサービスしながら、呼び込み勇ましく販売している光景が見られた。
 私は湯畑にある駐車場に帰り、洗面用具を持参して立ち寄りの湯である「白旗の湯」に入浴する。

           
草津温泉には、無料の立ち寄り湯が十数箇所ある。湯畑の隣にある無料の立ち寄り湯の「白旗の湯」

 白旗の湯には、5~6人が入浴していたが、その熱さには驚かされた。比較的に熱い湯を好む私も、最初には一分も入っていられなく、体を慣らした後、再度試みて入浴するが1分が限度であった。

 草津温泉には不思議な魅力が感じられる。温泉の良さは勿論であるが、湯けむり漂う景観と共に山裾にある緑の森や、白根山など自然と一体となった温泉の風景が私たちを惹きつけてやまなかった。
 草津温泉の散策や入浴を終えた後、私たちは日光ロマンス街道を、沼田方面に走らせて行った。
           

            

日本最高地点を走る国道と白根山湯釜の景観

2010-04-17 16:06:41 | 気ままな旅
 2009年6月26日(金) 上天気となった今日は、午前中、長野県小布施町にある北斎館などを見学して中野市に入り、そこから志賀高原を通過する国道292号線の山岳道路を通り草津方面に向かって行く。
 この国道は志賀草津道路(志賀草津高原ルート)と呼ばれ、長野県志賀高原から群馬県草津温泉に抜ける全長41.1kmの高原道路で、標高2000mからの山陵や雲海などが見られるなど、ダイナミックな高原ドライブが楽しめるルートである。
 この道路は当初有料であったが、1992年一般国道として無料解放されている。

 中野市内のスーパーで買い物を済ました後、R292(志賀草津高原道路)に入り走行して行く。
 愛車はやがて、曲がりくねった志賀高原の道路を快適に走行、どんどん高度を上げ行く。 車窓からは、先ほどまで観光していた小布施町など、信州の盆地や山稜のすばらしい景観が見えている。
 愛車はさらに高度を上げて行く。初夏の高原らしい緑の景観が続き、その中でひと際、鮮やかな白樺の林が見え、高原の風情を一層楽しくさせてくれる。
 しばらく、高原の風情を感じながら走行していると、森に囲まれた小さな池が見える。 何だろうと! 立ち寄ってみることにした。
 小さな駐車場に愛車を止め、遊歩道を進んでいくと、一沼(いちぬま)と書かれた案内板があり、池の地図なども書かれいる。
 案内板によると一沼の右奥には琵琶池があり、池の奥には旭山(標高1524m)が聳えたっている。
 一沼までは60mの距離にあり、木道の遊歩道が造られている。
 一沼は0.45haの小さな池で、標高1420mに位置している。
 特に春先のツツジと秋の紅葉期には、周囲が紅葉するすばらしい景観で知られている。
 
           
         新緑に包まれた一沼には蓮の白い花が咲き、優雅な趣を表している。

 一沼を見学した後、300m程先にある琵琶池に行ってみる。
 遊歩道の脇には、白樺が生い茂り、赤いツツジが咲き、高原の情緒をかもし出している。
 さらに進んで行くと「バンダイナムコの森」と書かれた緑の群生地がある。
 群生地を通り進んでいくと、緑に囲まれた琵琶池に出てくる。
 琵琶池は、標高1396m、周囲2300mと志賀高原では大沼池に次ぎ、第2の大きさの湖である。
 琵琶池は20万年前の火山活動によって出来た窪地に、水が溜まって池となったといわれ、楽器のビワに似ていることから名づけられている。
 池の側には琵琶池が一望できる東屋が有り、そこからは満面と湖水を湛え、周辺の緑の樹木や旭山と共に美しい景観を見せている。
 琵琶池を見学した後、駐車場に戻り、志賀高原の魅力一杯の山岳道路を走行して行く。 

           
              白樺の木や赤いツツジなどが見られる琵琶池

 琵琶池を出発して、すぐの所に丸池があり、周辺にはスキー客や、避暑に訪れた人達の宿泊するホテルが建てられている。 私達は立寄らずに、高原の魅力一杯の道路をそのまま走行して行く。

           
琵琶池をすぎた直後にある丸池のホテル街・四季を通じて賑わうが特に冬場には多くのスキヤーが訪れて賑わっている。

 志賀高原は、長野県北部の下高井郡にある上信越高原国立公園の中心部を占める高原で、高原一体にスキー場が開設されている。
 1998年に開催された長野冬季オリンピック競技の開催地であった。

 丸池を過ぎ、高原道路を進んでいくと左側に山稜の美しい景観が見えている。
 眺望の良い場所に来ると、愛車を止め、撮影して、また、走り出す。
 このようなことを何回か繰り返しながら走行していると、噴煙が目に入ってくる。
 平床大噴泉・ほたる温泉と書かれた標識がたてられている。
 その側では、数十個の石が詰まれ、濛々と噴煙を上げている。
 南の山裾にはほたる温泉の建物があり、奥には富士山のような形をした美しい山が見えている。
 少し立寄った後、再び愛車を走行していく。山岳に造られた高原道路もどんどん高度を上げているようで、眼下に見える景観が遠く感じるようになってくる。
 さらに走行して行くと眼前の頂上に鉄塔が建ち、麓から頂上に向かって真っ直ぐに伸びているスカイレーターが見えてくる。横手山である。
 横手山は標高2305mで頂上まで体力のない人でも楽に登れるように造られている。
 頂上からは360度大パノラマの眺望を楽しむ事が出来そうである。

           
        国道からの横手山(標高2305m)眺望は志賀高原随一といわれている。

 私達は横手山の下にあるドライブンに愛車を止め、ドライブインから広がる大展望の景観を楽しむ。
 霞んで少し見づらいが、浅間山や八ケ岳、北アルプスなど、信州の名峰がうっすらと見えている。
また、眼下の曲がりくねった道路には、数台のバスや乗用車が走行している。

           
   標高2100mと書かれた横手山ドライブインの看板と茶褐色の地肌を現した白根山が見えている。

           
        横手山サンセットポイント 美しい姿を見せている笠ケ岳(標高2076m)

 横手山ドライブインからの山岳道路は、2000mを越え、眼下には険しい谷が底なしのように下り、その山陵部分には、幾重にも重なった尾根が見えている。
 しばらく進むとトドマツやコメツガ・クマザサなどが原生する景観に変わってくる。
 さらに走行して行くと日本国道最高地点の案内標識のある地点に到着する。

           
             日本国道最高地点・標高2172mと書かれた案内標識

 国道最高地点からの景観もすばらしく、枯れはてた立ち木の合い間から見る荒涼とした白根山や、幾重にも遠く霞んだ山峰など、高原道路特有の景観が広がっている。
 国道最高地点での記念撮影を終えた後、白根山に向かって愛車を走らせて行く。
 車窓からは所々に残雪が見え、初夏の2000mを越える高原ドライブの情緒を、さらに高め楽しくさせてくれる。
 ほどなくして愛車は、白根山レストハウス前の駐車場に到着する。
 駐車場近辺には、多くの観光客が訪れ、レストハウス前では飲食やショッピングを楽しんだり、湯釜方面へ行き交う人たちが見えている。
 
           
             国道292から茶っ褐色の地肌を見せる白根山(標高2171m)
             
           
           万座温泉方面から合流する曲がりくねった山岳道路の景観

           
          R292号線沿いに見られた残雪と地肌をむき出しにした白根山

 上信越高原国立公園 白根山(標高2160m)と書かれた案内板が見えている。
 駐車場に愛車を止め、最初にレストハウス近くにある「白根山の高山植物と歴史館」を見学することにした。
 白根山に関しては絵図入りで次のように書かれている。

 「白根山は昭和に入ってからも何度か噴火している ”生きている火山” である。山頂には3つの火口があり、中央の湯釜はエメラルドグリーンの温水を湛え、その強い酸性度(PH1内外)でも知られている。 隣にある弓池もかつては火口の跡である。」
 以下の航空写真もこの館に掲示してあったものを撮影する。
          
           
本白根山(標高2171m)上空から、上に重なる逢の峰(2110m)、白根山(2160m)、横手山(2305m)方面を望む

手前の本白根山頂付近には、昔の火口のなごりを今にとどめている空釜、鏡池などがあり、緑に覆われた静かなたたづまいを見せ、白根山と対象的な姿を見せている。

           
       逢の峰上空から白根山を望む。中央に見えるのがレストハウスと駐車場

 手前に見えるのが弓池とレストハウス・駐車場。白根山頂付近にはエメラルドグリーンの湖水を湛えた湯釜(中央)をはじめ、水釜(右側)、涸釜(左側)の三つの火口湖がある。

 歴史館の見学を終えた後、湯釜を見学するために白根山への登山を開始した。
 湯釜は白根山に登らないと見学できないために、ほとんどの方が登っている。 山頂までは約20分程度を要する。
 前回訪れた登山道と今回の登山道のコースが違っている為に訪ねたところ、火山性の有毒ガスが発生している為とのことであった。

           
           白根山から見る曲がりくねった志賀草津高原道路(R292)
 
 登山を開始して10分ほどで、眼下に先ほどの駐車場や弓池の全景が美しく見え、その後方には逢ケ峰(2110m)のどっしりとした姿を現している。
 また、先ほどまで走っていた山岳地帯の険しい則面に造られた道路が見えている。
 登山コースの脇には、すずらんのような可憐な白い花を咲かした高山植物が、私達を一層楽しくさしてくれる。
 
           
           明治35年の白根山の噴火によって出来た火口湖の弓池と駐車場

 さらに、10分程登ると草木の全くない地肌を現した所に出てくる。
 前方には神秘的なエメラルドグリーンの湯釜が、満面と湖水を湛えて見えている。
 時間的に遅いためか訪れている人は少なく、数人の人たちが湯釜をバックに記念写真を撮っている。
 決められた展望台の前には、火山活動の影響で柵があり、柵内に入ることは危険な為に禁止されている。

           
 数人のグループが訪れている湯釜展望台、湯釜や涸釜など白根山の景観や眼下の山峰が見渡される。

           
         大変神秘的な湯釜、直径300m、水深約30m、水温約18度Cの火口湖である。

湯釜のエメラルドグリーンの原因は、湖底から湧き出す硫黄泉によるもので、世界一酸性度の高いカルデラ湖水といわれている。これは火山ガスに含まれる塩化水素や二酸化硫黄が水に溶け込み、塩酸や硫酸となった為と考えられている。

           
             エメラルドグリーンの湖水を満面と湛えた湯釜、 

           
                私達も湯釜をバックに記念のショット

 私は10年に一度ぐらいの割合でこの湯釜を訪れる機会があり、この神秘的な景観を目にしている。
 火山活動といった自然の力がこのような美しい景観を作り出し、私達を感動の世界へ導いてくれる。
 円形に切り立った地肌の壁面と乳白色をした湯釜のコントラストは、人工的には出来ない驚きの連続で、いつまでたっても飽きることのない美しい光景である。

           
        弓池は周囲800m、美しい池と湿地帯で構成されている火口湖である。
 
 しばらく湯釜や白根山からの景観をたの楽しんだ後、白根山を後にして、弓池と湿原に向かって行く。
 
           
弓池は水を湛えた湖水部分と湿原に分かれているが、湿原には木道が、周囲には遊歩道が整備されている。

           
 弓池に数羽の水鳥が飛来するようで私が近づくとご覧のように水鳥が飛び立っていった。

           
弓池は湖水を湛えた部分と湿原に分かれて存在している。湿原にはご覧のような数種類の植物が色とりどりに自生し美しい光景を見せている。

 白根山湯釜と弓池の見学を追えた頃には、時間も6時を過ぎ、太陽も西に傾き始めている。
 志賀草津高原道路や湯釜などの景観は、何度訪れても新鮮で印象的であり、高原ドライブ独特の情緒を味わさせてくれる。
 時間があれば本白根山などにも足を運び、白根山の魅力にもっともっと触れたいと思っていたが、この時間からは観光できず、眼下に見えている草津温泉に下っていくことにした。

           
     手前に見えるのが志賀草津高原道路で、その向こうに見えるのが草津温泉街

           
 白根山と草津温泉の中腹にある火山性有毒ガスを出している殺生ケ原の中に道路は造られている。

 草津温泉に向かう途中にある殺生ケ原は、火山性ガスが発生しているために草木の生えない殺風景な景観を現している。
 車窓から何枚か撮影し、愛車を眼下に見えている草津温泉方面に走らせて行った。
 今日は草津温泉で入浴して宿泊することにした。  

 私は2000mの高原や山岳を走るこの高原道路が大好きで、このルートほど胸をときめきさしてくれ、何度走っても飽きることがなく、また行きたくなる魅力あるコースである。                    

南大阪にある名所の桜・・・2010年

2010-04-10 22:00:18 | 
 2010年4月、全国から花便りが届く季節となった。
 今年の開花は例年になく速いスピードで訪れるような温暖な気候であったが、3月中旬の東大寺お水取りも終わり、熱戦が見られる高校野球が甲子園で始まっても、桜の開花は進まなかった。
 気候も気ままに推移して冬将軍が突然訪れ、北からは雪の便りも届く迷走する季節であった。
 しかし、4月に入り南大阪周辺の桜も開花が進み、各地区では桜を楽しむ大勢の人達が訪れて賑わいを見せている。
 私達もこの季節特有のわくわくした気分が芽生え、近くにある桜の名所へ撮影に出かけることにした。
 
 最初に貝塚市にある水間公園に行ってみる。
 水間公園は、水間寺の裏山に広がる緑豊かな公園で、市民の憩いの場として親しまれ、季節を通じて多くの人たちが訪れている。 
 特に桜の季節には大変な賑わいを見せている公園である。
 この日は上天気で、大勢の家族連れやグループの人たちが訪れている。
 臨時に造られた公園内の駐車場に車を止めて進んでいくと、池のまわりにある桜の大木が見事な花を咲かせて美しい景観を見せている。
 水間公園には約100本の桜が植えられ、木も立派に成長し、満開の桜が訪れた人達を楽しませてくれている。

           
              満開の遊歩道を手をつないで散歩する親子 

           
              満開の桜の下で花見をしながらくつろぐ人たち 

           
              10名位のグループでバーベキューを楽しむ人たち 

           
        水間公園内の芝生広場では、弁当を広げ花見を楽しむ人たちも訪れている。

           
        満開の桜の下、赤い欄干の架かった橋を渡り花見を楽しむ人たち。

           
          桜の咲く水間公園から、貝塚市内の抜群の眺望を楽しむことも出来る。

 水間公園を一通り散策した後、麓にある水間寺に下って行った。
 水間寺は通称「水間観音」といわれ、厄除け観音として知られ、特に初詣には多くの参拝客が訪れることで有名である。
 水間寺は、天台宗延暦寺末別格の本山「龍谷山」で、開基は行基。本尊は聖観世音菩薩である。
 水間寺名前の由来は、二本の川の合流地点にある寺、川(=水)と川との「間」にあたることから水間と呼ばれるようになったと伝えられている。

            
               水間寺の三重の搭     水間寺の川にたれさがる桜  

 風格のある三重の搭と桜がうまく調和し、美しい和の景観を見せてくれている。
 日本建築の伽藍には、桜がよくあっている。
 眺めているだけでも、不思議と心が落ちつき、しばらく見とれてしまうほどである。
 川と真新しい石橋(工事中)に桜がうまく溶け込み、風情のある景観を見せている。
 枝の桜が垂れ下がった川面では、2羽のアヒルが、水面をすいすいと泳ぎながら餌を漁っている光景も見られ、この季節ならでわの風情を一層高めてくれている。 
          
           
 桜と水間寺正門にあたる石橋(工事中)が、風格のある三重の搭や本堂との風情を一層かもし出している。

           
            水間寺境内にある客殿の桜から 三重の搭や本堂の伽藍を望む

           
       水間寺本堂前に小さく咲く可憐な桜、この場所で車の交通安全祈願が行われる。

 水間寺に咲く桜の撮影を終えた後、熊取町内にある永楽ダムの桜を見ることにして愛車を走らせて行った。
 永楽ダムでは、例年になく湖水を満面と湛えたダム湖を形成している。
 ダム湖畔の2kmにわたる周遊道路には、約1000本の桜が植えられ、私たちの目を楽しませてくれている。
 
           
                 永楽ダムの反対側より公園中心部を望む

 ダム湖畔に出来た2kmにわたる周遊道路は、桜のない通常の季節でも、朝早くからウオーキングやジョギングを楽しむ人たちが訪れ、憩いの場として親しまれている。
 特に夏場の朝などには、周辺の山々やダム湖から発生するマイナスイオンの影響か、独特の冷気を感じ、心地よさが伝わってくる。
          
           
         満水の湖水を湛える永楽ダム湖の周遊道路に植えられた桜

           
        提灯のぶら下がったダム公園の桜から、満水の永楽ダム本体を望む

           
              永楽ダム公園の満開の桜の下で楽しむ親子

           
          提灯のぶら下がる桜の下で、まりをついて楽しんでいる女の子 

           
    家族連れで賑わうダム公園の桜 その下を手に棒を持ち、走り回る女の子  

           
             少しつぼみも見られるが、美しく咲いた永楽ダムの桜

           
       桜の木に登って花見客を見つめる黒い猫、なぜか永楽ダムには野生の猫が多い。

           
        永楽ダム湖に逆さに映る周辺の景観、左側の山頂には展望台が造られている。

           
永楽ダム湖水に逆さに映る神秘的な景観、山稜に咲く山桜や桜が湖水に映り、神秘的な美しい景観をかもしだしている。 

           
太陽が西に傾き、太陽光線の明暗が湖水とダム本体と周辺との景観をかもしだし、たそがれ時をむかえようとしている。

           
永楽ダムを覆っている山林の中に、可憐な赤い葉や花を咲かす山桜と、白い桜が咲き、緑の中の暖かいぬくもりを感じさしてくれる。

           
永楽ダムの近くにある池に咲く山桜、独特の赤い葉や可憐な花に派手さは感じないが、心が和む落ち着きと、自然の中の静かさを感じさしてくれる。

 永楽ダム周辺の桜を見学した後、私たちは2km位の近くにある泉佐野市の日根神社や、その奥にある大井関自然公園に向かって行った。

 日根神社は、別名「大井関明神」といわれ、本殿は春日造りである。
 天正年間(1573年~1593年)の兵火によって焼失したが、慶長5年(1600年)に豊臣秀頼によって再建された。
 毎年5月には、のぼりに色とりどりの枕をつけて村々を巡行する例祭 「まくら祭り」 が開催される。

            
            日根神社の参道に咲く桜    日根神社の赤い鳥居と桜

 鳥居近くに車を止める。道路と平行して出来た参道には、植えられた桜が満開となり、本殿に向かって真っ直ぐに伸び、桜の美しい光景を見せている。
 さらに本殿に向かって赤い鳥居をくぐり、桜並木の参道を進んでいくと、右側に比売神社や丹生神社などの摂社が祀られている。
さらに真っ直ぐに本殿に向かって進んで行くと、石段があり、その先の門が造られている。

           
       日根神社拝殿前にある入り口門 この門をくぐると目の前に拝殿がある。

           
神武天皇の親神様を祀る日根神社拝殿、縁結び、子宝、子供の成長、夫婦円満に御利益があるといわれている。

           
                大井関自然公園の桜

 大井関自然公園は、日根神社に隣接、東西に流れる樫井川のろじ渓を挟んで広がる自然豊かな公園である。
 公園内には、約800本の桜が咲き、泉佐野市内唯一の桜の名所として親しまれている。

           
            大井関自然公園内にある樫井川のろじ渓に架かる赤い橋 

            
        樫井川ろじ渓(赤い橋の上流部分) 樫井川ろじ渓(赤い橋の下流部分)

 日根神社や大井関自然公園の桜は、水間公園や永楽ダムの桜と趣が少し違った印象を受けてくる。
 水間寺は、限られた一角の中に伽藍があり、その周りの桜が景観を造っている。
 永楽ダムは、ダム湖を中心に植えられた桜や山陵が一体となって自然豊かな景観をつくりあげている。
 日根神社は、一本の長い参道に桜が植えられ、桜の並木道となって境内に通じている。
 満開の桜を見ながら進んでいくが、神社の境内のせいか、厳かさと厳粛さも伝わり、気持ちが少し引き締まるような感覚が湧いてくる。
 隣接する大井関公園は、びっくりするような美しい渓谷と桜があり、渓谷に架かった赤い橋が、うまく調和し、公園全体の景観と親しみやすさを感じさしてくれる。

 

関空から高速船で行った神戸空港と花鳥園

2010-04-02 18:40:32 | 気ままな旅
 2010年3月2日(火)今日は近所の方から2日前に 関西空港から神戸までの高速船の往復乗船券を頂いて関西空港に向かっている。
 当初は近所の方から 「高速船のチケットが手に入ったけど 二人で行かれませんか!」 
 とのことで、妻と相談した結果、折角の機会だからと考え行くことにした。
 私は関西空港近くに住んでいるが、関空から高速船で神戸には行った事はなく、神戸空港や近くにある花鳥園なども楽しみであった。
 
 今朝は幸いにして、空は晴れわたる上天気で、8時過ぎに自宅を出発、最寄り駅のJR日根野駅から関西空港へ行きことにしていた。

          
      日根野駅を通過して行く特急「はるか」関西空港と京都間を走っている。

 日根野駅に到着して関空快速を持っていると、京都と関西空港を結ぶ特急「はるか」が白と青の美しい車体を見せながら通り過ぎて行く。
 この列車を見送り関空に向かっていると、自分たちも海外に羽ばたきたい気持ちが湧いてくる。

           
             日根野駅に入線してきた関空・紀州路快速

 ホームで暫く待っていると関空快速が入線、乗車すると10分ほどで関西空港駅に到着する。
 空港ターミナル1階にあるリムジンバス乗り場(⑫番)から、桟橋行きの専用シャトルバスが運行され、乗車すると5分ほどでポートターミナル桟橋に到着する。
 10時00分発のベイシャトル高速船に乗船する。

          
             関西空港と神戸空港を29分で結ぶベイシャトル高速船

 UMI(うみ)とSORA(そら)と名づけられた双胴高速艇(総トン数84トン、速力30ノット、定員110名、運賃片道1500円、往復2700円)が1時間毎に運行され、関西空港と神戸間を29分で結んでいる。

          
               大阪湾を航行するベイシャトル高速船

 神戸・関空ベイシャトル高速船は、定刻に関空桟橋を出航、大阪湾を横切り神戸に向かって行く。
 大阪湾の波は静かで、ほとんど揺れることなく、30ノット(55km/H)で航行している。
 船体が小さいせいか、60km以上のスピードが出ているように感じるが乗り心地は想像以上に良かった。
 船上から観る景観はすばらしいが、この時期の大阪湾は霞んで見え、船が進むにつれ神戸の街並みや、六甲山系の山陵が近くに見えてくる。
 間もなくして神戸空港の海上アクセスターミナルに到着する。
 海上ターミナルからも専用シャトルバスが運行され、2~3分で神戸空港ターミナルに到着する。

          
                 神戸空港ターミナルビル

 神戸空港は神戸市中心部の三宮より南へ8kmに位置する地方管理空港である。
 人工島であるポートアイランド沖に、埋めたてられた人工島(272ha)に造られている。
 2006年2月に開港、2500mの滑走路を1本持つ海上空港である。
 空港の開港に合わせて、ポートライナー(鉄道)が延伸され、三ノ宮駅から最速16分で結ばれている。

 専用のシャトルバスを降り立ち、進んでいくと空港ターミナル正面玄関があり、その先がロビーになっている。
 空港ターミナルビルは、3階建て(一部4階建て)の施設で、一階には総合案内所やコンビニ、到着ロビーがある。
 1階中央には2階へのエスカレーターがある。昇っていくと出発ロビーがあり、チエックインカウンターや搭乗口がある。
 3階は吹き抜け部分があり、周りはレストラン街で上島コーヒーや神戸洋食キチンなどが出店している。
 私たちはさらに上にある、最上階展望デッキに行ってみることにした。 
  
          
          正面玄関を入ったところにある神戸空港ターミナル1階ロビー

 展望ロビーに上ってみると、入口の左右に庭園が造られ、数人の若い女性達がベンチで飲食しながら、壮大な景観を楽しんでいる。
 階下には出発を待っている航空機が見えている。
 神戸空港は、第三種空港であるためか、小型機の発着が多く、関西空港のような大型機は見られなかった。
 視界がよければ大阪湾や対岸の関西空港、大阪市内などが一望できるはずであるが、残念ながら見ることは出来なかった。

          
             神戸空港ターミナルビル展望ロビーから見る航空機
          
          
      神戸空港に着陸しエプロンに入って行く航空機と離陸して飛び立っていく航空機

            
         空港ターミナルビル展望ロビーから明石海峡大橋方面を見る。

          
    空港ターミナルビルから近代的なビルが林立する神戸市中心街(三宮)の景観
 
 展望ロビーから滑走路の反対側を見ると、六甲山系の麓に広がる神戸市の全景が広がっている。
 西は明石海峡大橋から東側にあるコンテナ埠頭の巨大クレーンなどが、港神戸の状況をかもし出している。
 ターミナルビル北側には、近代的なビルが林立する神戸市中心市街部の三宮が見え、美しい都市景観を見せている。
 展望ロビーには数人の方たちがベンチに座り、空港からの景観や航空機の離着陸の様子を楽しんでいる。
 私達も朝、妻がたてたコーヒーをポットに入れて持参、展望ロビーから航空機の離着陸や壮大な景観を眺めながら飲むコーヒーの味は、また格別である。
 暫く展望ロビーでくつろいでいると、ご覧の写真のように航空機が着陸、新たな航空機が飛び立って行く光景が見られた。
          
 ターミナルビルで一時間ほど過ごした後、私たちは三宮と神戸空港までを結んでいる、新交通システムのポートライナーに乗車し神戸花鳥園に向かった。
 この鉄道は無人で運行されている。
 次の停車駅ポートアイランド南(花鳥園前)で下車する。
 神戸花鳥園は駅の前にあった。
 入園券1500円を購入し園内に入って行くと、そこは広大なガラスハウスになっていて、頭上から大輪の美しい花がぶら下がっている。
 このような景観は、雑誌等ではよく見かけるが、実際に見るのは初めてで飽きることがなかった。
          
           
     神戸花鳥園入り口近辺にあるガラスハウスの中の頭上からの吊り花の光景

 神戸花鳥園は、総面積約4ha、空調温室面積約16000㎡の広大な空間に、スイレン、ベコニアなどの園芸植物と、鳥類、魚類などの生物と、ふれあいを目的としたテーマパークである。

           
               仲むつましくお互いに見つめ合うクジャクバト

           
販売している餌を与えようとすると近くにいる鳥(オオハシ)が飛んで来て、ご覧のような光景が見られた。

           
 鷲や梟の飛行ショーの会場、調教師の女性が呼びかけると真っ直ぐに飛んでくる。一日に3回開催されている。

           
       調教師の腕につかまり羽ばたく鷲、その後、飛行ショーが行われる。

           
             調教師の男性が語りかけるとうなずく梟(ふくろう)

           
        梟を片手にとまらせながら梟の生態などを説明する調教師の男性

           
         梟のショーの後は、触れ合ったり一緒に記念撮影をすることも出来る。

           
バイキング料理のレストラン、大輪の花を咲かせたベコニアの下での昼食は心の憩うやすらぎのひと時であった。

           
  頭上を埋めている大半の花は球根ベコニアで、当園で交配・改良を重ねて栽培されたものである。      

           
満開に咲いた頭上から垂れ下がっている大輪の花が、バイキング料理や食後の飲み物を一層美味しく、楽しい雰囲気にしてくれる。

           
                  記念のショットにと・・ハート型に造られた花

           
長屋門の近くにペンギン池がある。ケープペンギンが飼育されている。池から通路に出て子供たち触れ合ったり、餌をあげるなどの体験ができる人気スポットである。

           
        鯉も泳ぐ池の中で羽ばたくイチョウのような飾り羽が特徴のオシドリ(オス)

           
中庭池にいるトキの仲間であるシロトキとショウジョウトキ(ショウジョウとは赤色のこと)に、餌をあげようとすると多数の鳥が集まってくる。

           
色鮮やかな熱帯性のスイレンの池、大きな葉を持つオオニバスや色とりどりのスイレンが花を咲かしている。

           
    日本では見ることが出来ないパパイヤ、スイレン池の畔に実をつけている。

           
毎日のように飲むコーヒー、この樹木を見ていても意外とコーヒーの実であることを知らない人が多い。スイレンの池の側で見かけたコーヒーの実。

           
熱帯に浮かぶ大小様々なオオニバスの葉と、色とりどりのスイレンの花、1年中咲き乱れているようである。

           
  花鳥園では色々なスイレンを交配、新種のスイレン花にチャレンジして成功さしている。

 何気なしに訪れることになった神戸空港や花鳥園、頭上から咲き乱れる花の中で、鳥や魚達と戯れるスポットとして人気が高まっているようである。
 私達も神戸花鳥園を妻と二人で訪れ、十分に楽しむことができた。
 花の下での昼食も楽しく、いつの間にか通常の倍近い食事時間になっていた。
 帰りも行きと同じルートで、高速船で関西空港へ立ち寄り、JR関空快速で家路について行った。