気ままな旅

マイカーでの気ままな旅で、束縛された予定や時間にとらわれない、自由奔放な行動をとる旅の紹介です。

高さ500mの滝と大水量350mの圧巻の滝

2009-07-18 16:00:04 | 気ままな旅
 6月21日(日)朝 北陸道賤ケ岳SAを出発して立山有料道路と、日本一の高さを誇ハンノキの滝、称名滝(しょうみょうのたき)方面の分岐点にやってきた。
 私たちは、目的地の滝方面に向かって行く、前回に述べたが道路沿いには、常願寺川の支流にあたる称名川が流れ、周囲の景観も急峻な山陵に変わってきている。 
 少し進んで行くと、すると前方の山と山に挟まれた空間の部分に、白い細い線が2本見えてくる。
 ハンノキの滝と称名滝である。
 目前の右斜面の景観も断崖絶壁の恐ろしくなるような壁に変わってきている。
 山高く、幅広く見えている。 悪城の壁(あくしろのかべ)である。
 この断崖絶壁の中腹には、氷河期にできた氷河が融けて、壁から滑り落ちる時にできたと思われる、半円形の形をした岩肌の壁が見え、この形状をした壁が幾つか横に連続して見えている。
 さらに進んでいくと、眼下の称名川には砂防堰が、数段にわたって幾つか造られ、滝のような落差をともないながら流れ落ちている。
 悪城の壁などとともに、厳しい自然のすごさを感じさしてくれている。    

          
           高さ500m、長さ2kmに渡って続く断崖絶壁の「悪城の壁」

 少し進むと悪城の壁(あくしろのかべ)の展望台があった。
 悪城とは、また、なかなか的を得た名前のように思えるが、悪城には、すごく恐ろしい、砦のように人を寄せ付けないという意味があるようだ。
 見ただけでも恐ろしくなり、人を寄せ付けない断崖絶壁ということで 「悪城の壁」 と呼ばれるようになったようである。
 高さ500m、幅2kmにわたって続くこの断崖絶壁は日本一の規模を誇っている。
 確かに登ろうとする気力さえも、失わせるに充分な急峻な崖の様相を呈している。
 悪城の壁の上部は、2段になっており、古立山火山の噴火によって出来た溶結凝灰岩が、氷河期の氷河で削られたり、称名川の浸食作用によって約十万年の歳月をかけて作られたとされている。
 また、この上部の台地には立山黒部アルペンルートの弥陀ヶ原台地が広がっている。
 弥陀ヶ原は立山黒部アルペンルートの途中、標高1600m~2100m付近にかけて
ある高層湿原地帯のことを指している。

          
            氷河で削られたような形状を現している 「悪城の壁」

          
         2kmにわたって断崖絶壁の奥には残雪も見られる「悪城の壁」

          
               滝に向かう道路沿いにある悪城の壁

 悪城の壁を目のあたりにしながら渓谷にできた道路を進んでいくと、二つの滝の全景が姿を現してくる。
 程なくして愛車は称名滝駐車場に到着する。ここから奥はマイカーの乗り入れは規制されている。 滝までの距離は1.3kmほどである。

          
            緩やかな登りになっている滝への遊歩道

 緩やかな幅広い登りの道を進んでいくと500mの落差のあるハンノキ滝の全景と称名滝の上部がすごい水量で流れているのが見えてくる。
 ハンノキ滝の右横には、幾重にもなって糸を引くような小さな滝が、緑の合間を縫ったように流れている。美しい光景である。
 称名滝の横上にも所々で小さな滝が見えているが下の方では森に隠れて見えなくなっている。
 この場所からは称名滝の全景を見ることは出来ないが、上の方ではすごい量の水流を伴っていきよいよく流れ落ちている様子が見えている。
 ハンノキ滝と称名滝、さらに、この二つの滝に花を持たせるように幾重にもなって、白い糸のように黒い岩肌を流れ落ちる滝が、この場所からも良く見えている。さらに進んで行く。
          
              ハンノキの滝と称名の滝

 二つの滝は立山連峰を源流とし、弥陀ヶ原を流れた川が、この断崖を一気に流れ落ちていく。  
 雪解けの時期(4月~6月)には、右隣にあるハンノキ滝(ネハンの滝)姿を現わし、高さ500mと350mの二つの滝が、同じ滝壺に大迫力の水量と轟音を発しながら流下し、訪れている人々に言葉を失うほどの圧巻と感動を与えてくれる。
 さらに今回はハンノキ滝の右側にある糸状の細い滝も姿を現わし、3つの滝が並んだ珍しい光景に出会えることができ、これ以上の滝見物はないと言えるほどの絶景である。
  
 日本で、これほどの滝があることを私はつい最近まで知らなかった。 
 日本一の高さを誇る那智の滝が133mで、その上に500mや350mの滝があることさえ夢にも思わず、しかも、今見ている称名滝の水量のすごさにも驚かされる。
  
 高さ的にはハンノキ滝が日本一の落差の滝といえるが、通年に流れていないことから、日本一とは認定されず、全国滝の百選にも選定されていないようである。
 実際のハンノキ滝の落差は497mで、一般には500mとされている。

 称名滝は、350mという日本一の落差を誇る四段構成で通年流れている滝で、国指定の名勝及び天然記念物に指定され、日本の滝百選に選定されている。
 それぞれの段差滝の落差は上から70m、58m、96m、126mと、とても素晴らしい滝である。

 これだけの見事な滝が、なぜ、日本三名瀑(三大滝)に選ばれなかったのかが不思議でならない。 
 何故だろうかと思う。
 段瀑だからだろうか?

 ちなみに三名瀑は那智の滝(和歌山県)、華厳の滝(栃木県)、袋田の滝(茨城県)である。
 それぞれの滝の落差は、那智の滝133m=直漠、華厳の滝97m=直漠、袋田の滝120m=段漠で、それと比較しても、
 称名滝は全く遜色無いはずだと思えるが  何故だろうか!
 何故、日本三名瀑(三大滝)に選ばれなかったかが不思議に思えてくる。

 滝のあるカルデラの広さは、東西およそ6.5km、南北およそ5.0km。周辺の山々の崩壊・侵食によってできた、侵食カルデラの一種である。
 
          
 滝から流れる称名川に造られている幾段にも重なって作られている砂防堰とハンノキ滝

          
 500mの落差のあるハンノキ滝と左に隠れている称名滝、右側にはそうめんのように流れる滝も見えている。

            
           ハンノキ滝の上部  ハンノキ滝の横で幾筋にも糸状になって流れる滝

 滝までの遊歩道をさらに進んでいくと、ハンノキ滝と横にある糸状の滝がはっきりと見えてくるが、上空には雲がかかり始め、所々の山陵が見えなくなっている。
 幸いにして二つの滝の上部にあたる滝口は、はっきりと見えているが、称名の滝は、この場所でも岩壁の斜面に隠れ全体が見えていない。
 滝の手前には滝から流れる川に架けられた橋があり、渡ったと所の斜面には滝見台が造られている。
 橋に近づくに従って、轟音とともに大迫力の滝が現れてくるが、大量の雨のようなしぶきが、350mと500mの滝の流水が巻き起こした強風を伴って降り注いでくる。
 とてもカメラを向けて撮影できる状態ではない。一瞬にしてカメラが水滴で曇ってしまう。
 特に橋の上は、強風としぶきの量が多く一枚の撮影すらできなかった。
 橋を渡り、石段を上ると滝見台があり、さらにもう一段上にも山の斜面を利用して滝見台が造られている。
 私は上側にある滝見台からの撮影に臨んだ。
 ここからは、大流量の滝が轟音とともに350mの上空から流れ落ちている称名滝を見ることができる。
 私は色々な滝を見てきているが、このような大流量と轟音を伴った迫力満点の滝を見るのは初めてで、まさに圧巻である。
 500mの高さを持つハンノキ滝と、350mの称名滝が同じ滝壺に流下する様は、何ににもたとえようのない程の大きな感動が湧き、暫く見とれてしまう程である。

             
       上部の弥陀ヶ原と二つの滝のある渓谷  四段構成の称名滝

           
      ハンノキ滝と真っ白に流れる称名川 ハンノキ滝は上部の弥陀ヶ原から流れる

           
          称名滝とハンノキの滝  同じ滝壺に流下する二つの滝 この時期しか見られない

           
すごい水量で350mの高さから流れる迫力満点の称名の滝 虹のかかった滝壺からの川

          
称名の滝の一段目の滝(70m)(2段目の滝(58m)は隠れて見えない)三段目の滝(96m)が続いて流れ落ちる称名の滝
 
 称名滝は4段に分かれて流れ落ちている滝である。
 日本一といわれる落差は350m、うち標高1400m付近から流れ落ちる滝の第1段目は高さ70mあり、2段目は58m、 3段目は96m、4段目は最大で126mもある。
 4段目の高さだけで直瀑日本一といわれる那智の滝(133m)に匹敵する落差を誇っている。
 滝壺付近でも標高は1065mもあり、滝壺の水深は約6m、その直径は60mである。
 立山に水源を発する称名川が、かつて立山火山が噴火して出来た弥陀ヶ原の溶結凝灰岩をV字型に深さ150mに渡って侵食した称名廊下と呼ばれている谷の末端部分から一気に350m流れ落ちて、この称名滝となっている。

           
     三段目の滝(96m)から4段目の滝へ   四段目の滝(126m)の称名滝

          
     ひとつの滝壺に合流する称名の滝とハンノキ滝、同じ滝壺に流下する。 

 すごい滝の強風としぶきの中、ずぶ濡れになりながらの見学と撮影を終え、大満足して滝を後にし、もと来た道を駐車場に向かって帰って行く。
 駐車場の側には2階建ての 称名滝展示館 があって立ち寄ってみると、滝の地形を縮小して、分かりやすくしたものや、滝の四季を写真で紹介するパネルなどが展示してあった。
 下記の世界の主な滝も紹介されている。
 
 世界の主な滝
         滝 名        国 名      落差     滝幅
      ① エンジエル    ベネズエラ     970m
      ② グランド      カナダ        666m
      ③ スザーランド   ニュージランド    577m
      ④ ヨセミテ      アメリカ       433m
      ⑤ カランボ      タンザニア     423m    215m
      ⑥ リビングストン   ザイール      275m
      ⑦ ビクトリア     ジンバブエ     118m   1700m
      ⑧ イグアス      アルゼンチン     80m    2700m
       ⑨ ナイアガラ       アメリカ       59m    1200m
     
 滝にも色々の滝が有って、高さの大小や、大きさなどで争うものではないが、その魅力が人々をひきつけ、心の中に大きく浸透していっているように感じる。 
 日本人は、昔から滝が大好きで、庭園の中心には滝を配置して水を流し、池を造り、池の中には島に見立てた石を置き、色鮮やかな鯉を泳がしている。
 そして、全体の景観がまとまるように松などの樹木を植え、庭園全体のバランスを整え、周辺の屋敷などからの眺望が楽しまれるように工夫されている。
 たとえ、水のない庭園であっても、枯山水と称して、滝や池に見立てた石や砂などで表現して楽しんでいる。
 どのような庭園であっても、庭園の中心には滝を配置して、水の流れを考え、石や樹木などとバランスを整え、美しい特徴のある庭を形成しているように思えてならない。
 
 
 


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