11月25日(土)朝9時半
幾年の冬にも着こむ黒のフリースに、足裾が擦り切れた黒ズボン
踵が斜めの擦り減った黒のスニーカー
フリースは首元までしっかりとファスナーを上げる。
埠頭を通る。
東京湾最奥の漁港に海面の潮風が吹き上げ
顔面を通り抜ける。
耳鳴り治療のため、クリニックに向かう。
海風が右耳の凍傷の傷を呼び覚ます。
半世紀は過ぎた北アルプスでの凍傷が右耳をチクリと刺す。
船溜まりには、ホンビノス貝獲りを終えた小舟がモヤイに繋がれ
漁師たちは、寝酒を呑み床に就く。
クリニックは親子連れで待ち席は溢れてる。
診察室で泣き叫ぶ男の子
しっかりと抱きかかえるお母さん。
私も、幼い頃、鼻垂れ治療で、お袋に羽交い締めされ
泣き叫んだ。
3年前97歳で気丈夫なお袋は旅だった。
帰途、広島の酒、酔心を買う。
リュックに詰め再び水門を通る。
左脚に異変、脹脛が攣る。
朝の柔軟体操をしなかった。
老いてしまった身体。
孤高に耐えてきた心身は白髪と皺が刻まれ
足元はおぼつかないほど揺らぎ
防潮堤の階段をゆっくりと下りる。
幾多の困難を乗り越えた自負
さあ~て、いつまで生きられるか
孤高を潔しとする。
海鳴りを後にする。
♫ 海鳴り ~ 前川 清
幾年の冬にも着こむ黒のフリースに、足裾が擦り切れた黒ズボン
踵が斜めの擦り減った黒のスニーカー
フリースは首元までしっかりとファスナーを上げる。
埠頭を通る。
東京湾最奥の漁港に海面の潮風が吹き上げ
顔面を通り抜ける。
耳鳴り治療のため、クリニックに向かう。
海風が右耳の凍傷の傷を呼び覚ます。
半世紀は過ぎた北アルプスでの凍傷が右耳をチクリと刺す。
船溜まりには、ホンビノス貝獲りを終えた小舟がモヤイに繋がれ
漁師たちは、寝酒を呑み床に就く。
クリニックは親子連れで待ち席は溢れてる。
診察室で泣き叫ぶ男の子
しっかりと抱きかかえるお母さん。
私も、幼い頃、鼻垂れ治療で、お袋に羽交い締めされ
泣き叫んだ。
3年前97歳で気丈夫なお袋は旅だった。
帰途、広島の酒、酔心を買う。
リュックに詰め再び水門を通る。
左脚に異変、脹脛が攣る。
朝の柔軟体操をしなかった。
老いてしまった身体。
孤高に耐えてきた心身は白髪と皺が刻まれ
足元はおぼつかないほど揺らぎ
防潮堤の階段をゆっくりと下りる。
幾多の困難を乗り越えた自負
さあ~て、いつまで生きられるか
孤高を潔しとする。
海鳴りを後にする。
♫ 海鳴り ~ 前川 清