2月14日(火)
会津若松からの帰り道
続き
アニメ映画 君の名は。
大ヒット中
見てはいない。
少年少女の出会いを描いたストーリーはネットで知った。
昭和20年代 街にはアメリカ兵がうろついていた。
父親は、アメリカが接収管理する軍需工場で働いていた。
戦車を作っていた。
その頃、私が小学校低学年だった。
母親は映画館で働いていた。
今で言う、パート勤務。
館内を籠にお菓子、アイスキャンディーをいっぱい詰めて
客席を回り販売するのだ。
私は学校を終えると、母親が働く映画館に行き
仕事が終わるまで、一番前の空席に座って待っていた。
母親は、時にはアイスキャンディー、煎餅をくれた。
当時 大人達は、映画 「きみのなは」を井戸端で話題にしていた。
漢字も読めない、頭の成長が遅い私は理解できなかった。
きみのなは これが一つの単語?
それとも、きみのなは と呼ばれる縄があるのかと思った。
映画館の前席でアイスキャンディーを舐めながら
白黒画面に出てくる、男と女を見ていた。
なんだか、さっぱり分からない。
帰り道、母親に何の映画と聞いた。
映画は、「きみのなは」だと言った。
中学生になり、「君の縄」ではなく
「君の名は」であることを知った。
大学生になり、出会いの数寄屋橋が有楽町にあり
既に 数寄屋橋はなかった。
そして、今 車の助手席でうつらうつらしていた。
運転する先輩が、「会津若松城を見学するか」と言った。
私は、「遅くなるからいいですよ」と言った。
通り過ぎる会津若松市内の街並みを眺めながら
50年前の1日の出会いに想い馳せた。
ブログでは、彼女の名前を伏せた。
先日、古民家を所有する先輩に尋ねた。
「この辺りの姓は ○○がありますか」?
「おお 大勢いいるよ」
「面白い名前だね」
帰宅後、ネットで調べるとこの地方には、かなり多い姓であることを知った。
今 この時 市内ですれ違っても、彼女だとは分からないだろう。
何処か遠い町に嫁いだかしれない。
既に亡くなっているかもしれない。
その夜 彼女に 君の名は ?
と尋ねた。
Strangers in the Night (夜のストレンジャー) / Frank Sinatra cover takashi
恥ずかしそうに、瞳を伏せ
旅館の便箋に書いたのだ。
え! それ 本名?
「読み方は違うけれど
ホンナ と言うの」
青春の未来像を描けない焦燥と
切ない甘美な想いが交差した一夜だった。
50年前の出会いと別れだった。
森田 公一とトップギャラン - 青春時代