9月29日(木)昼前、南相馬の住所地から宅急便が届いた。
荷物を開くと大振りの梨が敷き詰められていた。
梨の件は9月19日敬老の日にさかのぼる。
休日であったが柳橋事務所に午後出向いた。
電話が鳴り番号は地方番号だ。
架けてきた声は東北訛り男の老人声だ。弊社の蒔絵筆記具を買いたいと言っている。
2月に通販カタログで買ったが現在は販売していないので弊社を紹介された。
早速カタログを送った。直に注文がきた。
個人購入としては数量が多い。
又住所地が福島原発被災地なので気になるので聞いて見た。すると、今まで避難していた。政府が避難解除を発令したので自宅のある南相馬に戻れる事にやっとなった。その間、避難先の埼玉、新潟、山形でお世話にになった方々に蒔絵ボールペン、万年筆を贈りたいのでカタログを送って欲しいと言われた。
私は事情と状況を判断して通常価格よりも安く見積った。個人の購入数量としては多い。直ちに、代引で送った。FAX、メールも使えない。耳も遠く、大声の私なので聞き取り易いと言った。27日(水)朝、ホームで電車待ちの時、携帯電話にその方から架かって来た。
「本日、梨送った。汚染されていない。」その時、ホームに電車が入り電話は切れた。
声だけで顔も人柄も素性も知らない。
地震が起き、原発が破壊され平穏な生活が突然暗転して
各地を転々としなければならなかった老人を暖かく向かい入れた
人々、苦境の中で受けた恩を返そうと蒔絵筆記具を贈る気持ち。
単に商売として売るだけの私にもお礼の梨を贈った。
政治家が困窮する被災者を置き去りにして権力闘争。
電力会社は少しでも賠償金を減らそうと、とてつもない厚さの書類を
作成、自分達に有利な立場と安全圏を確保。
だけれど、庶民は違った。
懸命に大きな力にはなれないけれど助け合った。
夏の電力不足 本当だったのだろうか?