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パーキンソン病の診断基準を見直し

2021-05-14 10:24:13 | 健康・医療
パーキンソン病は、脳の神経細胞に異常が生じ、歩行障害や睡眠障害などさまざまな症状が出る難病です。

私が入社して最初にやった研究が、このパーキンソン病治療薬となりそうなDOPAという化合物でした。私が仮に配属されたのが酵素を専門とする研究室で、そら豆の殻の中にDOPAが含まれているということで、これを作る酵素を探し出すというものでした。

私は3か月ぐらいで大学に派遣されてしまいましたので、これといった仕事をしたという記憶はないのですが、最初のテーマということでパーキンソン病というのは未だに気になる病気です。

これが50年以上前の話ですが、DOPAをはじめ多くの薬物が開発され、進行を遅らせることができ、2018年に早期発見・治療がしやすい形に診断基準が見直されました。

この病気は50歳ころから増え始め、患者は16万人に上ると推計されています。脳の神経細胞に異常なタンパク質である「アルファシヌクレイン」が蓄積することが病気の原因と考えられています。症状が現れる10年以上前から兆候は出始めているようです。

まず消化管や嗅覚に関わる神経などに蓄積し、便秘や嗅覚の低下、就寝中に手足の激しい動きや寝言が出る睡眠障害、うつなどが起こります。中脳の黒質にたまると神経細胞が壊され、運動を調節する神経伝達物質「ドーパミン」が不足し、手足の震えなどの運動症状が出ます。

早期の患者を確実に診断することを重視し、日本神経学会は2018年に診療ガイドラインを改訂しました。(1)動作が鈍くなる、(2)静止時に手足がふるえる、(3)筋肉がこわばる、という三つの運動症状のうち、(1)と(2)か(3)が当てはまることをパーキンソン病と定義しました。

(1)には声が小さくなる、歩くのが遅くなる、足が出にくい「すくみ足」などがあります。(2)はじっとしている時に片側の手が1秒間に5回程度震えることが特徴的です。(3)では手足の動きがぎこちない、表情が無い、肩や腰が痛むなどが挙げられます。

根治は困難ですが、なるべく早くドーパミンを補う薬物療法を始めることで、症状を抑えられ生活の質を改善できます。

運動症状への即効性の高いのは「レボドパ製剤」ですが、服薬が長期化すると体が勝手に動く運動合併症が出たり、効き目が切れて体が動かなくなる時間帯が出来たりします。薬で十分改善しなくなると、「脳深部刺激療法」を検討します。

電極や刺激装置を脳などに植えこみ、脳の特定の部分を電気で刺激します。この様に現在では良い治療法が開発され、生活の質をよくすることができていますが、やはり早期診断が重要なようです。

私の知人にも何人かパーキンソン病が出ており、身近な病気といえますが、皆ほとんど普通の日常を送っているようです。


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