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神経の元になる細胞の若返りに成功

2022-01-09 10:29:12 | 健康・医療
近年老化の研究は非常に盛んになり、老化が病気であり治療できるという説まで出ています。

私自身老化が進んでおり、こういった研究に興味がありますので、このブログでもいろいろ取り上げてきました。特に老化細胞の研究は多く、薬によって除去する方法や老化細胞除去ワクチンまで報告されています。

京都大学ウイルス・再生医学研究所のグループが、老化とともに衰える神経細胞の「元の細胞」を遺伝子操作で若返らせることをマウスの研究で成功したと発表しました。

この細胞は脳にある「神経幹細胞」で、胎児の間は活発に増殖して神経細胞を増やしますが、老化と共に増殖する力がなくなっていき認知機能も衰えます。神経幹細胞は自己複製能と多分化能を併せ持った、神経系の未分化な組織幹細胞です。

中枢神経はきわめて多様な細胞から構成されていますが、比較的均質な神経幹細胞が分化することで、さまざまな細胞型が生み出されます。

成体脳の神経幹細胞における神経新生が近年注目されていますが、胎生期の神経幹細胞がどのようにして成体の神経幹細胞として維持されるのかは未解明な部分が多く残されています。

研究グループは胎児マウスの脳と、老齢マウスの脳の神経幹細胞で働く遺伝子を比較しました。胎児でよく働いている遺伝子80種類のうち、神経幹細胞を活性化させる作用が強い遺伝子を突き止めました。

次に老齢マウスの神経幹細胞でよく働いている遺伝子を抑えると、神経幹細胞を活性化できることも判明しました。そこで胎児で見つけた遺伝子は活発に働かせる一方で、老齢で見つけた遺伝子を抑えるという方法で、神経幹細胞を最も活性化させる方法を開発し、「iPaD」と名付けました。

この方法で老齢マウスの脳を遺伝子操作すると、増殖能力をほぼ失っていた神経幹細胞は活性化して3か月以上増え続けました。老齢マウスは交換記憶や新しい置物の認識記憶が低下しますが、遺伝子操作したマウスは老齢でもこうした認知能力が改善することも確かめました。

今後は霊長類でもこの方法の効果があるかどうか、マーモセットを使って確認していくようです。この遺伝子操作が具体的にどのような手法かの詳細は分かりませんが、ウイルスを使って遺伝子を入れているようですので、現段階ではヒトに直接応用することは難しいようです。

研究グループはこの成果は、ヒトでいうと60代が10代の神経幹細胞に若返ったようなもので、ヒトの脳に使える方法も探っていきたいとしています。

これも一種の若返りの研究ですが、加齢による脳の老化を防ぐための新しい考え方を示しているといえるのかもしれません。



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