ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

プラセボ効果のメカニズムとは

2024-08-28 10:32:46 | 
プラセボ効果は、クスリではないのに効くと思い込んで飲むと治ってしまうという現象で、私が最も興味を持っていることのひとつです。

実際には新薬の臨床試験に出る、ある意味困った現象といえます。つまり本来ならばよくなるはずのないプラセボ(偽薬)群が治ってしまうと、新薬群の有効率が下がり結果の足を引っ張ってしまうからです。

ただ私はこのプラセボ効果で病気を治すことが、究極の医療ではないかと思っています。現在でもなぜプラセボ効果が出るのかは分かっていません。プラセボ効果については、古くは18世紀からその効果が記載されています。

今までの実験では、脳の特定部位の働きが関連していることが立証されていますが、実際どのような働きをしているのかは解明されていませんでした。今回ノースカロライナ大学の研究チームが、マウス実験でプラセボ効果の解明を行いました。

2グループのマウスを、繋がった2つの部屋で1週間飼育し、スタートから数日は両方の部屋の床をぽかぽかに暖めました。その後1つの部屋の床をアツアツにすると、もうひとつの部屋は熱くないので、マウスはそちらの部屋に逃げることができました。

最終日は両方の部屋をアツアツにしたものの、前日は熱くなかった方の部屋に逃げることで、マウスは熱さの痛みから逃げられたと感じたようです。アツアツの床で見られたジャンプや脚を舐めるいった行為はあまり見られず、これはプラセボ効果が発揮されたとみなされました。

この実験でマウスには事前に改造型ウイルスが投与されていました。これによって、脳の前帯状皮質という部分の特定の神経細胞とのつながりをモニタリングすることができました。

3部分のうちのひとつ、橋核という部分は運動スキルの学習に必要不可欠ですが、これまで痛みに関する働きは確認されていませんでした。しかしマウスが部屋を移動した時、前帯状皮質と橋核をつなぐ神経細胞に反応が見られました。

そこで感度テストを行った新たなマウスでこの神経経路を人工的に活性化しました。すると痛みに関連した行動(ジャンプや足舐め)をあまり見せませんでした。これはこの神経回路が、プラセボ効果による痛み緩和において何らかの働きをしていることを示唆しています。

この一連の実験が本当にマウスのプラセボ効果を見ているのか若干疑問はありますが、脳の特定部位の関与があることは確かかもしれません。

これ以上詳しいことはやはりヒトを使った実験が必要なのかもしれません。やはり確実にプラセボ効果を出す方法は、まだまだ闇の中といえそうです。