ごっとさんのブログ

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骨粗しょう症に新薬 年1回の点滴

2017-11-19 10:34:14 | 
骨がもろくなりちょっとしたことで骨折の危険が出る骨粗しょう症の新薬が使われ始めました。

手足の骨の端や背骨は、内部がスポンジのような網目状構造で、周りを硬い骨が覆っています。骨を作る細胞と壊す細胞が集まり、常に新しい骨に置き換わっていますが、壊す細胞の方が活発になると骨の量が減ってきます。

網目状の構造もスカスカになり、骨折しやすくなるのが骨粗しょう症で、患者数は1300万人と推定されています。骨の量は20~40歳代にピークを迎え、加齢とともに減少し、特に女性は50歳前後で閉経を迎えると骨を壊す働きを抑える女性ホルモンが減り骨の量が減少します。

骨粗しょう症が進むと、荷物を持ち上げただけで背骨が折れたり、転んだだけで足の付け根が折れたりします。私の母も家の中でつまずいただけで足の骨折をしてしまいました。

治療では骨を強くするために薬を使いますが、効き目が長く続く新薬「ソレドロン酸」が昨年11月に登場しました。骨を壊す細胞の働きを抑えるビスホスホネートというタイプの一種ですが、従来の薬より骨の表面に長くとどまり、年に1回の点滴で済むといいます。

ビスホスホネートという1分子に2個リン酸が入った化合物が、破骨細胞の働きを抑えることはかなり前に見つかり、このタイプの薬が実用化されてきました。このタイプは経口吸収しませんので、注射で投与するために、いかに有効期間を延ばすかが課題でした。

もともと悪性腫瘍の合併症としての高カルシウム血症などの治療に用いられていました。このソレドロン酸の臨床試験では、2回の投与(24か月間)で、骨密度を平均8.6%改善するという結果が出ていました。この薬は点滴で15分程度かけて投与する必要がありますが、年1回で済むという点では患者の負担は少ないのかもしれません。

この薬は従来の薬と同様に骨折のリスクを下げる効果に加え、一度脚の付け根の骨を折った患者が再び骨を折るリスクや、死亡のリスクを下げる効果も期待されています。このため重症の患者や従来の薬が合わない患者に向いているようです。

一方発熱や筋肉痛の副作用が起きるほか、腎機能が低下している患者には使えず注意が必要のようです。私も行っているクリニックに新しい骨密度測定機器が入ったという掲示を見ましたので、看護婦さんに聞いたところ、骨密度は女性用とのことでした。

本来男性でも加齢により骨が弱くなるはずですが、女性に比べて問題は少ないのかもしれません。それでもこういった新薬が出てくれば、骨折などしたときにも予防として使えそうな気もします。