今日の本は、真杉秀樹「反世界の夢・日本幻想小説論」。
表紙の絵は、ダンテ・ガブリエル・ロセッティ「召された乙女」。
内容は夏目漱石から中井英夫に至る日本の幻想文学を評論したものだ。
何故表紙がロセッティなのか、疑問に思っていたが、漱石の『夢十夜」のなかのイメージにラファエル前派、特にロセッティの影響が見られるという考えからだ。
漱石がロンドンにいた頃は、ラファエル前派が先端美術だったのだろう。
ラファエル前派は文学と美術が一体となっている集団だ。
ウイリアム・モリスもそこからグラフィックデザインの一つの頂点を目指している。
明治初期には西洋から学ぶことが合理的なことだったが、中期はもう世紀末、合理的精神は神秘的精神に移っている。
その中から漱石は何を観てきたのだろう。
ラファエル前派に深く影響をあたえた、
ジョン・ラスキンいわく、
「永遠なる作家とは、自らの心のうちを神へと解放するものだ。」