携帯電話業界ブログ

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スマートフォン市場、急拡大 4億5000万台の世界市場めぐる攻防激化

2011-06-28 | 市場動向/世界



 スマートフォン市場が急拡大している。

 2011年度のスマートフォン国内出荷台数は10年度比2.3倍の2000万台に拡大。携帯電話の全出荷台数に占める比率も半分以上と、前年の23%から一気に膨らむ見通し。

 世界市場も11年には、約4億5000万台となる見通し。パソコンの2倍以上のペースで一気に普及しており、インターネットにアクセスする最も一般的な機器となる。

 急拡大する市場をめぐり、国内外のメーカーの競争も激化し始めた。


●2台に1台がスマートフォン

 「今期は新機種の半分以上がスマートフォン」(NTTドコモの山田隆持社長)。「軸足はスマートフォン」(KDDIの田中孝司社長)。「時代はスマートフォン」(ソフトバンクの孫正義社長)。

 携帯電話各社の商品発表会は、今やスマートフォン一色。都内の量販店の売り場も、既存の携帯電話を押しのけてスマートフォン売り場が大半を占めるようになってきた。

 それもそのはず。NTTドコモの10年度のスマートフォンの販売台数は期初計画の約30万台から期中に100万台、130万台と上方修正。実際にはそれでも追い付かず、約250万台に達した。

 勢いはさらに増しており、MM総研によると11年度の国内市場のスマートフォン出荷台数は2000万台に達し、携帯電話2台に1台がスマートフォンとなる計算。

 米IDCによると世界市場も11年には約4億5000万台、15年には9億2500万台に増える見通し。市場の拡大を受けて、国内外のメーカーによるスマートフォン開発競争は激しさを増すばかり。

 独自の進化を遂げながら世界市場から孤立し「ガラパゴス」と椰楡された日本市場も例外ではなく、グローバルモデルを掲げた海外メーカーの攻勢が強まっている。

 韓国サムスン電子は、高機能有機ELを搭載した「ギャラクシーS」を日本市場に投入。韓国LG電子、パンテックのほか、台湾HTC、中国のZTE、華為技術など続々と新機種を投入し始めた。


●日本勢の製品出揃う

 スマートフォン開発競争で後れをとった日本勢も今夏、ようやく各社の製品が出揃う

 国内最大手のシャープがNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル全てに端末を供給するほか、富士通、NECカシオモバイルコミュニケーションズなどの国内勢も新製品を投入し始めた。

 「スマートフォン市場がここまで広がるとは予測していなかった」。

 国内の最後発組として、ようやくスマートフォンをNTTドコモから売り出すパナソニックモバイルコミュニケーションズの熊谷隆之マーケティンググループ・グループマネージャーは、率直に認める。

 同社がスマートフォンの開発に着手したのは09年。

 「後発組になるからこそ、使い勝手を徹底的に研究した」(熊谷氏)。画面上に現れるテンキーの大きさを変えられるようにしたり、操作部を親指で届く範囲に限定したりといった設計を心がけた。

 カメラ機能や動画表示など、AVメーカーとしての強みを生かす機能も随所に搭載。今年度は台数ベースで過半数をスマートフォンにし、投入が遅れた前年度に事実上失った利益を取り返したい考え。


●激しさ増す競争

 国内携帯電話市場は契約者が1億人を突破した07年ごろから伸び悩み、年間出荷台数も3000万台前半の水準で頭打ちが続いた。

 収益悪化を受け、携帯電話メーカーの再編も加速。NEC・カシオ計算機・日立製作所と富士通・東芝がそれぞれ事業統合に踏み切った。

 国内各社はスマートフォンの普及拡大を反転攻勢のチャンスと位置付け、相次いで世界市場への進出計画を打ち上げている。だが、国内市場の参入障壁も取り払われており競争は厳しさを増す。

 世界中で携帯電話を販売するサムスンなどは、約2億台の端末を出荷。1000万台程度にとどまる日本勢とは1台当たりのコスト面で約2万円の差があるという。

 世界市場で決め手となるのは、コストやブランド力、デザイン。OSはグーグル、半導体はクアルコム、生産は中国などのEMSメーカーと言った形での水平分業モデルがスマートフォン時代のものづくりとなる。

 日本メーカーがこれまで得意としてきた防水や薄型といった作り込みや、高機能カメラ、ワンセグ、赤外線通信といった機能拡充などのノウハウを生かして、グローバルモデルをいかに作り上げるか。

 日本メーカーの底力が試されている。




【記事引用】 「日経産業新聞/2011年6月27日(月)/2面」


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