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NTTドコモ、夏商戦向けスマートフォン16機種を発表 多彩な配信サービス、課金を収益の柱に

2012-05-17 |  NTTドコモ
 


 NTTドコモは16日、夏商戦向けのスマートフォン16機種を発表した。

 スマートフォン向けテレビ放送やアニメ配信で課金収入を拡大する。KDDI(au)も、定額で映画などが見放題になるサービスを開始。独自コンテンツで稼ぐ戦略だが、提供するのは米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」対応端末のみ。

 米アップル「iPhone」の土俵外での戦いになる。


一定需要見込む

 ドコモの新機種は、高速データ通信「LTE」に対応した11機種、スマートフォン向け有料テレビ「NOTTV」向けの5機種など。

 このうち15機種で500タイトルのアニメを7月から配信する。利用料は月額420円。アニメの著作権を保有する角川書店と共同で「ドコモ・アニメストア」を設立、同社を通じて配信する。

 ドコモの山田隆持社長は、「1-2年で100万件の契約を目指す」と目標を掲げた。

 昨年11月に始めた映画やドラマが見放題になる「ビデオストア」はサービス開始5カ月で100万契約を突破。売上高は年間60億円以上とみられる。アニメは若者を中心に熱狂的なファンが多く、新サービスでも一定の需要が見込めるとそろばんをはじく。

 映像配信など新規サービスで売上高を2015年度に11年度比2.5倍の1兆円に増やす方針。

 KDDIも、月額590円で約1000本の映画やドラマが見放題になる「ビデオパス」を15日に開始。6月中旬には月315円で約100万曲の音楽が聴き放題の「うたパス」を始める。

 夏商戦に向けて投入するスマートフォン5機種は、すべて2つのサービスが受けられる。


落ち込む音声収入

 スカイプに代表される音声通話ソフトの利用増で、通信各社の収入の柱だった音声収入は減少の一途をたどっている。ドコモの音声収入は11年度に初めてデータ通信収入を下回った。

 ドコモやKDDIがアニメ配信など新しい課金事業に積極的に乗り出すのは、音声収入の落ち込みをカバーしたいため。もっとも、両社のサービス提供はいずれもアンドロイドをOSとする端末のみ。

 アップルはiPhoneでのサービスの審査から配信、課金まで自社の方式で管理しており、ドコモやKDDIが独自のサービスをiPhoneに組み込んでも、アップルに事業の運営で主導権を握られる恐れがあるためだ。

 「iPhoneの発売は現時点では厳しい。サービス事業を拡充するにはオープンなアンドロイドの方が良い」とドコモの山田社長は指摘する。iPhoneを扱うKDDIはビデオパスなどをiPhoneに導入したい考えだが、導入時期ぼ決められていない。

 民間調査会社のMM総研によると、スマートフォンの国内累計出荷合数は約3600万台。iPhoneは約35%の約1280万台を占める。

 11年度の国内出荷シェアでも最大の30%に達し、iPhoneを扱わないドコモは通信会社を乗り換えられるMNP(番号持ち運び制度)で80万件の転出超過となった。

 アップルは今秋にも新型のiPhoneを投入するとみられている。コンテンツ配信などのサービス事業を収益の柱に据えたいドコモやKDDIにとって、アップルの高い壁が立ちはだかっている。




【記事引用】 「日本経済新聞/2012年5月17日(木)/3面」


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