日本の「ケータイ」が巻き返しをかけて世界市場に挑もうとしている。
スマートフォン開発に出遅れた日本の携帯電話メーカーは、国内市場で海外勢の攻勢にさらされ、海外展開でも韓国サムスン電子などに大きく後れを取っている。
世界最大の携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス2012」に世界戦略機種を投入、反攻への足掛かりを探るパナソニックモバイルコミュニケーションズの星敏典社長に戦略を聞いた。
――世界市場向けに5型のスマホを発表した
世界戦略については様々な地域に分散するのではなく、当面は欧州市場に注力したいと考えている。
欧州市場で何が売れるかを徹底的にマーケティングした結果、5型という大きさで出すことにした。海外は日本とは市場が異なり、同じように考えていてはだめだ。
――コスト面など海外勢と戦うには厳しさがある
規模の経済というものがあり、コスト面ではとても厳しい。携帯電話の世界でのパナソニツクブランドの認知度がほとんどないという点にも不安感がある。
まずは、今回の製品が世界でどれだけ売れるかが今後の試金石となる。
世界市場の開拓にあたってはパナソニックグループのインフラをフルに活用したい。例えば、欧州をターゲットに決めたのもパナソニックがドイツに販社を持っており、マーケティングや販売網を活用できるからだ。
世界戦略が厳しいということは、いやというほど認識している。うまくグループの連携効果を発揮させていきたい。
――生産を外部委託に切り替える国内メーカーも出てきた
現在は中国、マレーシア、静岡県掛川市の3つの拠点で生産している。それぞれの生産拠点の役割や機能はどういう体制がいいのかということも含めて、生産体制の最適化については今後検討したい。
――国内では端末メーカーの業界再編が相次いだが今後はどうか
メーカーそれぞれの事情があるが、世界戦略に乗り出す際に現在の日本メーカーの規模が果たしてそれに堪えうるものなのか。検討の1つとして各社が再編というものを考えるのは当然だろう。
今後、グローバル競争の中で一段の再編があってもおかしくない。
【記事引用】 「日本経済新聞/2012年3月6日(火)/3面」