カズさんの旅たび

 ~歴史、文化、芸術、美食紀行。。

ドイツ・バイエルン(その4)

2016-07-25 | ドイツ(バイエルン)
ネルトリンゲンを出発し、ロマンティック街道をアウクスブルク(Augsburg)経由、南のフュッセン(Füssen)方面に向かい、途中、シュタイン・ガーデン(Steingaden)からドイツ・アルペン街道に沿って東に向かう。
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23号線を南下しオーバー・アマガウ(Oberammergau)が近づくと、前方にアルプスの峰々が見えてきた。しばらくすると、右方向(西)に、目的地、リンダーホーフ城(Linderhof)の案内標識が現れたので右折する。ここからはほとんどの車がリンダーホーフ城に向かうことになる。
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山間の道を10キロメートルほど進むとリンダーホーフ城に到着した。時刻は午後2時を過ぎたところなのでネルトリンゲンからは約3時間の道のりであった。先日の大渋滞もなくスムーズに来られて良かった。
さて、駐車場から歩いて左側のシュロスホテルを過ぎた前方の建物がチケットショップのようだ。
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右側を見ると、ルートヴィヒ2世(在位:1864年~1886年)の胸像が出迎えてくれる。ルートヴィヒ2世は、父マクシミリアン2世の逝去に伴い18歳でバイエルン王に即位した。彼はその強烈な個性と高い美意識がゆえに若い頃から神話や騎士伝説に魅了されてきたが、王に即位後した後は、幼少の頃からの憧れを具現化するために作曲家リヒャルト・ワーグナーを庇護するなど音楽や豪奢な建築に対して破滅的浪費を繰り返したため「狂王」との異名で知られることとなった。
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午後2時50分の城館見学のチケット(8.5ユーロ(一人当たり))が取れたので、急ぎ城館に向かう。地図に沿って庭園内を歩いて行くと右側(南)に白鳥の池(Schwanenweiher)が現れた。池のそばに本当に白鳥がいたので驚いた。
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リンダーホーフ城は、ルートヴィヒ2世が建設した3つの城のうち、唯一完成した城である。彼はルイ王朝を崇拝していたこともあり、ヴェルサイユ宮殿の庭園にある離宮の一つ、大トリアノン宮殿を手本として1874年にルネサンス様式で建築が開始され1878年に完成した。

見学はガイドツアーになっており、正面に向かって左側の時間毎の列に並び、正面のアーチ扉から入館する。希望者には日本語による説明資料を貸与してくれる。正面の扉を入った所が「玄関ホール」で中央にはルートヴィヒ2世の尊敬するルイ14世の騎馬像が置かれている。「玄関ホール」から奥の「控えの間」を通り左右の廻り階段から2階に上ると、王が生活していたフロアになる。見学コースは、2階西南角部屋の「西のタペストリーの間」から時計回りに一周し、玄関ホール上の「鏡の間」で終了となる。
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城館内は写真撮影禁止のため、建物の外観を見ながら簡単に室内の様子を紹介する。西南角部屋の「西のタペストリーの間」には、フランソワ・ブーシェやアントワーヌ・ヴァトーが描くフランス田園風景の愛の場面をイメージした絵画で覆われていた。磁器製の孔雀の置物や金細工で覆われた豪華なピアノなども置かれている。
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隣の「黄色のキャビネット(小部屋)」を通り「謁見の間」と名付けられた部屋に向かう。ちょうど西側中央のやや膨らんだ場所になる。この部屋は、王が既に隠遁生活を過ごしていたため訪問者はなく書斎として使用されたという。王が座る金メッキのブロンズ机と椅子の背後には、巨大な天蓋で覆われている。また、ロシア皇后(マリア・アレクサンドロヴナ)から贈られた高価な孔雀石で作られた対の緑の色丸テーブルなどもある。
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次に北西角の「紫色のキャビネット(小部屋)」を過ぎると、北側中央には100平米ほどの広さの「王の寝室」がある。王のベットには、巨大な青色の天蓋が付き、天井には108本のロウソクを持つシャンデリアが吊るされ、周りには大理石の彫刻や化粧漆喰、古代ギリシャ・ローマ神話に関する壁画で覆われている
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次に「王の寝室」から北東角の「ピンク色のキャビネット(小部屋)」を過ぎると、東の「食堂の間」が現れる。ちょうど正面のやや膨らんだ場所がそうだ。部屋の中央天井には、豪華なマイセンの特注シャンデリアが吊るされ、その下に置かれたテーブルは当時最先端の技術を駆使し階下のキッチンとの間を上げ下げできる仕掛け(奈落)となっている。なお、ツアー終了後に外から1階部分の小窓を覗くとその仕掛けを見ることができた。
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隣の「青色のキャビネット(小部屋)」を過ぎると、東南角部屋の「東のタペストリーの間」になる。こちらは古代神話をモチーフとした絵画が描かれている。なお、メインの部屋を繋ぐ4つのキャビネット(小部屋)には、王が敬愛する人物や尊敬する人物の肖像画が飾られていた。最後に「玄関ホール」上の金細工と巨大な鏡で覆われ絢爛豪華なロカイユ装飾が施された「鏡の間」を見学して約30分の見学は終了する。正直、この城館内の膨大な装飾群を見学するには短すぎる時間であった。

見学後、城館の北側に行ってみると、階段状に連なった小さな滝(カスケード)があり、最下段には、ネプチューンの噴水がある。水は馬の口や鼻から勢いよく噴き出している。
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次は「ヴィーナスの洞窟」を見に行く。北側から城館に沿って東側に回り込み、城館を背に庭園を進み階段を上った先を左側に行くと、丘を上るように続く「緑のトンネル」が現れる。
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その「緑のトンネル」を上って行き、途中から右側に続く砂利道を上ると洞窟が現れた。観光客が少ないので、見学が始まったばかりのようだ。洞窟のそばには16時と表示された電光掲示板があるので15分ほど待たねばならない。辺りには見物すべきものもないし、混雑して遅れを取るのもいやなので待つことにした。そのうち続々と観光客が集まってきたため、入口のそばで並んで待った。
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50人ほどはいるだろうか。定刻となりスタッフは、入口のロープを外し洞窟内に誘導し始めた。入場すると、しばらくして広い空間となり池が現れた。池の後方にはフレスコ画が描かれた壁面も見える。そして右上には赤い光に照らされ小さな滝が流れている。

この洞窟内の照明は200メートルほど離れた発電所から電気を供給しており、更に暖房設備も完備されている。洞窟は、リヒャルト・ワーグナーが作曲したオペラ「タンホイザー」の世界を再現するため、当時の最新技術を駆使して造られた人工洞窟である。ルートヴィヒ2世は洞窟内で夜な夜な夢の世界に浸っていたという。
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エメラルドグリーンに輝く人工池の中央には、キューピットとバラをあしらった貝の形の小舟が浮かんでいる。ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「ルートヴィヒ(Ludwig)(1972年)」では、ルートヴィヒ2世(主演:ヘルムート・バーガー)が、ハンガリーの俳優ヨーゼフ・カインツを招待して出会うシーンでこの洞窟が使われた。従僕がカインツを洞窟内に案内すると、王は、この貝の小舟に乗って登場し右側の岸辺に降り立つ。そして、王は自ら招いたにも関わらず、頭を垂れるカインツには何も語りかけず、池にいる白鳥に緩慢な動作で餌をやり始めるといった異様なシーンであった。
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本映画では、この後「食堂の間」のシーンに変わり、カインツが王を前にウイリアム・テルの一節を披露する。この際、中央のテーブルが階下のキッチンに下がって行く様子(奈落)が映し出される。

さて、見学中の洞窟内では、大音量で流されるタンホイザーの序曲をバックに、スタッフがドイツ語と英語で解説をしてくれる。そして鍾乳洞内の照明を赤い照明から青い照明へと変化させる演出もあった。鍾乳石には様々な色の照明が当てられ光り輝き不思議な空間を演出しており、こちらの空洞には緑色と赤色の照明を当てており、奥には光が反射する様に鏡が置かれている。
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鍾乳石も石膏にガラス片を埋め込むなど人工的に造られたものらしい。ガイドからの説明は20分程で終わりツアーは終了した。
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次に「音楽の東屋」に行ってみる。
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この東屋は城館の北側から眺めたカスケードの最上段にあたる。ここからだと、城館から南側に続くひな壇の上に立つヴィーナス神殿まで美しく配置された姿を見ることができる。また、背後にはアルプスの峰々まで見渡せて何とも爽快な気分になる。
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次に、東屋から続く緑のトンネルを一気に降りて、城館の東側から、
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階段を降り、黄金の女神の噴水像の横を通って、階段を上って噴水の上のひな壇の下まで向かう。

ひな壇の下から城館と音楽の東屋を眺めてみる。
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更に、3連アーチの中央にある、フランス王妃マリー・アントワネットの胸像に挨拶をし、両脇にある階段の左側から上り、最上階のギリシャ風の円堂内に飾られた2体の天使像を据えたヴィーナス像まで上る。
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最上階から城館を眺めてみる。園内には、他にもムーア人のキオスク、モロッコ風ハウス、フンディングヒュッテなどの建造物が点在するが、午後5時になったので、この眺めを最後に出発することにした。
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噴水池まで下りてくるとタイミング良く黄金の女神像のある噴水が高く噴き上げ始めた。この噴水は最高30メートルまで噴き上げるそうだ。
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ドイツ映画「ルートヴィヒ(2012年)」で、黄金の馬車で青い照明に浮かび上がる夜のリンダーホーフ城に到着したルートヴィヒ2世(出演:ゼバスチャン・シッパー)は、吹き上げる噴水を見上げるやいなや「天まで噴き上げるように、でないと天上の神まで届かない」と叫んでいた。。

再び来た道を戻り、23号線沿いのオーバーアマガウ(Oberammergau)に寄る。前方に見える教会は、1735年から1749年にかけてバロック様式で建てられた聖ペテロ・パウロ教会(St. Peter und Paul)である。
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オーバーアマガウは、バイエルン州ガルミッシュ=パルテンキルヒェン郡にある人口5000人ほどの村だが、10年に一度、開催される「キリスト受難劇(Die Passion in Oberammergau)」で世界的に知られている。ペストの流行から逃れられたことを感謝して1634年に初上映され、伝統を守り続けて開催されているが、何と言っても驚くのが、オーケストラや聖歌隊も含めて、全て村人によって演じられている点だ。劇にかかる人数は2000人以上の規模に上ることから村人の半数ほどが参加して、5月から9月の間に野外劇場で100回以上上演されている。次の上演は2020年の予定とのこと。

中心部のドルフ広場(Dorfplatz)にある小さな噴水にも受難劇がモチーフとなったオブジェが飾られている。広場の周りには、木彫り職人の街らしく木彫り人形店などが並んでいる。
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向かい側の建物には、美しいフレスコ画が描かれている。ドイツの小説家で劇作家、ルートヴィヒ・トーマ (Ludwig Thoma)の名前が見える。街には、このようにあちらこちらにフレスコ画の書かれた建物があり、ゆっくり街歩きするのが楽しいが、残念ながら時間がないので次に向かう。
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オーバーアマガウから30分ほどで、ヴィース巡礼教会(Wieskirche)が見えてきた。
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ヴィース巡礼教会は、シュタインガーデン(バイエルン州オーバーバイエルン行政管区ヴァイルハイム=ショーンガウ郡に属する3千人に満たない町村)から5.5キロメートル東南に位置する長閑な村の牧草地に建っている。外観は全く普通(むしろ質素)な巡礼教会だが、バイエルン・ロココ建築教会の最高傑作として世界で最も有名な一つで、1983年ユネスコ世界遺産に登録されている。
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現在時刻は午後6時を過ぎたところ。入口近くのショップも閉店時間が近いせいか閑散としており観光客も少なく感じられる。扉口から教会に入ると、夕方とは思えないほど光溢れる世界が目の前に広がった。天井を支える白い8組の吹き寄せ角柱や楕円状の身廊の形も光を取り入れやすくしているのだろう。教会は1746年から当時ロココ建築の第一人者と言われたドミニクス・ツィンマーマンにより建設が開始され1757年に完成した。
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ロココ調に溢れ壮大な天界を描いた天井画は、彼の兄ヨハン・バプティスス・ツィンマーマンの手によるもので、「天から降ってきた宝石」と讃えられている。幅18メートル長さ28メートルの平面天井に丸天井風に描かれており、確かに天から宝石(光)が注がれているように見える。
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虹の上に座るのがキリストで左下で十字架の笏杖を持つのが大天使ミカエル。

教会が建てられるきっかけとなったのは、1738年ある農家の夫人が修道士が彫ったキリストの木像をもらい受けたところ涙を流したことによる。この話は、その後「ヴィースの涙の奇跡」として広まり、多くの巡礼者が農家に集まるようになったという。これを踏まえ修道士の所属するシュタインガーデン修道院は、浄財を募り建設資金を捻出し建設にこぎつけた。

そして主祭壇には、その涙を流したとされる「鞭打たれるキリスト」像が奉られている。主祭壇の左右の赤い柱はキリストの血を表しており、一見大理石に見えるが化粧しっくい(スタッコ)に赤い色を混ぜて作られたものらしい。
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支柱に架けられたアーチから上は、白と金を中心としたロカイユ装飾で埋め尽くされ天井との境目を越えて浸食しあっているようだ。柱間には逆アーチを取り入れて、その上に不思議な空間を生み出してる。主祭壇からは、その空間を通して左右の周歩廊にあるフレスコ画を覗き見ることができる。
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説教壇も赤い大理石風の漆喰に金細工が施されている。そして、扉口上部のバルコニーには、スタッコ装飾が雪のように被ったパイプオルガンが美しい姿を見せている。
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時刻はまもなく午後7時になるので教会の見学時間もそろそろ終わりだろう。教会の南側に行ってみると、鮮やかな緑色の牧草地が広がっている。これで今日の予定はほぼ終了だ。何とか無事こなせてほっとした。
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シュタイン・ガーデンまで戻り、17号線を走行し途中の三叉路を左手に伸びるコロマン通り(Colomanstraße)を南下すると、右手にカトリック教会聖コロマン教会(St. Coloman)が見えてくる。そして、左前方にはホーエン・シュヴァンガウの山々の麓に聳え立つ白亜の城が現れ始めた。
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ノイシュヴァンシュタイン城である!写真などで見慣れているが、実際に目の前に現れると、ため息が出るほど美しい姿だ。しばらく見入ってしまう。
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今夜予約のホテル・シュロス・ブリック(Hotel Garni Schlossblick)で無事チェックインを済まし、後は食事をどうするかである。ホテルの周りは駐車場と、ノイシュヴァンシュタイン城やホーエンシュヴァンガウ城見学のためのチケットセンターや土産屋などが点在するだけで、ホテル併設のレストラン位しかないようだ。チケットセンター近くまで見に行くが、この時間は人通りも少なく、ホテルのレストランも何処にあるのかわからない。

検討した結果4キロメートルほど離れたフュッセン(Füssen)の街に向かう。お洒落なお店も多く綺麗な歩行者通り(ライヒェン通り)を南に歩いて行くと右側にテラス席が見える。奥に時計塔も見えるのであの辺りが中心になるのだろう。すっかり空腹状態だが、あまりドイツ料理を食べたくなかったこともあり、奥まで行かずに中華で手を打つことにした。
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食後、チケットセンター近くで、ライトアップされたホーエンシュヴァンガウ城を眺める。ルートヴィヒ2世の父マクシミリアン2世により、1832年、古城を改築して建てられた。この地は、シュヴァンガウ(白鳥の里の意)と呼ばれたことから、リヒャルト・ワーグナーのオペラ「ローエングリン」の白鳥伝説のゆかりの地とされた。ルートヴィヒ2世は3歳下の弟オットーと共に幼少期この城で過ごしたが、城内には「ローエングリン」や騎士伝説を題材にした壁画が多かったことから、この城での生活がその後の王の人生に大きな影響を与えたと言われている。
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翌朝、ホテル・シュロス・ブリックのレストランで朝食を食べ、隣にあったベランダからノイシュヴァンシュタイン城を眺める。
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ノイシュヴァンシュタイン城の当日券の購入は大混雑するらしいので、予め9時20分のチケットをネットで予約していたが、それでも本券との交換は1時間前に到着しておくのが安心と聞き、急ぎホテルを8時過ぎに出てチケットセンターに向かう。
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ホテル正面の道路向かいは、駐車場(第二)だが、まだこの時間は余裕で停められるようだ。なお、近辺には、第一から第四まで駐車場がある。

ホテルを出て右手(南側)に向かい、すぐ先の交差点を越えて、坂道を上った右手にチケットセンターはある。こちらで当日購入客を尻目に、予約対応の窓口で無事に本チケットへの交換を済まし、道路向かいのバス停留所からバスに乗り(片道1.8ユーロ(一人当たり))曲がりくねった急勾配の坂道を上って行く。5分ほどで到着するが、ここから15分は歩きである。ベスト・ビューポイントの一つとして知られるマリエン橋方面への道が現れるが、現在工事中で通行止め。。

バスを降りて少し歩くと、左側に景観が広がり、皆写真撮影を始める。左側にはホーエンシュヴァンガウ城(今回は時間の関係から訪問は断念。)とアルプが見える。お城の真下の道路沿いのグレーの屋根がチケットセンターで、一番右端の建物がホテル・シュロス・ブリックだ。
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前方にノイシュヴァンシュタイン城の姿が見える。この位置からすると、西から東に向けて歩いて行くようだ。
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鳥瞰図(城の南側からの写真)だとわかりやすい。城の西側からノイシュヴァンシュタイン城で一番高い「北の塔(68メートル)」のある本館の北側沿いを歩き、「東の塔(45メートル)」の真下を過ぎ、上り坂を東側に回り込むと、上部にバイエルン王(ヴィッテルスバッハ家)の紋章が掲げられた煉瓦色の巨大な城門が現れる
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画像出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

城門の先は中庭になっている。正面の壁面の上にも中庭があり、左側にある階段から上ることができる。城館内の見学は、その階段手前で予約時間毎に順番を待つ(階段上からの様子)こととなる。この日はNo.416・9時20分発のツアーで電光掲示板を良く見ておく必要がある。遅れたら入れない!
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ガイドツアーは、右側の「東の塔」の下から螺旋階段を上り隣の建物に続く回廊へ向かう。
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2階の回廊を奥に見える本館まで進んだ所にある「控えの間」からツアーはスタートする。ここで日本語オーディオガイドを借り、「控えの間」から「召使いの部屋」を過ぎて本館の西方向へと進んで行く。そして、「北の塔」の螺旋階段で4階に上ると「玉座の間」がある。部屋には台座と黄金色の後陣(アプス)があり、キリストを中心に、聖母マリア、洗礼者ヨハネが描かれ、その下には、椰子の木の間にドイツ王ハインリヒ2世、フランス王ルイ9世など6人の王が描かれている。広間の床には巨大なモザイク画が描かれ、壁面には「聖ゲオルギオスとドラゴン」や「十二使徒」などが描かれている。

他にも「食堂」や、「更衣室」、「王の寝室」など王の居室がある。各部屋とも、過剰なほどに装飾されており、壁面には、ニーベルンゲンの指輪やトリスタンとイゾルデなどリヒャルト・ヴァーグナーのオペラの題材とした絵画が描かれている。
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本館正面の上部壁面に描かれた「聖ゲオルギオスとドラゴン」と「聖母子とミカエルとガブリエル」との間にあるバルコニー付3連アーチの窓がある5階には豪華絢爛な「歌人の広間(大ホール)」がある。手前の窓際がオーケストラ演奏用のステージで、広間の奥(西側)に舞台がある。舞台の背景や、広間の壁面には、リヒャルト・ワーグナーが、ルートヴィヒ2世のために書いたオペラ「パルジファル」を題材とした絵画が描かれている。
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本館に向かう階段は、映画「ルートヴィヒ(Ludwig)(1972年)」の撮影で使われた。身なりも構わず僅かな従僕を相手にノイシュヴァンシュタイン城に暮らしていたルートヴィヒ2世の所に、唯一心を開いていた従姉のオーストリア皇后エリザベート(出演:ロミー・シュナイダー)がフェレンシー夫人を伴い立ち寄るが、王は「私は彼女には会わぬ。決して会わぬ。病気だと言え!」と従僕に鳴き声で伝え会おうとはしなかった。エリザベートは、従僕によってこの階段の途中で静止される。馬車で立ち去るエリザベートの横顔に王の「エリザベート!」と叫ぶ声がかぶさる。。といったシーン。
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ガイドツアーは本館の4階と5階を中心に約45分ほど行われた。未完成な箇所もあるため、なんとなくハリボテ感もあったが、とは言え王の中世騎士伝説への願望を現実化した桃源郷ともいえる建造物であった。見学を終え土産ショップを過ぎ洞窟の様な通路を通ると直接北側の場外に出てしまった。再び、城内の「上の中庭」を少し見学してから、帰りは歩いて降りることにした。「東の塔」から右(北側)に下る道があり、その先で振り返るとノイシュヴァンシュタイン城の威風堂々とした姿を仰ぎ見ることができた。
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山道を降りていくと、馬車乗り場があったが、歩いて下ることにした。途中振り返ると「北の塔」の威容を見ることができた。

ルートヴィヒ2世は、1870年、普仏戦争で弟オットー1世が精神に異常をきたした後は現実逃避も顕著となり、昼夜も逆転した生活を送るようになったという。危惧を感じた家臣たちは、1886年6月12日、ノイシュヴァンシュタイン城で王を逮捕して廃位した。王はベルク城に送られ、翌日シュタルンベルク湖で、医師のフォン・グッデンと共に水死体となって発見された。41歳の生涯であった。

王の訃報を受けた皇后エリザベートは「彼は決して精神病ではありません。ただ夢を見ていただけでした。」と述べたという。。

ルートヴィヒ2世は、生前、自分の世界だけに留めたい想いからか「私が死んだらノイシュヴァンシュタイン城を破壊せよ!」と遺言したが、摂政ルイトポルト・フォン・バイエルン(後のルートヴィヒ3世)はこの遺言に従わず、一般大衆に城を開放した。現在では、ノイシュヴァンシュタイン城を始め、ルートヴィヒ2世の残した城はドイツの一大観光地となり世界中から多くの観光客が訪れる歴史的遺産となった。
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山道からは、シュヴァンガウ(Schwangau)の町並みとフォルゲン湖が見える。フォルゲン湖は毎年10月中旬に排水され、春の雪解け水を集水して洪水の防止を目的とする人工湖だそうだ。
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シュヴァンガウを出発すると、反対車線は、駐車場に向かう車で4キロメートル先のフュッセンの街を過ぎたところまで、大渋滞が続いていた。。
(2016.7.25~26)
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