あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

西暦2024年水無月蝶人映画劇場 その4

2024-06-19 11:23:05 | Weblog

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3657~60

 

1)トム・フォード監督の「ノクターナル・アニマルズ」

ヒロインの孤愁と元夫の過激で暴力的な幻想という2つの世界をジェイク・ジレンフォールという男優の共通項で強引に結び合わせようと苦闘しているが、水と油のように融合しないままで終わってしまう。取柄は冒頭のグロテスクな超肥満女と恐ろしいまでに美しい夜の大都会の俯瞰ショットくらいか。ともあれ監督が服飾業界の令名をかなぐり捨ててあえて別乾坤を立ち上げた猛勇は称賛に価しよう。

 

2)ジョン・フランケンハイマー監督の「終身犯」

2人を殺害し54年間刑務所で生活しながら世界的な鳥博士として令名を馳せた実在の「鳥男」ロバート・ストラウドを、バート・ランカスターが演じた1962年の牢獄映画なり。

 

3)スティーヴン・ベルバー監督の「コンフェッション」

あるバレエダンスの振付師を巡る思いがけない2014年の人世人情夜話。

 

4)ルネ・クレール監督の「自由を我等に」

2人のバガボンドが再び自由を取り戻すまでを描くが、完全オートメ化された労働者経営の工場が果たして労働者のパラダイスになるだろうか。1938年のチャップリンの「モダンタイムス」の強制労働、1962年、ギャバンとドロンが共演した「地下室のメロディ」のラストで札束がカバンから流れ出るシーンは完全に1931年の本作のパクリなり。

 

5)べルナルド・ベルトリッチ監督の「暗殺の森」

ファシストのトランティニアンがリベラルな教授を殺せず、愛してしまったその妻ドミニク・サンダも救えないという無様さを露呈する1970年の奇妙なスタイリッシュ映画。

 

大谷が20号を打ち込めばバックスクリーンから鳥が飛び立つ 蝶人


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