行雲流水の如く 日本語教師の独り言

30数年前、北京で中国語を学んだのが縁なのか、今度は自分が中国の若者に日本語を教える立場に。

浅草のモツ煮込み屋に飛び込みで入ってきた中国人観光客

2016-03-15 01:05:23 | 日記
今日は半日、浅草を歩いた。雨の降る寒い1日だったが、中国や韓国の観光客が目についた。以前、渥美清の足跡を訪ねるためしばしば足を運んだが、10年間、中国に行っている間、だいぶ変わってしまっていたので驚いた。かつて『男はつらいよ』を上映していた3本立て映画館が姿を消し、新たな建設現場に変わっていた。全体的にきれいになったとは言えるだろうが、人間臭い感じが薄れたのに寂しさも感じた。

せっかく来たのだからと、路地裏の居酒屋に寄ってみた。平日の日中だがかなり混んでいた。モツ煮込みと焼き鳥、おしんこを頼み、ホッピーを飲んでいた。



すると、若い20代の男女が入ってきた。中国の標準語を話している。英語のメニューは置いてあるが要領を得ない。驚いたのは、あらかじめiPadにその店の料理の写真が収めてあり、それを示しながら「どれにしようか」と相談しているのだ。おそらく以前に来た仲間が撮影したものか、あるいはネットで流れていた情報か、であろう。

冷ややっこを頼もうとしたらあいにく品切れで困っていたので、私が通訳を買って出た。こんな場末の居酒屋で中国語を話す日本人に会って、2人ともひどく驚いた様子だった。男性の方が「この店のおすすめはなにか?」と聞くので、「モツ煮込みだ。ただ内臓は大丈夫か?」と逆に尋ねると、女性の方を振り返り、「問題ない」という。「冷ややっこの代わりに厚揚げはどうか」とすすめると、「それがいい」と笑顔を見せた。結局、モツ煮込みと厚揚げ、そして男性は生ビール、女性はジュースを頼んで楽しそうに話し始めた。男性は一眼レフのカメラを女性に向け、盛んにシャッターを切っている。

聞くと浙江省杭州から来ているという。団体旅行でなく個人旅行なので、旅行会社には案内できない穴場を探してきたのだ。中国人観光客は爆買いばかりが報じられるが、実はかなり個性化している。秘湯を訪ねる若い中国人OLもいると聞く。豊かさの中身も変わってきているのだ。

こちらは相棒と話に興じたが、気が付いて先ほどの中国人旅行者のテーブルを見ると、モツ煮込みがもう一つ追加されていた。口に合ったようだった。去り際、「請慢用(ゆっくり召し上がれ)」と声をかけると、2人は「謝謝(シェシェ)」と笑って、ぺこりと頭を下げた。あの後、ビールは進んだろうか。寒い東京の1日だったが、彼らにいい思い出が残せたらうれしいのだが。

今夜は久しぶりに飲んだ神谷バーのデンキブランがやけにうまく感じた。


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