行雲流水の如く 日本語教師の独り言

30数年前、北京で中国語を学んだのが縁なのか、今度は自分が中国の若者に日本語を教える立場に。

中国各地は深刻なスモッグ・・・茨城空港の空は青かった

2015-12-01 12:34:52 | 日記
上海で3日に行われる日本総領事館主催の天皇誕生日祝賀レセプションに出席するべく、1日、初めて茨城空港発の春秋航空便を選んだ。チケット料金が格安な上、500円ワンコインで東京駅(3番乗り場)から約1時間半、高速バスに乗って空港に到着できる。荷物は計15キロ、手荷物は一つだけという制限があるが(超過分は追加料金)、まあ短期の旅行には困らない。機内サービスの飲食や映画もないが、読書をするにはちょうどいい。一昨日の講演会で高井潔司さんから贈られた桜美林創設者、清水安三氏の復刻版をゆっくり読もうと思う。

チェックインも出国手続きも、周囲の上海語に囲まれながら得難い経験ができた。相変わらず電子炊飯器の箱を抱えた中国人乗客が目立つ。手荷物が限られているので、段ボール箱に入った炊飯器を持参しているのは、それだけ貴重だということなのだろう。茨城空港は飲食コーナーの座席を「自由席」として利用者全員に開放している。便は1時間遅れたが座る場所には困らなかった。非常にありがたい。

周囲には山がなく田畑が広がっているので見通しがきく。空も青く高い。海を隔てた北京ではスモッグが深刻で2番目に悪い「オレンジ警告」が出ていた。建設工事や工場の操業が制限を受ける。中国各地の写真を見ると、北京周辺を中心にほとんど視界がきかないほどひどい町もある。昨日も同様だったようで、一日外を歩いていた人はのどが痛くなったというからかなり深刻だ。あと数時間後で上海に着く乗客らも「青い空とはお別れだ」とため息をついていた。

学校を休業したり、車のナンバー規制を行う最上級の「レッド警告」のレベルに上がっているとの指摘もある。習近平総書記がパリで開かれたと国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)でスピーチをしたばかりで皮肉なものだ。北京で国際的なイベントをする際はそのたびに、工場閉鎖や車両規制で「APECブルー」や「閲兵ブルー」を演出するが、指導者のメンツは立つが庶民の健康問題は根本的には解決されていない。民の恨み節が聞こえてくる。その声を堂々と代弁する指導者が見当たらないのが残念だ。中国には十数万人の日本人が住んでおり、かつ隣国である日本は対岸の火事では済まされない。共通の利害を持つ環境問題は、隣国同士が手を携えて協力し、共有する価値観を育てる貴重な場でもある。胡耀邦が唱えた平和主義、国際主義もこうした分野で発揮できる。

小学生時代、都内の環七と環八の間で育った私は毎夏、「ウウウーー」というサイレントともに区役所の屋上に黄色い吹き流しがかけられたのを覚えている。光化学スモッグ注意報だった。目がチクチクし、のどが重く痛み、頭がガンガンすることもあった。手洗い場で目を洗い、先生から教室の外に出ないようにと言われた。屋外のクラブ活動は中止となった。だが中学に上がるころにはその記憶がない。中国の子どもたちにどんな記憶を残すのだろうか。大人たちが知恵を出さなくてはならない。上海についたらタクシーには乗らず、地下鉄を利用することにしよう。自分にはとりあえずそんなことしか思いつかない。





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