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選手とファン・サポーターとの距離感3

2020-09-23 00:01:55 | サッカー(J3以下・外国・他カテゴリ)

 リスペクトコラムです。
 やべっちFCが今月いっぱいで終了するという事で、唯一の全国ネットのサッカー番組であるFOOT×BRAINの価値が高まってきています。先日の特集も面白かったです。どうやれば地域に根が張れ、情報発信できるのか、基本に立ち返るような、気づきを与えるいい内容でした。今回、なでしこリーグでしかも今季2部の長野さんという事でしたが、全然付加価値の高いクラブでした。特に泊選手の仕事っぷりが光っていました。本当にうらやましかったです。
   
【.WEリーグ開幕まであと1年 地元に愛されるクラブの作り方(一味違う広報戦略)】
.WEリーグに参戦を表明し、コロナ禍でも多くのサポーターがスタジアムに足を運ぶチームがある、AC長野パルセイロ・レディース。昨シーズン2部降格したものの、今季ホーム平均観客動員数は以下のとおり、一部の強豪にも引けを取らない人気ぶり。
・INAC神戸(1部):1,054人 ・日テレ・ベレーザ(1部):648人 ・AC長野パルセイロ・レディース(2部):624人
     
 その秘密は「地元の選手が多いので応援しがいがある」「印象的には地域に密着している熱いチーム」という声がある、地元に愛されるクラブであること。今回、FW泊志穂選手が登場。元なでしこジャパンの経験もある選手だが、実はチームスタッフとしても活動中。肩書はずばり広報隊長。しかも今季始めたある動画が早速話題となっている。泊プロデュースの爆笑・選手紹介動画。似たようなSNSコンテンツの動画は他のクラブでもあるが、泊選手の作品は一味も二味も違う。更に泊選手が過ごした海外クラブの驚きの実情もある。
   
 泊選手は2015年からAC長野に在籍し、2017~18年にFCヴァッカー・インスブルック(オーストリア1部)、2018~19年にBVクロッペンブルク(ドイツ2部)でプレー。2020年にチーム唯一のプロ契約選手として復帰。しかもプレー面だけでなく、サッカー以外の動画制作でも貢献している。企画・撮影・インタビュー・編集全てを泊選手が一人でスマホで行っている。他のクラブで見られない内容と話題になっている。選手紹介で未だかつてこんなに楽しそうな動画があっただろうか。
一味ちがう泊の動画①:選手同士だからこそ、素が引き出せる
→地元サポーターも「どんどんやってもらいたい。親しみは感じる」「いい事やったなって思う」と口をそろえて高評価。
一味ちがう泊の動画②:個性に合わせた質問で㊙情報・恋バナを引き出す。
→選手の個性を引き出すべく毎回それぞれに合った質問を用意しているから。新加入選手が半分以上いて、コロナ自粛になってしまったので、練習も非公開で全然露出する機会が無いので、YouTubeを使って、先にみんなのことを知ってもらいたいという、広報隊長としての狙いがあって始めた。
→地元サポーターも「新しい選手も多く、コロナで観戦できない期間があったのに、そういう選手紹介動画を出してくれたので、更に応援しようという気持ちが逆に高くなって、早く行きたくなった」「インタビューアーの泊選手がすごく選手を引き出すのが上手いのですごく楽しみ」という声。
 コロナ禍の中、サポーターとの交流が制限される中、自分たちにできる事を模索して始めたのがYouTube戦略だった。同僚が撮っているので、本来の自分の姿が出しやすい。チームの調子が悪い時は、こういう動画を上げるのはどうなのか考える事もある。
     
〔選手兼広報隊長 泊の仕事の様子に密着〕
 練習場である千曲川リバーフロント(ここは去年台風で大きな被害が出ましたね)。朝9時出勤。午前中はクラブハウスでスタッフとして勤務。地域コミュニティ推進部に所属。出社早々にスマホで動画編集。
広報隊長泊のこだわり①:動画編集はスマホでスピーディーに
→クオリティよりは選手を出したい感じなので、わかりやすく面白くてできればいい。
広報隊長泊のこだわり②:地元の特産物のPR活動も欠かさない。
→クラブ公式オンラインショップでグッズと並び、野菜や果物を販売。商品名には個人名が付加されている。地域のホームタウンを中心とした農家さんが扱っている無農薬・低農薬の野菜をオンラインショップで販売。地元の農家や企業が作る特産物の販売促進する事も地域密着型クラブの特徴。泊選手は農家を訪問し、収穫体験を通してPR活動を実施。他にも長野県の(スポーツクラブ)PR企画のイメージキャラクターにも起用されて大忙し。
広報隊長泊のこだわり③:引退後のセカンドキャリアについても発信。
→泊選手が新しくやりたい企画。いわゆるセカンドキャリアで、引退後への不安って現役選手はみんな持っている。そういうところにアプローチできないか。チーム最年長として選手の去り際やその後のサポートができないか模索中。
   
・泊選手へのクラブの評価:
「復帰にあたり、サッカー選手としてだけではなくてチームのこと、クラブのこと、地域のこと、物事を考える幅が広がって帰ってきてくれたと感じた」
・アルクマ体操の撮影(午後1時):
 長野県のスポーツ選手でつなぐ県主催のダンス動画。 
・練習開始(午後4時):
 と思いきやスマホを手にする。選手紹介動画は練習前に撮影。
広報隊長泊のこだわり④:「愛の無茶振り」で若手の殻を破る。
 紹介動画の締めは「今叫びたいことを叫んで!」が定番。面白企画の無茶振りで、選手がフォローし合い、練習前からチームの雰囲気は和やか。弾けてもらいたいというか、殻を破ってもらいたいという泊選手の狙い。
「練習前にいろんな選手と話す機会だったり、選手紹介動画をきっかけにいろんな人とコミュニケーションが取れるようになったので良かった」「会社の人も観たよとたくさん声をかけてもらって、入れ替わりが多かった分、たくさんの方に見てもらえる機会を作ってくれて感謝している」と選手も喜んでいる。

 泊選手がYouTubeを始めたきっかけは、海外にいる時に個人的に始めた。自分が想像していた海外サッカーや生活と実際のギャップがあったのもあった。そういう経験を発信したいなと思ったのがきっかけ。情報発信の大切さに気付いたのは海外での経験。2019年のドイツクラブ時代に配信したYouTube動画が広報隊長の原点。ヨーロッパでの暮らしや海外での文化の違いを赤裸々に公開し紹介する内容。そこには海外プロ生活のリアルな苦労。素直すぎる愚痴が満載だが、海外で見つけた発見も紹介。厳しい環境のアウェー試合の様子など海外のリアルなサッカー事情も紹介。
 なぜ海外での体験を動画で配信しようと思ったのか。海外に行くまでは夢を見ていたこともあったし、逆にネガティブになっている人も周りにはいたので、行ったことの経験を伝えたいと思ったのと、自分で発信しないと向こうの活動って日本まで伝わらないと思う。こういう選手もここで頑張っているというところを発信したいと思って始めた。誰かが発信しなければ伝えるべき事が伝わらずに終わる。海外での苦労が広報隊長としての仕事に生かされている。海外にいて時間ができたからこそできたことはあった。 
 海外では仕事とサッカーの両立の仕方が日本人選手と本当に違って衝撃を受けた。日本はスポンサー企業でサッカーを考慮して働かせてもらえるが、向こうでは自分の好きな仕事をしてるので、サッカー優先ではない。仕事で練習に来られない選手もいたし、サッカーがなくてもその仕事で生きていけるというバランスを取っていた。シーズン中は怪我するようなアクティビティはやりづらいが、向こうの選手は結構命を顧みないような過酷な休日を過ごしていて驚いた。

 今のクラブの課題としては、2部に落ちてからも観客数は他のチームに比べたらコロナの中でも多い。それでも全盛期に比べたら観客数は減っている。1部の頃ぐらいに観客が来てもらえるように自分達もできる事をやっていきたいと思っている。.WEリーグについては、来年10月開幕に向けて17団体から6~10団体に絞り込み中だが、入らせてほしい。

 という感じで、なかなか興味深い内容でした。泊選手のような方が各クラブ(J1からJ3も)にいたら、リーグ全体が活性化していたでしょうね。番組に出てきた長野さんの農産品の直売を行うサイトは「パルセイロのマルシェ(市場)『パルシェ』」で「長野サッカーチームから信州の農産物の魅力をギュッと詰めてお届けします」とありました。これはJ3福島の農業部を思い出しました。地方クラブというのは本来こうあるべきですね。地元JAがスポンサーになっている事も多く、農産品の特産品に注目してあげるのは公共財として当たり前なのかもしれません。
 以前の記事で、地元岡山で最近始めた「ファジアーノLIVE」は、MCはフロント社員ではなく、選手なり元選手のアンバザターが理想と書いた事があります。この長野さんは選手がMCで、やはり盛り上がり方が全然違います。この手法はデジッちと同じとも言えますね。せっかくなので、岡山と長野さんを比べてみましょうか。
      長野L            / 岡山
MC  : 泊選手(広報隊長)      / フロント社員
選手の姿: マスク無し(保健所的にいいのかどうかは不明)/ マスク姿(顔が全くわからない)
選手の表情:素が出ていて面白い      / 言葉は柔らかいが長野と比べたら全然硬いという個人的印象
質問内容: 個々の選手の個性を引き出す質問/ 週ごとの統一テーマ

 改めて長野さんのYouTubeを観てみました。やはりMC上手いです。テンポが速く飽きさせない演出。盛り上げ方が絶妙。大きな声で笑うし、テロップも派手で字が大きい。リアクションも大きい(笑)。周りにいる選手が突っ込みだったり、フォローだったり一体感を感じました。普通のインタビューを何倍にも盛り上げていました。もちろん、そのままチャンネル登録したのは言うまでもありません。
 地元岡山もこういう存在欲しいですね。山雅のガチャ氏のようなアンバザター的存在。フロント社員さんもいいのですが、よその事例を観るとやはりそう思えてくる。あくまで個人的にですが、岡山は「トップアスリート派遣事業、コーチでいいですか」の流れに象徴されているように、昔から選手が主役ではなくスタッフが主役になろうとするイメージがある。スタッフはあくまで裏方。あのしゃべっているの誰?選手? えっ事務の人? あっそ・・・というのがライト層の反応。Jクラブの主力商品はあくまで選手。選手を売り込まなければ、いつまで経ってもチームやクラブに馴染みを持ってもらえず、地域に根は張れないと思います。そういう面では長野さんの動画は面白かった。今度全部観ちゃろう。
J3長野関連:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20150326
#がんばろう日本 #ThankYouHealthcareWorkers #ThankYouCaregivers

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