東京都中小企業診断士協会中央支部認定!「稼げる ! プロコン育成塾」ブログ

東京都中小企業診断士協会中央支部認定マスターコース「稼げる!プロコン育成塾」のブログ。経営・ビジネスに役立つ情報を発信

エフェクチュエーション

2024-05-05 12:00:00 | 23期生のブログリレー

こんにちは。20期卒の安納一貴です。

前回に続き、「サーバントリーダーシップ」についてすすめようかと思っておりましたところ、後段でご説明申し上げますように諸事情ございまして、最近出会った「エフェクチュエーション」という概念について触れたいと思います。

令和3年中小企業診断士試験の企業経営理論の設問に登場していたようで、目にされた方も多いかと存じます。現代の不確実性の高い経営環境において、意思決定に有効とされる5つの原則を説明するものです。

1.手中の鳥
自分が知っていること、知っている人、など手持ちの知識や人脈、技術などの資源を指します。起業家はまず、自分の所持しているもの(こと)を用いて「手段主導」(「目的主導」の対義)で意思決定しようとします。

2.許容可能な損失
一般に事業計画を策定する際は、投資とリターンに着目した成長戦略を描くところを、うまくいかなかった場合の損失にフォーカスし、どの程度のリスクであれば負うことができるか、を判断の基準にします。

3.クレイジーキルト
クレイジーキルトとは様々な種類の布地を組み合わせて作る縫製作品だそうです。はじめの「手中の鳥」を活かして行動する中で、新たな手段・人脈・技術を取得し、拡張された基盤のうえで次なるビジョンを描くことができます。

4.レモネード
レモンそのままでは強すぎる酸味を加工して、ほどよい味わいとしたのがレモネード。不測の事態が及ぼす失敗、偶然手にした成功を受け入れ、自らの資源として活用します。ニュートラルな分析的視座がポイントです。

5.飛行機のパイロット
予測不能の環境においては、事前の計画が有効に機能しない場合が多く出来します。どんな状況にあっても、自分自身でコントロールできる範囲に資源を集中させ、結果に導きます。

予測よりも、いかに現在を活かし未来につなげるか問うもので、VUCA時代の創業あるいは創造に適した考え方です。いわば、真剣にとりくむ『わらしべ長者』のようなものですね。

さて、なぜこの「エフェクチュエーション」を挙げたかと申しますと、実は私、本年3月末を以て前職を退き4月からは個人で活動することになりまして、身をもってこの概念を実践している(しようとしている)ところであるからなのです。幸いにも、栃木県よろず支援拠点との契約をいただけておりまして、コーディネーターとして窓口相談業務を中心に携わり始めております。

相談窓口でも、創業のご相談、事業計画のご相談といった内容がありますなか、将来の予測を盛り込む部分では、そう易々と未来予測などは申し上げられないのが正直なところです。そして、事業者様ご自身も、計画自体の信ぴょう性と申しますか、不確実性の高い環境において、果たして本当にこれでいいのだろうか、といった不安な表情は拭えません。

そこで、「エフェクチュエーション」という言葉を使わないまでも、①ご自身の持つ技術や人脈を整理し、②どこまでの失敗なら許せるのかイメージを持つとともに、③いつ誰に会いどこで何を学んで何を得ようとしていて、④成功と失敗の閾値を把握し、結果がいずれの場合でも受け入れて次に生かす準備ができ、⑤自分のコントロールを利かせられる範囲で、まず小さくとも実行しようとしているのか、といったことを伺うようにしております。

皆様も、何かに取り組むにあたり、「エフェクチュエーション」を意識なさってみてはいかがでしょうか。

お読みいただき、ありがとうございました。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする