una buona osteria.

美味しいこと、楽しいこと、好きなこと、いろいろ書きます♪

ティーボウルズ

2013年12月15日 | 美術館のこと
会期終了1週間前になって、やっと見に行けた根津さんの「井戸茶碗」展。
一見なんの変哲もない、渋い黄色っぽい茶碗、形は左右対称じゃないし、でも、あのお茶碗に緑のお濃茶が入っている様子を思ったりすると不思議な存在感を感じるし、ゆがんだ形が愛おしくも感じられる、とは思うのだけれど、特にすごーく魅力を感じるわけではない。
戦国時代の茶人、戦国武将が憧れたという井戸茶碗たち、名品の数々を見て、わたしの井戸茶碗に対する気持ちは上昇するのでしょうか。

井戸茶碗



展示室に入ってすぐ、わくわくして笑いがこみ上げる。
わわわ、沢山のしぶいお茶碗が暗がりに浮かぶ、それがクールでかっこいい。
結構なギャラリーの数、いつもの茶道関連の展示会に比べて男性の比率が高い気がする。おしゃれめ男子、おしゃれなおじさまもちらほら。あ、それは場所柄?それとも井戸茶碗だから?
このお茶碗の並ぶ様子を見て、たとえば西洋の方達はどんなことを感じるのだろう。いいなぁ~と思うことができるのは日本人だけなのかな・・・それとも何か感じるのかな・・・、んーっ、日本人でも何も感じない人もいるだろうし、人それぞれか!、一人心の中で思う。

№1、国宝の喜左右衛門は後に取っておいて、右から順番に見ていく。まずは全体を、次に背伸びして内側を、中腰になって外側の轆轤目を見て、最後に少ししゃがんで高台とかいらぎを見る。
ふっと気づくと、前後の方も伸びたり、しゃがんだり、ふふふっ、と笑ってしまう。
そうやってずっと見ていたら、途中で右足の指が攣ったーーーっ、あいたたた。真ん中のソファーに座って、しばらく休憩(笑)

出品目録に印をつけたのを備忘録
大井戸茶碗、高台が低くて境目がはっきりしない金森、同じように低い高台だけれど十字に切られている古織割高台、玉水、宗及、柿色のような色が印象的な幾秋、割れても美しい越後、そして国宝の喜左右衛門、大らかな美濃と有楽、目録にgoodとメモしてたけど何がgoodだったんだろう・・・存在感がすごい雨雲、静けさと気品の細川
小井戸茶碗、不昧の茶会記に薄茶碗として登場する君不知、茶碗の内側の白いぽちぽちとピンクベージュが心に残る六地蔵
青井戸茶碗、口縁の内側の何とも言えない枇杷色とそれにかかる青味が美しい柴田、常磐、花摺、そして慈照寺

夜、眠ろうと目をつぶったら、柴田の青味の釉とその奥に透き通って見える薄い柿色、ピンポイントでまぶたに浮かんだ。
おぉ~っ、そういえば、六地蔵の内側の、中に浮かぶ白いぽちぽちとその奥のピンクベージュのような色が迫ってきた。まぶたに浮かぶ自然の色は美しくて、一つ一つ色も形も違うし、言葉で表現するのは難しい。
喜左右衛門さんと宗及さん、雨雲に細川さんが暗がりにどっしり鎮座しています。
今頃、じわじわやってきました。へへへ、いいもの見ちゃいました、っていう気持ち。

あ!お茶碗を見た後には庭園をお散歩しました。そろそろ紅葉の季節も終わり、そんな庭園をしんみり歩くのもいいものです。

庭園



文化の日だから♪

2013年11月07日 | 美術館のこと
美術館は平日に一人でのんびりじっくり観るのが好きだけど、なんだかんだとあって行けないでいるうちに、東京国立博物館の「特別展 京都」に出展されている、狩野永徳の洛中洛外図 上杉本が11月4日に展示替えになってしまう・・・うぅぅぅ~と、3日の文化の日に、勇気を出して行ってみました。

特別展京都


朝一で行こう、と思ってたけど案の定、ちょっと遅くなっちゃったよーと11時頃に到着すると、只今10分待ちの案内が。10分ならいいやー、それに狩野永徳だけじっくり観て、後は流そうっと、洛中洛外図 上杉本のところに行くと、明らかに他とは違う数の人、人、人。あー、みんな考えることはいっしょか・・・。
とはいえ、やっぱりちゃんと観たいので、一番前で観られるように行列に並ぶこと10分、やっと屏風の左端に到着。
それこそ松の葉1本1本まで細かく描かれているところに、なるほど、こだわりやさんで完璧主義者だなぁ~と思う。
他の洛中洛外図も観てみたけれど、最初に永徳を観てしまったからか、なんだか物足りない気持ちに。

ところが、ふっと気づくと、これはもしかして!明治の廃仏毀釈でいつの間にかメトロポリタン美術館所蔵になってしまった竜安寺の襖絵ではありませんか!里帰り公開されているんですねぇ~。
いいものを見せていただきました、と、目が輝く。
さらに進んでみると、二条城二の丸の、狩野探幽率いる狩野一門が書き上げた襖絵や障壁画が圧倒的な迫力で迫ってきて、遠くから、間近で、しばらく見入ってしまいました。かっこいぃ~。
興奮冷めやらず、売店のところで図録購入♪え?重っ・・・。

図録


疲れたので、1階のソファーにしばらく座って、悩む・・・藝大美術館の興福寺仏頭展に行くべきか、行かざるべきか。
えぇぃっ、行ってしまえ!と立ち上がり、まずはとなりの本館で、運慶・快慶周辺とその後の彫刻展、

大日如来坐像


2階の茶の美術を経由して、藝大美術館に到着っ。

興福寺仏頭展


まずは地下へ。いきなりこれです。板彫十二神将がお出迎えです。むむっ、なにっ、このかわいげのある膝小僧と表情は!!!

板彫


展示も上手で、もともと薬師像の台座側面にはってあったレリーフであろうという推測をイメージして、3体ずつ、4面に展示されています。
これが厚み3㎝の檜の板に彫られているとはっ。ぐるぐる2周してみました。
平安時代のみなさんも、遊び心満載ですねぇ~。うっかり、心奪われました(笑)
次は3階へ。こちらは同じ十二神将像でも木造です。わぁ~こっちもいぃっ。

木造


この、腰のくねっ具合と丸み、さらに、今ショートブーツがとっても欲しいkaoには、彼らのお履きになっているショートブーツが、気になって気になって仕方がありません。
お草履や靴の方もいらっしゃいますが、鎌倉時代にこんなにかわいぃショートブーツがあったなんて!
こちらは、それぞれの像の回りをぐるっと一周して見る事ができます。
そして、十二神将像が展示されている一番奥正面には、白鳳のほほえみをたたえる、仏頭さん。奈良の興福寺でお会いしていますが、憶えて下さってますかー。遠くまで連れて来られちゃいましたねぇ~。
言葉には出せないけれど、何かを思う心とかは、宿っているのでしょうかぁ~。
売店で図録を手に取ってうーーーん、と、悩んだけど、今日は諦めたっ。期間中にもう一度来ようっと。

へとへとになりながら、銀座線の駅を目指しましたが、他にもちょっと気になる展示が・・・来るときも思ったんだけれど、国立西洋美術館で、この国立西洋美術館を設計したル・コルビュジエ展があって、4日が最終日なんですよねぇ~。

ル・コルビュジエ展


京都展1300円、仏頭展が1400円・・・1500円だったら入るのをやめようと思ったら、常設展420円ですって。やすっ。
へとへとだし眠くなって来ちゃったしで辛いけど、明日までだし、よしっ入っちゃおう♪
と、チケット売り場に行ってみると、じぇじぇっ(←あっ・・・)常設展は本日無料ですって!はい、入りましょう。

パンフレット


わたしの好きな、ミロやピカソや太郎さんを思い出させるデッサンや静止画が沢山あって楽しいっ。けど、やっぱり疲れていないときに見に来たかったっ。

世の中には、素敵だなーと思うもの、心をゆさぶるものが沢山あって、目移りばっかりしているわたし。
お料理や茶道もそう。素敵なうわべだけをみて、満足しちゃっているのかもしれない。
忘れないようにって、ブログに書いたり、写真に撮ったりしているけれど、それで安心して忘れちゃったりしている。
けれどきっと、なにかを表現するとき、心をゆさぶられたもの、素敵だなって思ったことが、無意識の中にいっぱい積もっていて、無意識のうちに表現したものに反映されるといいなぁ~。いいえ、反映されているはずっ!と、信じて。

帰りに、5年来ほしーと騒いでいた、ピーコートを買って帰って来ました。
生地の質感、厚み、シンプルなデザインで決めたのですが、ずーっと欲しいと思っていたのはネイビー。
でも、ブラックを買いました。そのお店では、黒のみを作っているのだそうです。
一度には揃えられないけれど、自分が好きなもの、大事にしたいものに少しずつ囲まれていくのは気持ちがいいものです。
と、いうわけで、相変わらず物欲が収まりません・・・。

美しい日本の書

2013年07月23日 | 美術館のこと
まだちゃんと歩けないけど、平日だからそれほど混雑していないだろうって、東京国立博物館の特別展和様の書へ。

和様の書



のんびり歩いて、ソファーで休憩しながら、じっくり観賞してきました。
いくつか心に残った作品をピックアップ。

「第1章 書の観賞」では、「鹿下絵和歌巻断簡」で、書は本阿弥光悦、画は俵屋宗達
丸みがあってはんなりな感じの牝鹿が立ち止まってふり返ると、そこにはに牝鹿に見とれちゃってる牡鹿がすくっと立っている、そんな俵屋宗達の下絵に、本阿弥光悦が新古今和歌集巻第四から選んだ秋歌上第三六五番、「おもふこと さしてそれとは なきものを 秋の夕べを 心にぞとふ」を散らし書きしています。

尾形乾山作の「色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿」
角皿の見込みには、探幽が描いた1月から12月の季節の絵を移して描いていて、特に10月の菊と鶴と真っ赤な日の出、12月の水鳥と早梅が好き♪
そして、お皿の底裏には、その月の絵に対応している定家詠の和歌を定家流を意識した筆致で書いてあります。

「第2章 仮名の成立と三跡」では、三跡の小野道風、藤原佐里、藤原行成の書を見ることができます。
中でも一番笑っちゃうのは、三跡の中でも異彩を放っていると言われる藤原佐里の国宝「離洛帖」。
そもそも三跡のしょについてじっくり見比べたこともなかったので、へぇ~異彩を放っているんだと興味本位で見てみたら、自由奔放で躍動感のある筆跡で納得。と、共に、人物像も異彩を放っていました。
何しろ現在残っている彼の書のほとんどが詫び状というのだから。
「離洛帖」は、太宰府大弐に任ぜられて九州へ下向する途中、摂政藤原道隆に赴任の挨拶をするのを忘れて来ちゃったことを思いだして、お詫びの取りなしをして欲しいと甥の藤原誠信に宛てた書状らしいです。
最初の三行目までは豪快な中にもきちんと書こうというような神妙な感じが読み取れますが、それ以降は取りなしをお願いしているのも忘れちゃったかのような、のびのびしてる文字で笑っちゃいました。
佐理48歳の時の書状だそうです。

と、ここまで考えながら書いてたらどっと疲れてしまったー。
で、以下はかるーく(笑)

「第3章 信仰と書」では、なんと言っても「平家納経」です。
とにかく、美しかったです♪
それから、西行の「一品経懐紙」

「第4章 高野切と古筆」では、習いはじめたばかりの、かなの書が沢山。
中でも、「高野切第二種」と「寸松庵色紙」の、まるで清流が流れるような文字、美しくてほれぼれ。
まずは、かなの歌が読めるようになって、意味をわかるようにならなきゃ。
わかった上で、自分の気持ちに任せてすらすらーって書けるようになったらかっこいいけど・・・。

「第5章 世尊寺流と和様の展開」では、後鳥羽上皇20歳の時の熊野懐紙「深山紅葉、海辺冬月」
それから宗達派の下絵に本阿弥光悦が散らし書きをした「四季草花下絵和歌巻」、本阿弥光悦の「舟橋蒔絵硯箱」
この硯箱、国宝なのですが、つい、へうげものの本阿弥光悦の顔を思いだして吹き出しそうになりました。

展示替えのため、今回見る事ができなかった長谷川等伯の「檜原図屏風」が見たい!!!もう一回行っちゃおうかなー。

おいしい珈琲 経由 茶道具と円山さんへ

2012年12月28日 | 美術館のこと
今年もあと10数日となったある平日、朝から御茶ノ水の歯医者さんへ。
この日は会社をお休みする事に決めていたから、まずは珈琲豆を買いに神保町までお散歩です。
途中、次回の卓球の会の後のご飯食べるところをリサーチしたりして。あ、ここ、前回の卓球の会の後に来たカギロイさん、向かいはハワイアンカフェ、あ、イカセンター、あ、ベルギービールやさんのビル、で、この辺を行くとビストロアリゴさんって。
あー珈琲買うのに、行き過ぎちゃった。ちょっと戻って、神田伯剌西爾さんへ。
珈琲豆をお願いしている間に、ケーキセットを戴いちゃおうっと。
ケーキは、コニャックポンム

コニャックポンム


コーヒーは、マンデリンがなくなっちゃったってことでペルーチャンチャマイヨ

ペルーチャンチャマイヨ


寒空に、温かくって濃いぃ~コーヒーと、やさしい甘さと爽やかなりんごのコンポートのケーキ、おいしぃ~っ。

次は、かっさがオススメしてくれてた三井記念美術館のゆくとしくるとし-茶道具と円山派の絵画-へ。
あれー電車で神保町からどう行くんだろーって思ったら、半蔵門線で二つ目だった!

茶道具と円山派の絵画展


テーマが、ゆくとしくるとしなのは、年内中は円山応挙筆の「雲龍図」を掛けて行く年をおしみ、新年には恒例の円山応挙筆の国宝「雪松図屏風」が掛けられるから。
三井さんの茶道具コレクションにはお気に入りのものがいろいろ。いつだったかもお会いしましたよねーって話しかけながら、最初にお会いした時よりも少しは何かで成長しているかもしれない自分が、本物の良いものとふたたび向き合った時に、どのように感じるのか、そういう自分の変化を感じるのも楽しみの1つでもあります。
やっぱりいいなぁ~。光悦さんの黒楽茶碗「雨雲」、道入さんの赤楽、志野茶碗「卯花墻」、長次郎さんの黒楽茶碗「俊寛」、有楽の竹の茶杓、そして、八代中村宗哲の「芽張柳蒔絵棗」。
それから円山応挙の絵をみながら、金曜日のはないけ教室の構図を考えてみたりして。
一番最初に展示されていた「稲麻綿図」の麻の葉の流れる感じ、お花で真似したいなー。
それから、亀岡規礼筆の「酒呑童子絵巻」は、大江山の酒呑童子を討ちに来た源頼光と四天王の一行が、山を越え谷を越えて酒呑童子を訪ねて、一緒に酒盛りをして、酔った隙を狙って退治する一連のお話が絵巻になっているんだけれど、酒呑童子が首を切られちゃったり、鬼が身体を縦に切られてちゃったりして血しぶきがいっぱいとグロテスクなところもあるんだけれど、それよりも、酒盛り中の床の間には花を生けた青磁の壺があったり、お庭は風流で青い楓、紅い楓、鬼さんたちの色、血しぶきの色が彩り豊かで見応えありですっ。
さらに、夜咄しの茶事の趣向でのお道具の取り合わせも興味津々で拝見させて戴きました。
じっくり見すぎてさすがに疲れたー。夜咄の茶事のお部屋では、真ん中のソファーに座って一休み。
平日の昼間ということもあってか、せわしない年末から、別世界にタイムトリップしたみたい。
来年は、ぜひ、夜咄しの茶事を体験してみたいって思いました。

レンブラントと西郷さん、そして不忍池

2012年11月20日 | 美術館のこと
雲一つない日曜日、メトロポリタン美術館展に行ってきました。

メトロポリタン美術館展


随分昔にニューヨークで行った美術館ですが、とにかく広くてたくさん展示されていて、今となっては憶えているのは武器や甲冑、それにエジプトの装飾品、ゴーギャンとモネ・・・。
今回の美術館展で話題になっている、ゴッホの糸杉って見たっけ?という始末。
さて、今回のメトロポリタン美術館展、絵画ではレンブラントの「フローラ」、ルノワールの「浜辺の人物」、カメラが捉えた自然では杉本博司の「ボーデン湖、ウットヴィル」(←U2のノーライン・オン・ザ・ホライズンのアルバムジャケットの写真)、動物たちの章の「馬形の取っ手」が印象的で、しばらくそれぞれの作品にじっと見入りました。あ、糸杉も、ちゃんと見ました。

美術館展の後は、お天気もいいしと上野公園をお散歩。
銀杏並木の紅葉のトンネルをくぐって、ツタンカーメン展の行列を横目で見ながら通り過ぎ、ふっと見ると、まだ紅葉していない緑の隙間に注ぐ光にキラキラ揺れる紅葉。
わぁ~綺麗!とその不思議な光景に走り寄ってみると、1人のおじさまも真剣な眼差しでカメラのシャッターを押していました。

不思議な紅葉


ところで西郷さんってどこにいるんだっけ・・・
おやっ、真っ青な空の下、誇らしげに立っていますね、西郷さん。

西郷さん


そーいえば、夏は緑の蓮の葉っぱとピンクの蓮の花に埋もれる美しい不忍池、冬はどうなっているんだろう・・・と、寛永寺を経由して、不忍池にも行ってみました・・・。
か、枯れ途中の蓮の葉が首をもたげている不忍池・・・向こうに見える紅葉は綺麗だけれど・・・。
まるでこの日のkaoの心の鏡・・・トホホっ(笑)

不忍池