魂の自由を貫くと、現世では孤立しはじかれてしまう。

第二次大戦終盤、ヒトラーへの忠誠を拒否し、刑場に消えたオーストリアの一農民の実話。
祖国を守るという大義のもと、オーストリア国民が挙ってナチスに協力した時代、ひとり信念を曲げない男。家族・親族も村八分の辛酸をなめる。
3時間近い作品のラスト、
「訪れる人もいないような墓に眠る、名もなき生涯を終えた人々によって善は形成される」との字幕で終わる。
男は戦後に名誉を回復され、キリスト教における聖人に次ぐ位に列せられる。この歳になり「列福」という言葉を初めて覚えた。