大手がこんな事をしてるのだ↓
<傾斜マンション>「青田売り」がデータ改ざんの遠因に
工期制限の言い訳は、これまでの施工不良で多く使われてきた。さらに「工事費用が少なくて」という言い訳も多い。「工期の制限」と「工事費用の不足」は日本のマンション分譲が抱える構造的な問題だ。もっと分かりやすく言えば、「青田売りをするから生じがちな問題」である。
日本の分譲マンションは、「青田売り方式」で販売される。建物ができる前に販売を開始し、購入者は別棟の販売センターで模型や完成予想図、モデルルームを見て購入を決める。その後、金融機関に住宅ローンを申し込み、審査に通ると、売り主の不動産会社と売買契約を結ぶ。
その時点で払うのは、分譲価格の1割程度に当たる手付金。残りの代金は、建物が完成し、引き渡し時点で支払う。住宅ローンを組む人は、建物の引き渡し時点でローンが実行される。建物引き渡し日に向けて、金融機関を巻き込んだ流れが粛々と進むわけだ。
総戸数が数百戸の大規模マンションであれば、数百の金融取引が建物引き渡し日に向けて進行する。そのため、日本のマンションでは「建物引き渡し日」はしっかり守られてきた。逆に言うと、この「建物引き渡し日が正確」であることを前提に、「青田売り」が可能になっている。
ところが、日本を除く世界の国々では「青田売り」は行われない。建物の外枠ができ、後は内装や設備を入れるだけ、の状態で分譲されるのが主流である。内装や設備は購入者が決まってから工事される。この方式を「青田売り」に対し、「スケルトン売り」と呼ぶ。
「スケルトン売り」の背景には、「建設工事は、当初予定より遅れるのが当たり前」という社会認識がある。予定通りにいかないことが認められているのだ。このやり方であれば「工期の制限」を受けることはない。くい打ちに失敗すれば、やり直す時間があるわけだ。
「スケルトン売り」には、もうひとつ別の利点がある。それは、建物完成時の相場価格で販売されるので「工事費用の不足」を補いやすい、という利点だ。逆に日本で一般化している「青田売り」方式では工事費用が不足しやすい。
なぜなら、不動産市況が上昇しているときは、工事の途中で建設費も上昇するからだ。
今よりも1年後、2年後のほうがマンション価格は上がるだろう……そう考えられる時期、建設費は上昇する。すると、1年、2年、場合によっては3年がかりで建設する大規模マンションは、工事の途中で工事費用や資材価格の上昇にみまわれる。
しかし、元請けである建設会社は、建設が始まる時点で建設請負契約を結び、工事費用の総額も決めている。そうしないと、「そのマンションをいくらで売り出すか」という分譲価格も決められないからだ。工事費用は最初に決めなければならないし、その後も変えにくい。
工事費用を先に決め、工事中に職人の賃金や資材価格が高騰し始めると、「工事費用の不足」が生じ、そのしわ寄せが下請け、孫請けに及ぶ。安い賃金で工事を請ける下請け・孫請けは複数の仕事を掛け持ちするようになり、結果的に仕事の質低下に結びつきやすい。「青田売り」はこのように、マンション建設にいくつかの無理を生じさせるのだ。
一方で、「青田売り」には景気変動のリスクを抑えるメリットがある。
たとえば、不動産価格上昇時は、「建物完成時の相場より安く買える」メリットが生じる。「青田売り」で分譲価格が決められるのは、建設工事が始まるころ。その後、景気が上向き、土地価格・建設費が上昇すると、建物完成時の相場価格も上昇する。3000万円で分譲されたが、建物完成時には相場が4000万円以上になっている、という状況も生まれるわけだ。
逆に、不動産価格が下落したときは、完成を待つ間にマンションの価値が下がる。購入を決めたときに4000万円だったマンションが、完成のころには3000万円程度の価値しかなくなってしまう事態が生じるわけだ。平成バブルの崩壊時には、半値まで下がった例もある。
その場合の救済が「手付金」だ。完成を待つ間にあまりに大幅に下がったときは、手付金(正確には、解約手付け金)を放棄することで、契約を一方的に解除できるのだ。4000万円のマンションの手付金は1割の400万円程度。それを放棄すれば、損失は400万円だけ。相場価格が3000万円まで下がり、1000万円損するよりはマシなのである。
「青田売り」には、意外なメリットがある。そして、長く日本に根を下ろしている方式でもある。それを一気に「スケルトン売り」に変更するのは簡単ではない。
だが今後、日本では中古住宅の取引が増え、新築マンションが徐々に減ることが予想されている。その動きのなかで、「青田売り」から「スケルトン売り」への転換を図ることはできるだろう。そのような転換で、今後「工期の制限」や「工事費用の不足」といった問題がなくなることを期待したい。
(紙面より)
10年前に姉歯事件が起き、そういう事が無くなるように業界全体が危機を感じてやってきた筈だ。
しかし、同じ悲劇は繰り返されていたのである。
これは建設業界全体がもっと危機を感じていかない限り、無くならない問題なのかもしれない。
2011年に起きた東日本大震災。
あの大きな地震で本当に震えた会社もあったのではないだろうか?
そして今回、データ改ざんというのが表面化し、大きな社会問題になっている。
大きい改ざん、小さい改ざんを含めると、相当数出て来るだろうし、今問題になっている会社以外の所からも出て来るだろう。
住まいというものは、大きな額を出し、信用を買うという事だと思う。
しかし今回の件で、そういった信用は完全に崩壊した。
10年掛かって積み上げてきた信頼回復は、一瞬で吹っ飛んだのである。
これから東京オリンピックという大きなイベントを控えているが、それどころではなくなるのではないか??
どっちを優先しなければいけないかは目に見えている。
国がこの舵を間違った方向に向ければ、あっという間に色々なモノが吹っ飛ぶだろうな。
建築の検査には国や自治体も関わっているし、責任が全く無いかといえばそうとも言い切れないと思う。
これからどれだけの数の違反が出るか分かりませんが、業界が信頼回復出来るのかどうか・・・
<傾斜マンション>「青田売り」がデータ改ざんの遠因に
工期制限の言い訳は、これまでの施工不良で多く使われてきた。さらに「工事費用が少なくて」という言い訳も多い。「工期の制限」と「工事費用の不足」は日本のマンション分譲が抱える構造的な問題だ。もっと分かりやすく言えば、「青田売りをするから生じがちな問題」である。
日本の分譲マンションは、「青田売り方式」で販売される。建物ができる前に販売を開始し、購入者は別棟の販売センターで模型や完成予想図、モデルルームを見て購入を決める。その後、金融機関に住宅ローンを申し込み、審査に通ると、売り主の不動産会社と売買契約を結ぶ。
その時点で払うのは、分譲価格の1割程度に当たる手付金。残りの代金は、建物が完成し、引き渡し時点で支払う。住宅ローンを組む人は、建物の引き渡し時点でローンが実行される。建物引き渡し日に向けて、金融機関を巻き込んだ流れが粛々と進むわけだ。
総戸数が数百戸の大規模マンションであれば、数百の金融取引が建物引き渡し日に向けて進行する。そのため、日本のマンションでは「建物引き渡し日」はしっかり守られてきた。逆に言うと、この「建物引き渡し日が正確」であることを前提に、「青田売り」が可能になっている。
ところが、日本を除く世界の国々では「青田売り」は行われない。建物の外枠ができ、後は内装や設備を入れるだけ、の状態で分譲されるのが主流である。内装や設備は購入者が決まってから工事される。この方式を「青田売り」に対し、「スケルトン売り」と呼ぶ。
「スケルトン売り」の背景には、「建設工事は、当初予定より遅れるのが当たり前」という社会認識がある。予定通りにいかないことが認められているのだ。このやり方であれば「工期の制限」を受けることはない。くい打ちに失敗すれば、やり直す時間があるわけだ。
「スケルトン売り」には、もうひとつ別の利点がある。それは、建物完成時の相場価格で販売されるので「工事費用の不足」を補いやすい、という利点だ。逆に日本で一般化している「青田売り」方式では工事費用が不足しやすい。
なぜなら、不動産市況が上昇しているときは、工事の途中で建設費も上昇するからだ。
今よりも1年後、2年後のほうがマンション価格は上がるだろう……そう考えられる時期、建設費は上昇する。すると、1年、2年、場合によっては3年がかりで建設する大規模マンションは、工事の途中で工事費用や資材価格の上昇にみまわれる。
しかし、元請けである建設会社は、建設が始まる時点で建設請負契約を結び、工事費用の総額も決めている。そうしないと、「そのマンションをいくらで売り出すか」という分譲価格も決められないからだ。工事費用は最初に決めなければならないし、その後も変えにくい。
工事費用を先に決め、工事中に職人の賃金や資材価格が高騰し始めると、「工事費用の不足」が生じ、そのしわ寄せが下請け、孫請けに及ぶ。安い賃金で工事を請ける下請け・孫請けは複数の仕事を掛け持ちするようになり、結果的に仕事の質低下に結びつきやすい。「青田売り」はこのように、マンション建設にいくつかの無理を生じさせるのだ。
一方で、「青田売り」には景気変動のリスクを抑えるメリットがある。
たとえば、不動産価格上昇時は、「建物完成時の相場より安く買える」メリットが生じる。「青田売り」で分譲価格が決められるのは、建設工事が始まるころ。その後、景気が上向き、土地価格・建設費が上昇すると、建物完成時の相場価格も上昇する。3000万円で分譲されたが、建物完成時には相場が4000万円以上になっている、という状況も生まれるわけだ。
逆に、不動産価格が下落したときは、完成を待つ間にマンションの価値が下がる。購入を決めたときに4000万円だったマンションが、完成のころには3000万円程度の価値しかなくなってしまう事態が生じるわけだ。平成バブルの崩壊時には、半値まで下がった例もある。
その場合の救済が「手付金」だ。完成を待つ間にあまりに大幅に下がったときは、手付金(正確には、解約手付け金)を放棄することで、契約を一方的に解除できるのだ。4000万円のマンションの手付金は1割の400万円程度。それを放棄すれば、損失は400万円だけ。相場価格が3000万円まで下がり、1000万円損するよりはマシなのである。
「青田売り」には、意外なメリットがある。そして、長く日本に根を下ろしている方式でもある。それを一気に「スケルトン売り」に変更するのは簡単ではない。
だが今後、日本では中古住宅の取引が増え、新築マンションが徐々に減ることが予想されている。その動きのなかで、「青田売り」から「スケルトン売り」への転換を図ることはできるだろう。そのような転換で、今後「工期の制限」や「工事費用の不足」といった問題がなくなることを期待したい。
(紙面より)
10年前に姉歯事件が起き、そういう事が無くなるように業界全体が危機を感じてやってきた筈だ。
しかし、同じ悲劇は繰り返されていたのである。
これは建設業界全体がもっと危機を感じていかない限り、無くならない問題なのかもしれない。
2011年に起きた東日本大震災。
あの大きな地震で本当に震えた会社もあったのではないだろうか?
そして今回、データ改ざんというのが表面化し、大きな社会問題になっている。
大きい改ざん、小さい改ざんを含めると、相当数出て来るだろうし、今問題になっている会社以外の所からも出て来るだろう。
住まいというものは、大きな額を出し、信用を買うという事だと思う。
しかし今回の件で、そういった信用は完全に崩壊した。
10年掛かって積み上げてきた信頼回復は、一瞬で吹っ飛んだのである。
これから東京オリンピックという大きなイベントを控えているが、それどころではなくなるのではないか??
どっちを優先しなければいけないかは目に見えている。
国がこの舵を間違った方向に向ければ、あっという間に色々なモノが吹っ飛ぶだろうな。
建築の検査には国や自治体も関わっているし、責任が全く無いかといえばそうとも言い切れないと思う。
これからどれだけの数の違反が出るか分かりませんが、業界が信頼回復出来るのかどうか・・・