久し振りに僕の紀州犬というか日本犬の先生(勝手に決めている・・・)の京都のYさんに電話しました。
彼は仕出しのお店をやっているのでなるべく午後に電話をするようにしていますが、いつも機嫌良くこちらの話を聞いてくれます。そして、最高に蘊蓄のある日本犬(紀州犬を中心に)の話を色々と教えてくれます。
我が家の愛犬「那智」の生家でもあり、ご自身も当然ながら数匹の紀州犬を飼育されています。
彼は歳こそ60才そこそこですが、まるで歌舞伎の女形を思わせるようなハンサムな人で、およそその辺によくいるようなむっさい犬飼い達(僕も含め・・・・?)とは雰囲気が全然違います。
僕は彼と出会って本当の意味での日本犬の勉強をさせてもらっていると思っています。電話でも話したのですが、もしこのYさんと出会っていなければ相変わらずまだ展覧会にばかり足を運んで押し出しの強い格好の良い犬ばかりを追い求めていたかも知れません。
これもネットのお陰で、あまり回り道せずにこれはと思える先達に出会えたわけです。
Yさんは滅多に犬舎の見学はさせてくれませんが別段気取っているのではなく自分自身の犬引きが忙しかったり、犬が多いので近所にうるさいし・・・とかの理由です。本当はもっと深い意味があるとは思いますが・・・。
運良く、僕は何度もメールのやり取りをするうちにやっと念願かなって数年前に初めてお邪魔することができました。
想像通りの専門家で巷の愛好家とはまったく異なり、その考え方や犬の飼育姿勢や扱いにかなりの相違を感じ感動したことを覚えています。それと色々と話を聞いているうちにこの方の日本犬に対する情熱の源は深くとも、結局は単純に犬に対する愛情なんだ、と感じました。それは彼が自分の犬達にに対して接している姿で容易に判りました。
犬にもそれぞれ個性がありますが、彼は自分との「相性」という言葉で表現します。とても判りやすい表現です。
僕は以前飼っていた犬を一度だけ冷やかし半分で展覧会に出したことがあります。
そもそも犬の展覧会ってどんなものなのか身をもって知っておきたかったし、出陳している色々な方達の様子も感じておきたかったからです。もちろんこの出陳以前にも展覧会には県外を含め何度も足繁く通いその様子を目にしてきましたが、そのうち徐々に「ここはどうも僕が求めていた世界とは違うな」という感じがしてきました。そうして悶々としながらこのYさんに何度もメールをしたり彼のブログを読みあさったりしていたのですが「やっぱりここしかない!自分の求めている犬とその先生は・・・」となったわけです。
そしてとうとう2年前に我が家に「那智」がやって来たのです。
Yさんはこの世界ではマイノリティーであることには間違いありません。そして日本犬に対する自分の信念や考え、スタンスは強烈に持っていますが他を批判したりはしません。それどころか、いかに先輩達に凄い人達がいたかとか今でも本質的に本当の日本犬のことが見える人は少ないがいることなど判りやすく教えてくれます。
要するに求めているものの違いは如何ともできない訳だし、それぞれの好みにあれこれ言ってもしようがないというものです。
で・・・、僕はやはり彼の日本犬感に心酔しているわけです。
子供の頃からの犬に対する情熱を今も綿々と持ち続けているというのは本当に凄いことです。まさしくその道のプロ中のプロだと僕は思います。
これからも益々その知識と感覚に磨きをかけていってもらいたいものです。そして、まだまだ教えてもらわなくてはならないことが多くありますから・・・本当に楽しみです。
家の那智は今、ちょうど換毛期で毛が抜け落ちてまるでメキシカンヘアレスドッグかどこかの痩せたジャッカルみたいで痛々しいくらいです。
しかし、この時期にしかはっきりとした骨格の様子は確認できないということも言えます。これも先生からの受け売りですが・・・。
那智の骨格筋肉はいわゆる細マッチョそのもので、骨格のそれはとてもバランスよく、がっちりとしています。
犬というのはその置かれた状況に瞬時に反応します。たとえわずかなことでもです。およそのんびりしている時など痩せて華奢に見えますが、わずかでも緊張感を持ったその時、転瞬・・・!一回りも二回りも大きく見える時があります。
そこには、まさしく惚れ惚れするような野性味溢れる魅力があるのです。
と言うことで、このくらいにしておきます・・・。