わたしは六百山

サイゴンでの365日を書き直す 

加奈

2005年10月31日 | ことばあそび
こちら k-603. 加奈はこのままで行ったら何もない人生になってしまいそうなのが怖かった。 かといって、一人で全く知らない道に踏み込む勇気もなかった。 留学の経験を活かして家でフランチャイズの英会話教室を開いてみたが、小学生相手ににぎやかに過ごすのが自分の性に合っているとは思えなかった。 五週目の教室は休みだったので、その日の夕方、加奈は一人で南口の地下街に出かけてみた。 人混みの中にいると . . . 本文を読む

母とお茶の花

2005年10月30日 | 雑想
こちら k-603. お茶の花の季節。 私の母は、都会から田舎に嫁いできて、いつまでも環境になじめず、自分の価値観をかたくなに保持して生きていたようなところがありました。 その生き方は一生変わりませんでした。 母は花を生けるのが好きで、さもない花を摘んできて、さもない器に活けて楽しんでいました。 初夏のあるひ、隣のの農家の茶摘みに出かけていったことがあります。そのとき日当としてもらってきたの . . . 本文を読む

四国遍路

2005年10月29日 | 雑想
こちら k-603. 遍路道 四国の遍路道には行き倒れのお遍路の墓石があちこちに見られましたが、これは道のわきにあった小さな墓地に、ひっそりと並んでいた夫婦の墓です。 峠を越えてたどり着いた村里で足を止め、手を合わせました。 妻と夫という縁(えにし)を語りかけてくれる、ひとときでした。 . . . 本文を読む

秋のたけのこ

2005年10月28日 | ことばあそび
こちらk-603. 秋のたけのこ。 孟子は自分を大切に育ててくれた母親が病の床で筍が食べたいというので、雪が積もった真冬だというのに、野山に探しに行きました。その親を思う気持ちにほだされて、筍が雪の中から顔を出したといいます。 これは、冬のたけのこ。 竹の秋 という春の季語があります。晩春に竹の葉が黄ばみそれがかぜに舞います。ほかの植物が緑を盛んにしているときに、いかにもあわれを感じさせます。 . . . 本文を読む

東京の靴磨き

2005年10月27日 | 雑想
こちら k-603. まだ靴を磨いてもらえない。 今日で半年の定期が切れるので、貧乏人根性で東京へ出かけていった。 初めて凡人社を訪ねて、日本語初級指導用のアクティビティーの本を買った。 ゲーム感覚で楽しく授業ができたらいいなと思ったからだ。類義語辞典もほしかったけど、ベトナムでの組織ということを考えて、必要があれば学校がそろえるだろうと思ってやめた。あと、小学生用のイラスト集を買った。何しろ電子 . . . 本文を読む

キッスの感触

2005年10月26日 | 雑想
こちらk-603. あなたが恋人とキッスをする時、是非こんなことを考えてほしい。  触れあう唇のことだ。 目を見つめ合う。そしておたがいが、やむにやまれず(ここが大切、多くの場合やむにやまれずだ)顔を近づける。 鼻と鼻があたる? いや、それはたがいに避けるだろう。そして唇が接近する。 10cm(センチメートル)、目をつぶる。 1cm(センチメートル)、息がとまった。 1mm(ミリメートル)、やわら . . . 本文を読む

かつらの木と少女

2005年10月25日 | ことばあそび
こちらk-603. かつらの木と少女 いなかの学校の裏門のわきに、小川が流れていた。 そこに一本の大きなかつらの木があった。 その木のうしろに少女が立っているのを見つけたのは、 10月の、ちょうど今ごろだった。 ぼくは、一人で家に帰るのがすきだった。 石をけりながら。 ある日、石が小川に落ちたとき、川面にきいろい葉が流れているのを見た。 色づいたかつらの葉が、何枚も流れてきた。 たどっていく . . . 本文を読む

鳥フルー

2005年10月24日 | 日本語教師
こちらk-603. 6ヶ月のビジネスビザが来た。 ベトナム政府発行のビザがひょろりとやって来た。4年前に中国へ行ったとき以来のビザの取得だ。あのときは、仕事と言っても新しい事業を模索しに行ったときで、観光ビザだった。今度はほんもののビジネスビザだ。 そんなとき、gooのHPのニュース記事を見ていたら、鳥インフルエンザの今年の感染者は六十何人かでそのうちの四十何人かがベトナム人だと出ていた。しかも . . . 本文を読む

二人の未来に 鍵

2005年10月23日 | できごと
こちらk-603. 恋しあう二人に鍵をかける。 これはもう、誰もが知っている現象なのかも知れない。 平塚の湘南平という相模湾を一望できる山の上に、テレビ用(今は使っていない?)の鉄塔が建っている。この鉄塔は誰もが自由に上ることができる。そうなると、ここで事故が起きたら行政は管理責任を問われる。だから、けっして観光客が落ちないように、じょうぶな金網が張りめぐらされている。その金網に、おみくじの願掛け . . . 本文を読む

クジラの目

2005年10月22日 | できごと
こちら うみ. ハッブスオオギハクジラの小さな目。 昨日海からあがったハッブスオオギハクジラの解体研究は、日本では今回が初めてだそうです。 朝から、20トンのショベルカーが浜辺に運ばれ、クジラの解体が始まった。 国立科学博物館・県立生命の星地球博物館・日本大学・八景島シーパラダイス、これらから専門家がやってきて、解説を加えながらの解体だ。からだの計測の後、まず、DNA鑑定のため皮膚を剥ぎ、厚さ4 . . . 本文を読む

ハッブスオオギハクジラ

2005年10月21日 | できごと
こちら うみ. 今日、深海に棲むという、とてもめずらしいクジラが打ち上げられました。 その名を、ハッブスオオギハクジラ、ぜひこれをキーワードにして、調べてみてください。体長5m、体重5トン(町役場の係員の話)オスだということです。明日研究用に解体され、骨は骨格標本にされるそうです。非常にハンサムな顔立ちでした。身体中傷があったので、戦いに敗れたのかもしれません。それとも海底で異変?  今日は、ハ . . . 本文を読む

ラダック Ⅲ

2005年10月21日 | 雑想
こちら k-603. ラダックの今 「懐かしい未来」によれば、著者ヘレナが1975年にラダックに入った時、そこは現代文明からはずいぶん立ち遅れた社会でした。しかしそこには本来の人と人とのつながりがあり、人と自然とのかかわりがありました。他者への信頼、自然への畏敬、生きていることの喜び、死への恭順、そこでの労働は安らぎのためのものでした。仏教を信じ、人智の及ばない深遠な力に従う謙虚さを持っていました . . . 本文を読む

ラダック Ⅱ

2005年10月20日 | 雑想
こちらk-603. ラダックのことをもう少し・・・。 (全て、「ラダック 懐かしい未来」 からの抜粋です) ------ラダックの人びとは、幸福感、生命力、精神性にあふれている。体つきはほとんどみな均整が取れていて、健康的である。痩せている人はまれで、肥満はさらに少ない。西洋の医者たちを困惑させるのだが、目立つほどの筋肉はないのに男性も女性もとても強靭である。------老人は死ぬその日まで活動 . . . 本文を読む

ラダック Ⅰ

2005年10月19日 | 雑想
こちらK-603. ラダックという地名を知っていますか? 【イスラマバード19日共同】パキスタンのムシャラフ大統領は18日、パキスタン地震の救援や復興活動のため、インドと領有権を争うカシミール地方でインド側カシミールの住民が実効支配線(停戦ライン)を越えてパキスタン側に入ることを認めると述べた。インド政府はこの提案を歓迎した。(共同通信) これは今日の配信記事です。およそ5万人という死者を出した大 . . . 本文を読む

小菊の季節

2005年10月18日 | ことばあそび
こちらk-603. いま本州に近づいている台風20号がすぎると、秋が深まる。 すると、すてきな季節がやって来る。 小菊の花が咲く。 わたしはこの小菊のかおりのしずかな風の中で、 その花々をとびかう虫の羽音を聞いているのが好きだ。 ふくよかなにおい、やさしいただよい。 セロのA線をかすかに弾く音。 止まっていることが、こんなにも美しいものだと 感じさせてくれる深い秋が、 もうすぐ、やって来る。 . . . 本文を読む