わたしは六百山

サイゴンでの365日を書き直す 

髪を切ろう ベトナム便り 95

2013年10月25日 | 日本語教師
こちらv-603.
他動詞を使った、 見よう とか 始めよう とかの表現を、意向形といいますが、これを使った授業での風景です。
このクラスは、viet さんのお土産の アサヒビールのクラスです。
Tさん(男) と Pさん(女)のペアーです。二人とも24,5さいです。そしてどちらかというと 二人ともおとなしい性格で、ペアワークで練習している間も、他のペアーの声にかき消されるような小さな声で話しています。
教科書にある 会話例は

ああ、疲れた。
じゃ、どこかで 少し休もう。
あの 喫茶店に 入らない?
うん そうしよう。

というのです。

この例文の、 〔疲れた〕 というところと、 〔少し休もう〕 というところを変化させて会話させます。

ああ、のどがかわいた。
じゃ、どこかで お茶でも飲もう。
あの 店に入らない?
うん そうしよう。

こんな具合です。
ほかのペアの発表をさせたあと、Tさんと、Pさんに移りました。

二人は私が提示した変化例を練習していたので、まじめにそれを発表しました。
そのあと、私が、次のような変化球(動詞ではない遊び球)を投げてみました。

「さびしい」
「ああ、さびしい」

これで 会話を始めてもらいます。
クラスが静かになります。

Pさん(女性)が言いました。
「ああ、さびしい」
さあ、Tさん(男性)の答えの番です。
しばらく考えてTさんが、ぼそりと言いました。
「じゃ、お寺へ行かない?」

この意外な誘いにクラスが笑いあがりました。
「え、お寺へ行くの?もっとさびしいよ」と私。
Tさんは 笑っています。

Pさんはどう答えるでしょうか。
クラスの目が輝きます。
すると、Pさん
「うん、行こう」

ここで、待っていましたとばかり、後ろの席のSさんとQさんがはやします。
「二人で、お寺へ行きますか」
「お寺で髪を 切りますか」
そしてLさんが楽しそうにまとめます。
「先生、Tさんと、Pさんはいっしょに お寺へ行って、髪を切ります」

とんでもないことになって、TさんとPさんも、苦笑いです。

「髪を切ったら、結婚できませんね」と、私。
「ウワー」、とみんなの笑い声。
(2006-07-27のメモより起稿)




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