こちらv-603.
今日は夏至だったと、思い出しました。
ベトナムではこの日をどう表現するか?
こう言うそうです。
『まだ横になっていないのに朝になる』
ベトナムでは緯度が低いので、一年を通してそんなに昼と夜の変化はないはずなんですが、ベトナムではベトナムなりに差異を感じているのですね。
じゃ、冬至は何と言うと思いますか?
『まだ、笑ってもいないのに夜になる』
だそうです。
写真は夏至のくだもの、 . . . 本文を読む
こちら k-603.
加奈はこのままで行ったら何もない人生になってしまいそうなのが怖かった。
かといって、一人で全く知らない道に踏み込む勇気もなかった。
留学の経験を活かして家でフランチャイズの英会話教室を開いてみたが、小学生相手ににぎやかに過ごすのが自分の性に合っているとは思えなかった。
五週目の教室は休みだったので、その日の夕方、加奈は一人で南口の地下街に出かけてみた。
人混みの中にいると . . . 本文を読む
こちらk-603. 秋のたけのこ。
孟子は自分を大切に育ててくれた母親が病の床で筍が食べたいというので、雪が積もった真冬だというのに、野山に探しに行きました。その親を思う気持ちにほだされて、筍が雪の中から顔を出したといいます。 これは、冬のたけのこ。
竹の秋 という春の季語があります。晩春に竹の葉が黄ばみそれがかぜに舞います。ほかの植物が緑を盛んにしているときに、いかにもあわれを感じさせます。
. . . 本文を読む
こちらk-603. かつらの木と少女
いなかの学校の裏門のわきに、小川が流れていた。
そこに一本の大きなかつらの木があった。
その木のうしろに少女が立っているのを見つけたのは、
10月の、ちょうど今ごろだった。
ぼくは、一人で家に帰るのがすきだった。
石をけりながら。
ある日、石が小川に落ちたとき、川面にきいろい葉が流れているのを見た。
色づいたかつらの葉が、何枚も流れてきた。
たどっていく . . . 本文を読む
こちらk-603. いま本州に近づいている台風20号がすぎると、秋が深まる。
すると、すてきな季節がやって来る。
小菊の花が咲く。
わたしはこの小菊のかおりのしずかな風の中で、
その花々をとびかう虫の羽音を聞いているのが好きだ。
ふくよかなにおい、やさしいただよい。
セロのA線をかすかに弾く音。
止まっていることが、こんなにも美しいものだと
感じさせてくれる深い秋が、
もうすぐ、やって来る。
. . . 本文を読む
こちらk-603. 海をみていると落ち着くという人がいる。
その詩人は、
海を目の前にしてじっとしていると妙に人間としての濃度が薄まってくる、という。
わかるような気がする。
山に入って谷を隔てた向こうの山のうねりを眺めていると、
いのちを奮い立たせるものを感じる。
深く緑に覆われた木々、岩肌にやどるしずかな<時>。
あしたは海にいこう。
そして
山にむかおう。
. . . 本文を読む
こちらk-603。 連句をご存知でしょうか?
ここに 一冊の本があります。東 明雅 著 「夏の日」、30年も前に著者からいただいた大切な一冊です。この題は 芭蕉の 「冬の日」 から とられました。
連句には 型 があります。
今はその型は横において、次の句の連なりを味わってください。
ヘアピース取れば若妻少女めき 玄一郎
滝にかかりし円光の虹 明 雅
連句は詩のオ . . . 本文を読む