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岩井俊二初期作品集 initial #1
1991
岩井俊二


多分、この人がいなかったら今の自分はいないであろう、2番目に影響を受けている方の初期作品集が出ました。
このDVDが出るということを聞いたときに「もしかしたら岩井俊二は死ぬのか?」とも思ったのですが、多分大丈夫なんだと思います。

ところで、本DVDに収録されている2本。痛々しいです。深夜系。テレビって懐深いなぁと思った次第です。
勇気づけられました。「あの岩井俊二にもこんな時代もあったんだな」と。当時28才。
以前観ていたテレビ用作品では「ルナティック・ラヴ」くらいしか観ていなかったのですが、あれは大オチ系。面白かったです。ありゃ凄い。またゆくゆく観ますが。

岩井俊二といえば、ソフトフォーカスでもないのに淡い色調と煙まみれな映像。ホントに当初から一貫しています。自分の撮りたい画が完全に分かった上で撮ってる。でも初期ではカメラワークがまだカメラマン任せなところが見える。
その後のテレビドラマ界に影響を与えすぎたF(フィルム)効果は最初から相当なこだわりがあったんでしょうか。
ちなみに、私のAfterEffectsを駆使してのオリジナルF効果には自信があります。何でもない素の映像を「なんか、良い味」にしてみたい方はお試しを。でも、やっぱりフィルムが良いなぁ。70mmで撮ってみたいなぁ。

話を戻しますが、ストーリーと明らかにマッチしてないサントラもこだわりの産物なんでしょうか。
この辺の違和感を上手く使ってるのは分かるのですが、やはり初期の最高傑作は「打ち上げ花火、横から見るか?下から見るか?」に間違いないと思います。ストーリーの緻密さ、そのストーリーにマッチした画、ハズしているわけがないサントラ、カメラマンの入魂っぷり、役者の入りっぷり。
そう考えると「テレビでこれやっちゃうの?」というエッジが効きまくりの「打ち上げ花火~」は最高傑作かも知れません。未だに月に1回は観ます。毎回なずなとノリミチのプールでのシーンは涙で画面が見えません。


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蘇える金狼
1979
村川透


先日観た殺人遊戯があまりにも無感動で感想も書かなかったので本作もあんまり期待しないで観たところ、意外とイケル。
ストーリー自体は5段オチみたいで、ひとまず劇映画として2時間消費するための延命治療的な脚本だったのですが、所々で優作節(本人比)が冴えてます。
終盤のキ○ガイばりの部屋をサルのように飛び回るシーンはなんか下手なアングラ芝居を見せられているようで辟易でしたが。
バブル前夜な社会背景で完全に浮いている優作節が良い感じです。

しかし、同じ村川監督なら「あぶない刑事」のファーストシリーズくらいのコンパクさに1カットだけキメがあるというスタイルの方がお気に入りです。

たまに、村川監督と村西監督を混同している方がいるようです。どちらも偉大な監督ですが、混同すると人格が疑われるので知った上でお話ください。

余談ですが、"蘇える"の送りがな間違ってませんか?多分、"蘇る"だとおもうのですが。この"え"の意味を知っている方がいたら教えてください。

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