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映画【アンテナ】

2006-07-01 03:59:20 | 映画
アンテナ
2003
熊切和嘉


好きとか嫌いとか関係なく引き込まれました。
この力源が主演の加瀬亮さんなのか、熊切監督なのか、田口ランディなのか判別不能ですが、多分、原作も良かったんだろうし、熊切監督はなにがなんでもだし、加瀬さんは何の話なのか全く分からなくなるほどのワンシーンで燃焼しています。

なんだか、ちょっと映画が分かった気がします。
以前、自主制作の映像を撮って偉いプロデューサーさんに無理矢理送りつけて帰ってきたコメントが「あのとき、ああであってほしかった、と言う感覚が伝わってこない」ということを言われ、それをディテールがカタルシスなファンタジーを求めている事だと今までずっと勘違いしていました。

しかし、それはそう言うことではなくて「そうであって欲しかった」というのはそのプロセスのつながりこと。映画にとって結果はまず最初にありきで、そこに至るまでをどう構築するかということだったのですね。
「彼と彼女が出会って生まれた子供が大人になって世界を救う」なんてことは誰にでも書けるし、それに向かうただのなれ合いモノなんてどうでもいいです。
一つの結末が、誰かが死ぬというとんでもない悪いことであったとしてもそれに至るまでの過程をどう描くか。それをリアルにプロセスとして追うい、その物語を抽出するか。そこが映画だということがやっと分かりました。
起こってしまった出来事の積み重ねの結局がその結末に至るというとても簡単なことです。

どんな些細な結末でもいい。
この映画は決して些細な結末ではないですけど。
映画って凄いですね。
自分の馬鹿さ加減が分かりました。