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本【進化しすぎた脳】

2004-12-07 02:12:43 | 本読み
進化しすぎた脳
2004
池谷裕二


先日こちらで紹介した「海馬 脳は疲れない」の池谷先生の本です。続編のようなノリで読んでみました。
こちらの方は高校生へ特別授業を行った際の議事録の様な形で記されていますが、ほぼ「海馬~」と同じスタイルです。理系の生徒を相手にしているため、やや専門的なワードもチラホラ。でも、十分に理解できるようにかみ砕いています。

「海馬~」よりも理科的な話しが多いので、嫌いな方はいらっしゃるかもしれませんが、数字と例により、最終的に収まるところは、全作よりもより深いところまで入っているように思います。
「海馬~」と併せて読むことを強くオススメいたします。
こちらだけでも十分に面白いお話ですが、おそらく、あの対談があって今の池谷先生もあるはずです。脳は経験と記憶だと本人もおっしゃっていますしね。

脳の仕組みというのを研究している本人が「分かってたまるか」と言い切ってしまう。その気持ちって良いなぁ。

見るということの大部分は脳が決定している。脳の機能は身体がつくり、その体は環境が作る。脳にあると言われる心は言葉が作り、言葉は経験から発生する。
より多くのモノを見聞きすることが必ずしもよい結果をもたらすわけではないと言うことは今までも承知していましたが、ある程度の感覚がない限り経験から良いものを生み出すと言うことは難しくなります。
100冊本を読んだ人と10冊本を読んだ人との違いは、読んだ本の数ではなく、それを含めた経験と記憶から発生するだけで、それは要因の一つでしかなく、人によって比重は随分違うはずです。
私と皆さん個々人が、それぞれ違う思考を持ち、全く違う言葉を発するのも今ではきっちり理解できます。
だって、そう言う仕組みだもの。
「興味があるもの」というのが、必ずしも必要に迫られ知識を吸収するためのものではなく、関わり合いから生まれるのが全うだな、なんてことを大発見のように思いました。
それを言語化するまでもなく脳は勝手に意識を創り出して心の舵をとっているようです。
やっぱり、脳って凄ぇ。

ここまで分かればあとは自分で考えてみましょうか。
最近、その脳のプロセスに気を取られすぎてしまい、何かを考える際にもその道筋をたどってしまい、そこにある経験したことばかりに向かってしまいます。
結論がなかなか出てこない。
突然奇抜なアイデアって出ないものです。何かと何かのエッセンスを抽出して何かを生み出すために、そこに何某かの他者の介在があったとしてもボフッと出ちゃったりすることって無いんでしょうね。準備が必要です。