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絶望の沼に墜ちる可能性は誰にでもあることを知っておかなければならない日本社会。

2023年09月30日 23時55分55秒 | 社会・経済
僕はこの事件の背景を知った時、涙を流さずにはいられませんでした。
そして同時にこの最悪な結果に陥る前に、何らかのわずかばかりでも希望を伴ったブレーキがかかるきっかけはなかったものか?と考えました。

約20年間の娘さんの入院に関しては夫婦二人で何とか希望を持って対応できていたのでしょう。しかしさらに奥さんまでもが入院してしまって旦那さんは一人で成す術をなくしてしまったように見えます。
近所付き合いも断ち、別のニュースでは行政にも相談している記録もなかったとのことですから、おそらく「他人様に迷惑をかける」のを何よりも避けたかったのでしょう。
しかし、そこにはもう「絶望」しか残りません。
別のニュースでは旦那さんが病院へ向かうために家を出る時、しみじみと自宅を眺めていたそうです。おそらく長らく暮らしきた思い出深い二度と戻ることのない家。
そして娘さんも奥さんも胸を一突きで臓器に達する傷だったことから強い覚悟を感じます。二人を苦しめたくなかったのでしょう。最後に自分自身も奥さんのベッドの横で自死。

ニュースで言われているところの介護負担も含め、病院がこの家族のケアにどこまで介入していたのかはわかりません。
また別のニュースでは長男さんがおられたようなことも聞いており、どのような関係性だったのかなどもわかりません。
もちろん経済的に裕福だったのか貧困だったのかもわかりませんが、どちらにしても、仮に本人の意思でこの絶望的な結果を一度は選んだとしても、どこかの段階でこの最悪な結果になる前にブレーキがかかることはまったくなかったのだろうか?と思うのです。
つまりこの3人が生き続ける術はなかったのか?
こんな悲しい人生の終わり方しかなかったのか?

もし本当にブレーキが何もなかったのだとしたら、僕はそれは日本社会の欠陥だと思います。さらにブレーキがあってもそれが働かなかったのであれば、社会保障や福祉というものがこの日本社会では機能していないと思うのです。

もちろんだからといって人を殺めることが許されるわけでもありませんし、そのこと自体は非難されなければいけない。
しかし、事件は現実として起きてしまった。
ということは、この旦那さんが事件を起こす前の追い詰められた「絶望」に日本社会に住んでいる誰もが陥る可能性があることを示しています。
つまり旦那さんにとって奥さんが病に伏したことによって状況が一変した。それは想定されたことかもしれませんが、その想定に対して備える余裕がなかったとしたら、もうその先は…。
あらゆる想定にすべて自ら備えることなんて不可能です。
明日は我が身。

何度も書きますが、僕はこの事件を肯定しませんし仕方のないことだと思いません。
人を殺めることはダメなことですが、それ以上に同じ日本社会に生きる人間として考えなければならないことがたくさんあるように思います。

まず、警察でこの事件の背景は調べ上げるでしょう。
それに対してマスコミはその背景を徹底的に取材し報道しなければならないでしょう。特に先ほども触れたブレーキがない、機能していなかったのであればそれは大きく取り上げなければなりません。日本社会のマスコミとして。
さらに、それをうけて政治・行政が仕事をする。つまり社会保障や福祉と言われる部分での欠陥があれば改善し、機能していないのであれば制度を変更したり足りなければ予算を増やし人員を増やす。
そして結果として改善や充実があったか社会・世論が検証する。

この一連の流れが必要な時にちゃんと起こることが大切です。必要な時にこの流れが起こらなければ、それもまた日本社会の欠陥。
その欠陥を指摘する世論が起こらなければ、またそれも欠陥です。
ジャニーズ性加害問題の時のマスコミの沈黙と似たことを書いていますが、もちろんそれは日本社会の共通の問題だからです。

このまま他人事のようにこの事件がマスコミに「消費」されるのであれば、いつまでも同じようなことはおきるでしょうし、絶望の沼に墜ちる可能性は誰にでもあることを知っておかなければならない日本社会のままなのです。

関連リンク。========

注:この記事のタグ「#news:“家族○害”の背景に浮かぶ介護負担「世間と付き合いがなくなった」妻の入院後に…静岡・病院…」について、「“家族○害”」と一部伏字にしているのは、「“家族殺害”」にすると規約にひっかかるためか更新できないためです。
本来は、「#news:“家族殺害”の背景に浮かぶ介護負担「世間と付き合いがなくなった」妻の入院後に…静岡・病院…」です。

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