神が宿るところ

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姥御前神社(三湖物語 ・その4)

2016-12-24 23:21:28 | 神社
姥御前神社(うばごぜんじんじゃ)。
場所:秋田県山本郡三種町芦崎字芦崎308。八郎潟の西部承水路の西岸、「男鹿街道」沿いの地域コミュニティセンター「せいぶ館」の裏手(西側)。駐車スペースあり。
「三湖物語」の続き。「七座山」の天神(「七座神社」:2016年12月10日記事参照)により米代川からも追い出された八郎太郎は、川を下り、現在の秋田県山本郡三種町天瀬川にたどり着いた。そこで、親切な老夫婦(爺と婆)に一夜の宿を借りることができた。そして、自分が龍であることを告げ、明朝、鶏が鳴くと同時に大地が割れ、大きな湖に変わることを話した。老夫婦は驚きながらも、その話を信じ、荷物を纏めて、鶏が鳴く前に逃げ出した。しかし、婆は裁縫道具を忘れたことに気付き、家に取りに戻ろうとして、溺れてしまった。それに気が付いた八郎太郎は、婆を天瀬川の反対岸に当たる現・三種町芦崎まで尾で弾き飛ばした。こうして、八郎太郎は「八郎潟」の主となり、爺と婆の命は助かったが離れ離れとなり、後に、爺は天瀬川の南にある「三倉鼻」(現・秋田県南秋田郡八郎潟町)に「夫殿大権現(おとどだいごんげん)」として、婆は芦崎に「姥御前神社」として祀られるようになった。因みに、この両地区では鶏は飼わず、鶏や卵も食べなかったという。
さて、「夫殿大権現」の洞窟(岩屋)は「三倉鼻」と呼ばれる丘の麓にあるが、ここはかつて海に突き出した岬で、洞窟は波の浸食作用によってできたものという。縄文時代には住居として利用されていた痕跡もあるらしい。また、古代には、ヤマト政権の勢力範囲の北限がこの辺りだったとされている。洞窟の中には「夫殿大権現」と「八竜大権現」の小祠が祀られているが、「夫殿大権現」の祭神は足名槌神であるという。一方、「姥御前神社」は神社本庁に加盟する神社となっていて、現在の祭神は手名槌神。因みに、「八郎太郎」は「大潟神社」に祀られている。現・秋田県南秋田郡大潟村は昭和39年に八郎潟の干拓によってできた村なので、元々は神社は無かった。そのため、昭和53年に「大潟神社」が創建されたのだが、祭神は、農業の守護神として天照大神と豊受大神(「伊勢神宮」の祭神と同じ)を奉斎するとともに、「八郎太郎大神」も合わせて祀られることになった。八郎太郎は、土俗信仰の神であり、こうした神が神社本庁包括下にある神社において祀られるのは極めて珍しいとされている。


八郎潟町のHPから(夫殿の岩窟)

秋田県神社庁のHPから(姥御前神社)

同(大潟神社)


写真1:「夫殿大権現」(場所:秋田県南秋田郡八郎潟町真坂字三倉鼻。国道7号線沿い、八郎潟町と三種町の町境付近。駐車場なし)


写真2:同上、洞窟(岩屋)。


写真3:「三倉鼻」の台地上から見る「八郎潟」


写真4:「三倉鼻」台地上にある正岡子規句碑。「秋高う 入海晴れて 鶴一羽」


写真5:「姥御前神社」


写真6:同上、社殿


写真7:「大潟神社」(場所:秋田県南秋田郡大潟村字西1-12-2。「道の駅おおがた」から秋田県道42号線(男鹿八竜線)を南に約350m、交差点を左折(東へ)、次の交差点を左折(北へ)すると参道入口。駐車場有り。)
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