
2006年6月5日投稿分__
カラヤンが1989年に亡くなった時、遺産は 120億円 と報じられました。 えっ たったの ... という感覚でした。 バーンスタインは1950年代に「ウェストサイド」の作曲だけで 55億円 の収入がありました。 20年ほど前、(「黒い瞳のナタリー」などで知られる) スペインのポップス歌手フリオ・イグレシアス Julio Iglesias は、絶頂期の一年間だけで 400億円 の収入がありました。
__ などなど、ざっとポップスの人気はクラシックの 20倍と見ていますから、トップエンターテイナーはそれに比例した収入があるでしょう。 400億円 も稼いでしまったら、もう一生遊んで暮らせる。 その後、イグレシアスの声を聞かなくなったのは引退したからでしょうか。
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人間、金持ちかどうかは死んだ時に決まる。 それまでにいくら使ったかどうかで、いくら残したかどうかではないでしょう。 死んだあとは、その死が惜しまれるかどうかでも判断できます。
最初の職業作曲家といわれるベートーヴェンは、葬儀の時にのべ3万人もの人が駆けつけました。 ヴェルディの葬儀の参列者は、25万人でした。
モーツァルトの葬儀の参列者は __ 恐らく殆どいませんでした。 どこに葬られたかもわかっていません。 今のモーツァルト人気からすれば、参列者の人数でも尺度になりませんが。
作曲家の人気も時代とともに変わるから、現代の評価も永遠ではありません。 今 盛んに演奏されている音楽は、せいぜい300年前から それ以降の作曲者によるものです。
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ベートーヴェン以前の作曲家は、職業として成り立っておらず、王侯貴族たちの使用人で、料理係りや馬具係りと同じ扱いでした。 王侯貴族に所属して、彼らの求めに応じて、作曲したり演奏したりしていましたから、とても大金を稼ぐなどとは考えられませんでした。 モーツァルトはその典型で、ザルツブルク大司教のタダのお雇い作曲家でしかありませんでした。
現代は著作権で守られていますから、版権使用料や演奏 CD で大金を稼ぐことが可能になりました。 カラヤンの生前の活躍ぶりから、遺産はその十倍あってもおかしくはありませんでした __ 私も数十万円を LP/CD/LD に投資しましたが、足りなかったようです。
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フリオ・イグレシアスに話しを戻しますが、彼の CD 曲集を聴いていると 共通のことに気づきます。 それは伴奏オケの編曲がうまく 聴きやすいのです。 恐らく 専属のプロデューサーがいて、編曲と楽団を束ねているものと想像します。
この優秀な編曲と楽団がなければ、フリオ・イグレシアスはタダの “甘い声のポップシンガーの1人” に過ぎません。
というわけで、全て同じような編曲と伴奏になるので、数曲聴くと 私は飽きが来てしまいます。 でも殆どのファンにはそうは聴こえないのでしょう。 ですから 3億枚も売れたのです。
以上 ヤッカミ男のぼやきでした。