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シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

いい音の絶対的尺度はない

2025年01月24日 | 音楽界よもやま話
左から※1より。 べルリン・フィルを指揮するカラヤン (NHKホール 1973年)。
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世界最高峰のヴァイオリンとよくいわれる「ストラディヴァリウス」。 でも 楽器を見ずに 音だけ聴くと、違う楽器の方がいい音だと感じてしまうという話しはよくあります。 そう感じるのは、プロアマ問わずです。
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ブラインドテストを実施したところ、プロのヴァイオリニストたちはストラディヴァリウスよりも現代のヴァイオリンの音に高得点を付けました __『プロ演奏者10人で格付けチェックしたら …「ストラディヴァリウス」に現代のヴァイオリンが勝利してしまう』(1月20日 らばQ ※1)
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なぜそうなるのでしょうか? これはいい音を判断する基準が、物理的な尺度ではなく、 “感性” である事を示していると思われます。

美人・不美人の尺度だけで結婚相手を選ぶ人よりは、それに加えて “自分に相応しい人” を選ぶ人の方が圧倒的に多いものです (もっとも 結婚は人生一度きりではなく、何度も結婚できますから、何度も結婚・離婚を繰り返す人もいますが)。

目の前に どちらも同程度の素晴らしい音が出る ストラディヴァリウスと無名の現代ヴァイオリンがあったとします。 前者が一億円、後者が一千万円の価格とします。 手持ちの金が一億円以上持つプロのヴァイオリニストはどちらを買うのでしょうか?

私は、プロのヴァイオリニストは一億円で前者を買うと想像します。

なぜなら “あの有名な” ストラディヴァリウスを保有する満足感と、無名の現代ヴァイオリンを保有する満足感が違うからです。
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また ヴァイオリニストが自分の演奏会に持って行ってストラディバヴァリウスを弾くのと、無名の現代バイオリンを持って行って弾く場合を仮定します。 演奏者は全く同じ演奏技術で弾くと思います。 ですから出てくる音は、”どちらも素晴らしい音” のはずです。 ところが聴き手・聴衆はどう聴くのでしょうか。

「あのヴァイオリニストが弾いてるのはストラディヴァリウスだよ」と思って聴くのと、「あのヴァイオリニストが弾いてるのは無名の現代ヴァイオリンだよ」と思って聴くのとでは、聴き手の “満足感” が違うと想像します。

「やはり ストラディヴァリウスの音色は素晴らしい」なのか、「無名の現代ヴァイオリンはストラディヴァリウスのよりも素晴らしい」となるのでしょうか?

前者が9割、後者が1割になると思います。 なぜそうなるのでしょうか? これは、この世界で “神話” が既に出来上がってしまっているからなんです。
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私は半世紀前の1973年に カラヤン ベルリン・フィル (BPO) の実演を、渋谷の NHK ホールで聴いた経験があります。 演奏前のホール・客席では 聴衆の期待が熱気のようにぶんぶん渦巻いているのを感じたものです。

いざ カラヤンが登場すると盛大な拍手が沸き起こります。 演奏が終わると、登場時よりも更に大きな怒涛のような拍手がワーッと沸き起こったのを感じました。

これを、たとえば カラヤンが急病になり、代わりに “無名の指揮者” が登場して、BPO は直前までカラヤンが付けていた練習通りの演奏をしたと仮定します。

聴衆はどう感じるでしょうか? 「カラヤン指揮のと同じ 期待通りの素晴らしい演奏だった」のか、「カラヤンほどではないが それでも素晴らしい演奏だった」のでしょうか? 私は前者が1割、後者が9割だと思います。

これも “神話 (先入観・思い込み)” が既に出来上がってしまっているからです。 御大は BPO 指揮者就任1955年以降 亡くなる1989年まで “この神話” をほぼ維持しました。

今日はここまでです。

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