ジークフリート・イェルザレムの『the glory of love』(polystar 1996年)
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ワーグナー歌手 イェルザレムが歌った唯一の (?) ポップス CD があります。 アルバム名の「the glory of love」ほか13曲が収められています。
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ジークフリート・イェルザレム (Siegfried Jerusalem 1940~) は、ドイツ出身のテノール (ヘルデンテノール) 歌手。 ドイツオペラ、主にワーグナーを中心に歌う (※1へ)。
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56歳の時の録音ですが ヘルデンテノールだけあって、力強い歌唱です。 ミュンヘン・フィルを中心としたバック・オーケストラに負けない歌いっぷりはさすがです。 カバー曲は少なく、プロデューサーのローラント・ヘックとゲルト・ケーテのオリジナル曲が多いようです。
中にはロドリーゴの「アランフェス」ジェニファー・ラッシュの「パワー・オヴ・ラヴ」といったお馴染みのメロディも含まれています。 多くは魅力的な歌なんですが、編集がポップスらしい残響が強く、なんだか “イェルザレムのカラオケ“ を聴いている気分にもなってきます。 Hugo Boss マークがあるから、スポンサーかも知れません。
恐らく ポップス系の編集者が、音質をゴージャスなものにしようと張り切って残響レベルを大きくした結果なんだろうと推理します。 クラシック系のワーグナーを歌うイェルザレムを聴き慣れた私には残念な CD となりました。
というわけで ドイツ系のクラシック歌手が歌うポップスって、どこか垢抜けしていないアルバムが多いですね。 スペインのドミンゴやカレーラス、イタリアのパヴァロッティなどのラテン系の歌手の方が受けるように感じます。
今日はここまでです。
※1 __ 元はシュトゥットガルト放送交響楽団のファゴット奏者だったという、歌手としては変わり種である。 1975年 ユニテル映画「ジプシー男爵」の撮影直前に主役 (バリンカイ役) のフランコ・ボニゾッリが失踪したため、バックを務めていたシュトゥットガルト放響から急遽代役を志願、指揮者クルト・アイヒホルンの眼鏡にもかない、この高音も多い難役を務めおおせる。 同年にはシュトゥットガルト歌劇場にて劇場デビューする。 この歌手への転身は、イェルザレム在籍当時に同オーケストラの指揮者であったセルジュ・チェリビダッケの示唆があったという。
1980年代中盤以降は ルネ・コロやペーター・ホフマンとともに、あたかもドイツオペラにおける三大テノールといわんばかりの活躍ぶりであった。 ホフマンがパーキンソン病に倒れ、コロが負担の大きいワーグナー・オペラから徐々に身を引いていった後も、ワーグナー上演を支え続けた。
CD 収録曲
1 The Glory Of Love
2 Can You Feel The Love Tonight
3 Burning Hearts (Fiamme D'Amore)
4 Aranjuez
5 Love Changes Everything
6 Bridge From Heart To Heart
7 Lost In Paradise
8 Free Like An Eagle
9 The Power Of Love
10 Hold Your Dream
11 The Winner Takes It All
12 We're Not Alone
13 The Neverending Love