左から「さすらう若人の歌・ 亡き子を偲ぶ歌」(EMI)、「さすらう若人の歌・ 亡き子を偲ぶ歌・リュッケルト・リーダー」(DG)、「さすらう若人の歌、リュッケルト歌曲集・若き日の歌」(Sony)。
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稀代のバリトン歌手フィッシャー=ディースカウの 50年代の録音 CD を聴きました。 元々 60年代の DG 盤を保有していたので、聴き比べたら、殆ど同じ歌唱でした。
「… 若人の歌」はフルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管 (1952)、「亡き子 …」はケンペ指揮 BPO (1955) で、ドイツ・エレクトローラによる “ブライトクランク・ステレオ” 盤 (擬似ステレオ) とあります。 後者はオリジナルがステレオ録音かどうか、はっきりしません。 1955年というと、ちょうどモノからステレオへの切り替わり時期だったのです。
フルヴェンはステレオ録音の普及前に亡くなったので、フルヴェン盤は全てモノばかりです。 60年代に 一時期 フルヴェンの擬似ステ盤が EMI や DG から何枚か発売された事がありましたが、受けが良くなかったのでしょう、暫くすると市場から消えてしまいました。 擬似ステについては、ブログ『ふと、擬似ステについて考えた … (http://boukyaku.asablo.jp/blog/2010/02/13/4877257)』に載っています。 ご参考まで。
「若人の歌」の録音品質は?というと、ほんの少し割れ気味ですが聴きにくいというほどではありません。 録音当時 27歳のディースカウですが、立派な歌唱だと思います。
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DG 盤の「若人の歌」はクーベリック指揮バイエルン放管 (1968)、「亡き子・リュッケルト・リーダー」はベーム指揮 BPO (1963) です。
DG 盤には EMI 盤に加えて リュッケルト詩による歌曲4曲が追加されています。 普通リュッケルト詩による歌曲集は5曲なのですが、これは1曲欠けています。
なぜなのかと思って調べたら、「マーラー自身がオーケストレーションしたのは5曲中4曲のみで、”美しさゆえに愛するのなら” のオーケストレーションはマーラーによるものではない」(ウィキから) ので、指揮者のベームかディースカウの希望でカットしたのでしょう。
38歳・43歳の時の録音で、録音品質は申し分ないものです。「若人の歌」の録音は、クーベリックがマーラー・シリーズを録音中で、その中のどれかの1曲の LP 盤のフィルアップだったと記憶します。
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未聴ですが、バーンスタインのピアノ伴奏で歌曲集を1968年に録音しています。「若人の歌」と「リュッケルト歌曲集」は同じ4曲、「若き日の歌」からは11曲です。 これから、リュッケルト歌曲から1曲カットを主張したのはディースカウだと類推します。
この数年前に VPO と録音した交響曲「大地の歌」(DECCA ) があんまり素晴らしかったので、マーラー録音を追加したのではと想像します。 ちなみに ディースカウは60年にもクレツキ指揮フィルハーモニア管とも「大地の歌」を EMI に録音していますが、こちらはあまり話題にならないようです。 どちらも立派な歌唱です。
左からクレツキ指揮フィルハーモニア管 (60)、クリップス指揮ウィーン響 (64 未聴)、バーンスタイン VPO (66)。
今日はここまでです。