シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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擬似ステのフルヴェン盤もあった

2023年01月24日 | オーディオの今は
左から メニューインのブラコン、ブログ『フルトヴェングラーの「運命」:独グラモフォンの疑似ステレオ盤』(https://emuzu-2.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-cd78.html) から拝借した画像。 LP レコード バッハ「管弦楽組曲第3番 他」フルヴェン・ステレオ盤の画像。
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メニューイン (Vn)、フルトヴェングラー指揮ルツェルン祝祭管による「ブラームス ヴァイオリン協奏曲」の EMI 盤 (冒頭左) を聴きました。 1949年のスタジオ録音で、“ブライトクランク・ステレオ“ との表示があります。 擬似ステレオ (後述) のことですね。

添付解説には エレクトローラが開発した エレクトローラ・ブライトクランク … うんぬんとありますが、意味がよく解りません。 恐らく独 EMI (エレクトローラ) の担当開発部門長がブライトクランクさんだったのでしょう。

しかも この CD には “HS-2088“ マークも付いています。 これは CD へ落とす前の編集処理段階で 20bit/88kHz システムを使っているという触れ込みで、「原音 → 擬似ステ化 → HS-2088 → CD 」で、こうなると もう何が何だか私には理解できません。

当時33歳のメニューインは元気に弾いています (カデンツァはクライスラー)。 ただ 音圧の大きいオケの場合は収録された総奏音が潰れています。 また第2楽章冒頭では 主旋律を吹くオーボエ以外の管楽器の音 (特にホルン?) が大きすぎて、音が全体に被りすぎに聴こえます。 全曲を聴いて (フルヴェン・ファンには悪いですが) ブラコンの取り上げるべき名演奏の1枚とは私には思えません。
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1960年頃からステレオ LP が発売され始め、初期は 同じ音源をモノーラル LP とステレオ LP で同時に併売され、数年経つとステレオ LP 全盛となり、モノ LP は姿を消してしまいました。 つまり新録音ばかりの発売になり、旧モノ録音は出なくなりました。

フルトヴェングラーはステレオ録音が普及する前に亡くなったので、当然 モノーラル LP でしか発売されませんでした。 レコード会社の企画部門は頭を絞ったのでしょう、 往年の売れ筋だったフルヴェン音源を “ステレオ LP として発売“ できないかと。

そこに エレクトローラが開発した擬似ステレオ処理システムがあり、これを “ブライトクランク・ステレオ“ と称して発売したら、そこそこ売れた (?)。 そこで フルヴェン音源を保有し、対抗するグラモフォンも “ステレオ化処理した“ LP で発売したのだろうと推理します。 けれど70年代には 擬似ステは無くなりました。 期待ほど売れなかったか、マニアの関心が他に移ってしまったと思います。

というのも オーディオ界では70年代前半 4チャンネル音場録音・再生システムが提唱され始め、これが数年で早くも消え去ると、次には70年代末頃からデジタル録音のアナログ LP 盤が出始めますから、擬似ステなど全く話題にも登らなくなってしまったのです。
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シロウトの私が考えても、擬似ステレオは幾つか問題があります __

先ず オリジナル録音の楽器の配置と、擬似ステ処理された楽器の音の配置が同じではなく、処理システムの決めた音の配置となっていることです。

そして 遅延させる方法だった場合、オリジナルの演奏とは違うものになります。

また 例えば、左チャンネルをハイロー減衰して中音域を大きくし、右チャンネルで中音域を減衰してハイロー音域を大きくして処理すると、いかにも左はヴァイオリンらしく、右は低弦と管楽器らしくなりそうですが、普通のオケ配置に聴こえるかどうか疑問です。

そして オリジナル・テープ (1) を再生して、処理システムを通し、出来上がったターゲットの音を記録するのも また磁気テープ (2) ですから、 (1) (2) のテープ・ノイズや歪みが積み上がって、原音の音楽以外のものが増えてしまうのは避けられません。

もしもフルヴェンが存命していて、自分の指揮した音源の擬似ステを聴いていたら、何というでしょうか __「これこそ私の指揮した演奏だ」というか、それとも …

というわけで、原音がモノーラルなら、処理せずにそのままモノで聴くべきと思いました。 今は この考え方が一般的で、あえて擬似ステを求めるマニアは最早いないでしょう。 擬似ステはいじり過ぎで、モナリザがピカソになったようなものかも知れません。


ダ・ヴィンチ「モナリザ」とピカソ 「ドラ・マールの肖像」
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ウィキペディアから __ デュオフォニック (擬似ステレオ) とは、1950~70年代にリリースされたモノラル録音のステレオ化にキャピトル・レコードが使用するオーディオ信号処理の名前である。

キャピトル・レコードは、ステレオレコード盤を増産するために疑似ステレオを発売した。 キャピトル・レコードは「DUOPHONIC – For Stereo Phonographs Only」というバナーを使用した。 キャピトル・レコードは1961年6月にこのプロセスを開始し、1970年代まで続けた。 キャピトル・レコードからリリースされたモノラル録音のビーチボーイズやフランク・シナトラの LP は上記の手法でステレオ化された。

しかし 一部の疑似ステレオ音源はキャピトル・レコードの保管庫で正規のステレオ録音と混合され、1980年代と1990年代を通じて CD で再リリースされた。
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今日はここまでです。

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