シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

政治問題化してきた (また?) 半導体製造

2023年01月26日 | テクノロジふ~ん
左は半導体製造装置メーカー “御三家“。 中央は数十個の回路を形成した半導体ウェハー。 右はその半導体の1つをパッケージに封入した例で Intel celeron CPU。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
数年前から続く米中貿易摩擦ですが、その中でも 特にハイテク関係の半導体サプライチェーンにその影が及んできています。

30年前にも日米貿易摩擦が浮上し、標的となった日本の半導体製造が骨抜きにされました。 その結果は皆さんもご存知の通りです。
………………………………………………
半導体は様々な電子機器に採用され、採用しない電子機器製品は皆無といってもいいほどです。 ざっくりした話しで 世界の年間電子機器市場 三百数十兆円のうち、約2割の 70兆円が半導体市場で、そのまた約2割の十数兆円が製造装置市場ともいわれます。

現在の電子機器市場の構造は、最先端機器の開発設計が米欧日・製造が中国ほかの発展途上国、最先端以外の設計製造は中国ほかの発展途上国が殆どといっても過言ではないでしょう。 従って 中国が電子機器を製造し、輸出する額は巨額な規模になります。

電子機器に組み込まれる半導体市場の構造は、最先端半導体の開発設計が米欧韓・製造が米欧韓台に対し、最先端以外の設計製造は米欧韓台日中とバラけています。

半導体製造装置に関しては、殆ど全てが最先端装置となり、米欧日がほぼ独占的に開発設計製造を行なっています。 中国は最先端ではない半導体を製造していますが、そのためにも米欧日の製造装置が必要です。
………………………………………………
世界中に巨額の電子機器製品を製造輸出する中国は、一方では 世界の半導体市場の4~5割を消費 (多くは輸入) します。 それは中国の原油輸入額を上回る巨額なもので、中国は半導体自給率を高めるため 製造を強化する方針を立てました __ 中国の半導体の自給率を2020年に4割、2025年に7割に引き上げる、という 2015年に策定した「中国製造 2025」です。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
『中国政府、国内半導体企業の支援に約 19兆円を投じる計画か』(2022年12月22日 36Kr Japan ※1) __

『政府が掲げた中国半導体2025年目標、達成可能性はある?』(2022年4月8日 日経XTECH ※2) __ 2021年の中国の半導体自給率は 15% 程度だったようで、しかも そのうち 9% が外資系の工場が作ったもの。 つまり純粋な中国企業が作った半導体は総需要の 6% … “2025年までに自給率7割“ の目標達成はもう 100% 不可能でしょう。

『激化する米中 “半導体戦争“ 最先端チップ開発を急ぐ中国の焦り』(2016年12月12日 Forbes Japan ※3) __
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
世界中に雑貨品・中低級品を大量に輸出する中国は、資金は豊富ですが 早くいうと 7年前に策定した目標達成は困難なものとなっています。 有り余る資金を投じても 半導体の製造はそうそう計画通りにはいかなかったのです。

でも懲りずに また 19兆円を投じるぞと息巻いているようですが … 米国が先端製造装置を輸出しようとしたオランダに待ったをかけたのも つい 半年前の事です。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
『米が中国への ASML 装置販売禁止求める、日本にも圧力』(2022年7月6日 Bloomberg ※4) __ 先端プロセスに対応可能な ArF 液浸露光装置の輸出を止める狙いがある …

『米、中国への半導体製造装置の輸出規制強化 - 主要サプライヤーに通知』(2022年8月1日 Bloomberg ※5) __ 今回の新たな規制はアプライド・マテリアルズや ASML、東京エレクトロンなど中国市場に販売する半導体装置メーカーにも影響する可能性が …
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
どんな業界にも “御三家“ があるものです。 半導体メーカー分野では 韓サムスン (21年売上 $75B)・米インテル (同 $73B)・台 TSMC (同 $56B) が “半導体御三家“ と呼ばれ、半導体製造装置メーカー分野では、米アプライド (22年度売上 $25B)・蘭 ASML (21年売上 $21B)・東エレク (21年度売上 2兆円) が “装置メーカー御三家“ と呼ばれます。 特に 装置メーカー3社は、装置市場の約半分を占める 大きな存在です。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
『日本など3カ国との取り決め必要 - 対中半導体輸出規制で駐日米大使』(1月10日 Bloomberg ※6) __ 日本だけでなく韓国、オランダとも取り組まなければならないのは明らかで …

『日本とオランダ、米主導の対中半導体規制に近く参加へ』(1月20日 Bloomberg ※7) __ 3カ国が協調すれば、中国は先端半導体の製造に必要な装置を入手することが極めて難しくなる。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
最先端半導体の製造を目指す中国は、米韓台の半導体メーカーの幾つかの工場を誘致する事に成功しました __ 米インテルの大連メモリ工場 (2010年から稼働 2020年に韓 SK ハイニックスが買収)・米マイクロンの西安工場・台 TSMC の南京工場 (2018年から稼働 12nm/16nm 製品主力)・韓サムスンの西安メモリ工場 (2014年から稼働) などです。

その結果 韓国の代表的な半導体メーカーの生産がどういう状況になっているかというと __「サムスン電子は NAND メモリの 38% を、SK ハイニックスは DRAM の 50% を、NAND の 25% を中国で生産 …」__『半導体戦争で板挟みになる韓国』(1月20日 デイリー新潮 ※8)

サムスンの半導体売上 $75B、SK ハイニックスの半導体売上 $36B のかなりの部分が中国での生産となり、それらは韓国の2021年 GDP 約1兆6000億ドル ($1,600B) から見ても、小さくない割合となっています。

1月10日 中国は、韓国国民の中国訪問用短期ビザの発給を中断すると発表、「韓国半導体メーカーの中国工場を操業停止に追い込めるという (メインテナンス要員の中国入国を拒む) 脅迫カードを中国が手にした」(※8) というわけです。

中国は、包囲網 (米日蘭台韓) のうち メモリ大国の韓国の土手を崩そうとしているのかも知れません。

今日はここまでです。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。