シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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呪われたヴァイオリン (1) ゼノビア

2012年12月08日 | 音楽関係の本を読んで
2006年7月15日投稿分__

「魔のヴァイオリン」(佐々木庸一著 音楽之友社) の中に「呪われた名器チェリーニ」の一章があります。 これを読むといつも肌寒くなるので、猛暑の日の読書にはぴったりです。

16世紀イタリアのガスパロ・ダ・サロの作った楽器は「チェリーニのヴァイオリン」と呼ばれ、現在ノルウェーのベルゲン博物館にあります。 この楽器を手にしたものは、それまで例外なく不幸な目にあっているのです。 その不気味なヴァイオリンのイワレは …
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ヴェネツィアの枢機卿は、1559年のある晩 宮殿の舞踏会に町から呼んだ楽団にいた美少女ゼノビアがヴィオールやリュートを完璧な技術で演奏するのに驚いた。 その舞踏会から数日後 同じ楽団にいた歌手が彼女にしつこくいい寄り、止めさせようとした彼女の祖父を刺し殺してしまった。

この時 彼女のヴィオールを壊してしまい、孤児となったゼノビアを引き取った枢機卿が彼女の才能を伸ばそうと、特別にヴァイオリンをガスパロに注文した。

出来上がった楽器を演奏するゼノビア、それを聞いたガスパロは、自分の作った楽器から美しい音が出るのに驚いた。 更に枢機卿は楽器を美しくするために、フィレンツェの大彫刻家チェリーニに装飾を施すよう依頼した。 ゼノビアは絶え間なく練習し、演奏技術は驚くほど上達、特に重音演奏は素晴しく魅惑的に響いた。

ある日 枢機卿とモデナ滞在中に宮殿に招かれて演奏した時のこと、フェラーリのカンツォーネのテーマを二重音で繰り返す所で彼女は気味の悪い感じに襲われた __ 誰かが彼女のすぐそばで一緒にひいていた。 演奏しながら、何度もあたりを見たが誰もいなかった。

ヴェネツィア郊外の枢機卿の別荘に移り住んだゼノビアは次第にやせ細り、頬もこけ、目だけが大きく輝いているようになった。 特に ヴァイオリンをひいている時は魔法の餌食になっているようで、ガスパロの楽器から魔力が発して、彼女の血を吸い尽くす吸血鬼のように思えた。

ある朝 ゼノビアの部屋からは、いつになく明るいカンツォーネが聞こえてきた。 枢機卿が部屋へ入ると、彼女はひきながら彼に微笑みかけた __ 途端に彼女は崩れるように床の上に倒れた。 駆け寄って抱き上げた時には息絶えていた。 ガスパロの楽器との闘いに疲れ果てたのだろうといわれている。 さて次は … (つづく)
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ウィキペディアから __ ヴィオール属 (Viol Family) は、擦弦楽器に関する括りの一つ。
「ヴィオール (Viole))」というフランス語は、イタリア語のヴィオラ Viola と同様 古くは擦弦楽器の総称であったとの見解もある。 だがこの語は17~18世紀フランスにおいては、イタリア語のヴィオラ・ダ・ガンバと同じ楽器を指した。

「~属 (Family)」 とは、本来 いくつかの音域からなる一つの (同じ構造の) 楽器に用いられる表現である。 しかし今日 実際には、ヴィオールと似ている、あるいは何らかの関係があると考えられる他の擦弦楽器も含めて「ヴィオール属」と呼ぶことが多い。 これは、擦弦楽器の総称としての「ヴィオール」(当然ヴァイオリン属も含む) とは別の用法であり、しばしばヴァイオリン属との対比の意味で用いられる。 フランス語圏や英語圏 (ヴァイオル Viol) ではこのような用法は見られない。

 リュート (英: Lute) は撥弦楽器の一種で、主に中世からバロック期にかけてヨーロッパで用いられた古楽器群の総称。
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以上

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