シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

やっと分かった「いい楽器でないと …」

2023年08月18日 | 音楽関係の本を読んで
左から ヴァイオリニスト 前橋汀子、テストーレの楽器、パガニーニが愛用した1742年製デル・ジェズ「イル・カンノーネ (大砲)」の画像。
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以前 前橋汀子『私の履歴書』(2018年) の中の下記 ⑰ の下線箇所がよく分らなかったのが、ついこの前 演奏会で聴いた演奏で、何となく理解出来るようになりました。
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1963年11月 ロン=ティボー国際コンクールに向けてレニングラードを後にした。 何らかの賞をもらえるだろう。 自信はある。 結果が発表され、頭が真っ白になってしまった。 第1次予選で落ちてしまったのだ (⑰)。

前回のロン=ティボーの演奏を聴いた日本のあるヴァイオリンの先生から、父に手紙が届いていた。「お嬢さんは上手に弾いたと思う。 しかし、いかんせん 楽 器 が 悪 か っ た

今度はできるだけ良い楽器で臨みたい。 かなりの借金をしてテストーレという18世紀のイタリアのヴァイオリンを手に入れた。 1967年 私はロン=ティボーの本選でシベリウスのコンチェルトを弾いた。 その前に恩師の斉藤先生にレッスンをしていただいた。 お陰で私は3位に入り、満足できる結果となった (⑳)
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第1次予選で数十人から十人程度に絞り、第2次予選で6人に、本選でその6人から優勝者を選ぶのでしょう。 上記の文章だけだと 楽器のどこがどう悪いのかさっぱりと分かりません。 音色ではなく、音量が小さいという意味ではないかと推理します。 “そば鳴りの楽器“ だと本人は気づかないのでしょう。

というのも 先日 ある演奏会でブラームス ヴァイオリン協奏曲を聴いたところ、オケに埋没して独奏楽器の音があまりよく聴こえなかったのです。 いわゆる “鳴りが小さい (そば鳴り) か、遠鳴りしない“ 楽器だったのでしょう。 ソリストは一生懸命弾いてるのですが、聴衆には小さい音でしか聴こえてこないのです。 本人はプロオケで弾く40代のヴァイオリニストですが、ずっと “そば鳴り“ 楽器で弾き続けていたのでしょうか …
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これではソリストの実力が発揮されず、高評価は得られにくいと想像します。 競争する場 コンクールで同じ程度のテクニックで弾くのなら、“鳴りのいい良い楽器“ を使うに越した事はありません。

ですから できるだけいい楽器を高額のレンタル料を払って借りてでも、コンクールに望む出演者も多いと聞きます。 “鳴りの悪い楽器“ を使う “実力ある挑戦者“ だとしても、審査員は良い楽器~悪い楽器の差分を評価してはくれませんからね。

『私の履歴書』の続きです。
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近年の私は前向きな姿勢で演奏に臨めていると思う。 それは15年前から使っているヴァイオリン 1736年製のデル・ジェス・ガルネリウスに助けられている面が大きい。

楽器だけで演奏の良し悪しが決まるわけではないが、ヴァイオリニストにとって楽器とはそれほど重要な存在なのだ。 新しい楽器はすっかり私になじみ、常にインスピレーションを与えてくれる (㉙)。
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アントーニオ・グァルネリの製作するヴァイオリンは、俗に「グァルネリ・デル・ジェズ」と呼ばれている。 黄金期とされる晩年15年間の作品はさらに限られるため、取引額はストラディヴァリ以上になることも珍しくない。 1741年製「ヴュータン」は2012年の取引で約 1600万ドル (およそ 13億円) の値が付き、史上最も高額で取引された楽器となった (ウィキペディアから)。
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大勢の聴衆を前に 大きな音を出せるのはストラディヴァリウスやガルネリウスともいわれます。 CD で演奏曲を録音するような有名ヴァイオリニストが使うのもストラドやガルネリが多いと想像します。

ヴァイオリニストの世界では正に、“楽器は身を助く“ のです。

今日はここまでです。

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