シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

「ものづくり」だけでは通用しない時代 (6)…過剰XX

2007年10月11日 | 電子産業は花形?
世界の DRAM 市場を席巻した日本メーカーは、90年代後半の半導体不況時に投資を絞り、絞らなかったサムスン電子に抜かれて、日本メーカーが束に成っても (エルピーダ1社に集約)、いまだにサムスン電子を追い抜くことができません。

先端半導体を製造する工場では、何百という製造工程があり、それぞれの工程ごとに数億円の製造装置が使われます。 全ての工程に違う装置を使うのではなく、繰り返し使う装置もあり、その工程をどういう順序でどういう装置を使うかは メーカー各社ごとに違い、またそのメニュー自身がノウハウで、それが最終的に半導体のコストに反映します。

勿論 工程数が少ないほど、装置が少なくてすみ、結果的に投資が少なく コストも下がります。 日本メーカーは、高品質を維持するために この工程数が多く、海外メーカーは不要な工程を省いてコストを下げ、結果的に日本メーカーはコストで負けて市場を失ったのです。
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その高品質の例に、1) 日本製半導体は商用規格の温度範囲が 0~70℃ のはずが、なぜか軍用規格の -55~+125℃ で使え、それを知っている海外ユーザーが価格の安い日本製チップを厳しい環境用に使っていた。

2) 不良発生率が海外製に比べ、一桁以上小さい。 日本のユーザーが、海外メーカー製チップを使って、不良品が発生すると交換だけでは飽き足らず 再発防止策を要求するが、海外メーカーは交換したら それ以外は何も対処しない。

その理由は、一定の不良率に抑えるようにして製造しているため、その不良率の範囲以内であれば 余計な対応はしない。 それでも対応しようとすると、コストがかかり、今の販売価格を引き上げなくてはならないから。

対して、日本メーカーはいつまでもユーザーの要求に応じ、結果的にコスト高になった。
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品質 機能 性能をほどほどに落として、市場の要求を満たすコストで提供するのは、日本メーカーの不得手とするところのようです。 その過剰品質 機能は、携帯電話を手にとると、よく分かります。

とても読む気にならないほどの厚いマニュアルが付き、使わない機能が山ほどあるのが、今どきの端末です。 もっと機能を削って、手軽な携帯でも構わないと思うのですが、なぜか新たに発売されるのは、これでもかと、てんこ盛り機能で使いきれない高級携帯ばかりです。

これでは開発陣も大変でしょう。 製品サイクルが短くなり、機能の点検に追われ、特に内蔵ソフトは膨大で、一昔前の PC に匹敵するといわれますからね。
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平均1.5年~2年で買い換える携帯を、その数倍も持つ寿命品質で製造してはいないでしょうか。 トヨタは7年で買い換えられる車は、基本的にその年数だけもてばいいと考えていると、経営トップが発言していましたが、その割り切りがトヨタ成功の一つの要因では?

「見えざる所を磨いて高品質の製品を作る」のが、日本の製造業の美学だと考えているのなら、それはもう浪花節の世界です。 世界に通用する美学ではないですね_「あっ そうなの?」で終わってしまいます。

そんな考えが残っているから、大学の工学部が敬遠され、不人気となるのですよ。 会社への貢献度が大きいのなら、もっと報償を与えて エンジニアに報いないと、将来の優秀な学生が電機産業を振り向かないでしょう__“士農工商エンジニア” という笑い話を過去のものとするためにも。

以上

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